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2018年

6月

21日

文化財保護 二条城の付加価値向上、集客増大からみる収益確保の方策!

二条城が「半世紀ぶりの集客」に成功したワケ 〜これは「生産性向上」のモデルケースだ〜 (デービッド・アトキンソン)

(東洋経済オンライン 2018年06月12日)
https://toyokeizai.net/articles/-/224317?utm_source=Irodori+Mail+Magazine&utm_campaign=d01a780c89-201806&utm_medium=email&utm_term=0_7434297140-d01a780c89-143160005&ct=t(201806_20180620)
デービッド・アトキンソン氏の、「文化財保護のためには大きなお金がいる」「そのお金を稼ぐために魅力を高め稼ぐしかない」との論理は明快だ。
二条城を所有・管理する京都市の改革を具体的に説明されている。
お金を支払う人、特に外国人の立場に立った改革には説得力がある。
多くの自治体が観光に力を入れているが、観光地のPRやブランディング、ホームページなどを通じた発信ばかりで、付加価値を高め収益源とする視点に欠けるという。
日本の観光も次のフェーズに入ったと思われるので、しっかりと戦略を考えて欲しい。
【ポイント】
デービッド・アトキンソン氏の書籍『国宝消滅――イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機』の中で、日本の文化財が抱える問題について鋭く迫っている。
京都にある二条城は、世界遺産にも登録されている城で、京都市が所有、管理している。
昨年2017年度の入城者数が243万9079人と、過去最多を記録。前年度比53万4877人、28.1%増です。
2017年の訪日外国人客数は前年比19.3%増ですから、二条城の入城者数はインバウンドの伸び以上だった。
二条城の入城者は150万人前後で推移していたのですが、昨年度ついに過去最高をもたらしました。

入城者数の増加と呼応するように、 国庫補助や市債、基金繰入などの収入も飛躍的に伸びている。
2012年度の二条城の収入は9億200万円にとどまっていましたが、2014年度に10億円を突破、2017年度は14億4000万円に達すると見込まれます。この数字は、前年度比2億7000円、23.6%の増加です。
来年2019年4月1日から、現在600円の入城料が、二の丸御殿を別料金(400円)とし、実質1000円になります。

二条城の入城者数および収入の大幅な増加は、自然に起きたことではありません。
国の観光戦略の一環です。国内でも秀逸な文化財を観光施設として再整備するテストケースとして、京都市長の旗振りで実施されたものです。
「改革を実行するために有能なリーダーが必要」ということで、二条城事務所長に文化担当局長の北村信幸氏が就任。
北村氏は幅広い分野から有識者を招いて「二条城の価値を活かし未来を創造する会」を開催。
ビジネスパーソンを含めて、さまざまな観点から、特に活用と保存の両立のあり方について徹底的に議論されました。激論の後、2016年9月16日に最終報告書がまとめあげられました。

二条城の魅力アップのために、まず取り組まれたのが、御殿などの整備でした。
2016年に、二の丸御殿内85カ所、屋外307カ所に新しい多言語による解説案内板が設置されました。

現在、二条城の入城者の6割以上が外国人です。彼らは日本人に比べて、日本の歴史や文化に関して深い知識を持っているわけではありません。このことを鑑みると、外国語パンフレットの拡充は急務でした。
取り組まれたのが、言語別パンフレットの作成です。これまで、外国人向けのパンフレットは一種類で、3つの言語で説明がされていたため、一つの言語で説明されている内容が少なくなってしまっていました。これを改めたのです。
歴史的背景の説明も充実されました。
たとえば、あまり日本の歴史に詳しくない外国人観光客向けに、そもそも「将軍」とは何者なのかといった初歩的な説明を加えました。大政奉還など、二条城とはどういう歴史をたどってきたお城なのか理解できるようにしたのです。
単に日本語の解説を翻訳しただけでは、外国人には伝わりません。和文の参考資料をベースに、外国人が一から書き起こしたのです(これを「クリエーティブ・ライティング」と言います)。
2016年12月に作られた日本語版を皮切りに、6種類の外国語版(英、繁、簡、ハングル、仏、西)が2017年4月までに作られ、今年7月にはドイツ語も登場するので、外国語版だけで7種類になります。
また、2017年11月から日本語と英語による公式ガイドツアーを開始しました。いずれも90分で、二条城の魅力をより深く理解できます。お値段は、日本語のコースが1000円、英語は2000円です。
二条城内はほとんど砂利敷きですし、二の丸御殿にベビーカーやキャリーバッグが持ち込めません。
従来のコインロッカーに加えて、2018年2月から入り口付近に手荷物預かり所を設置しました。一個300円です。
車いすにもやさしく歩きやすくするため、砂利道の改善も計画されています。
通常は開城が8:45で17:00閉城なのですが、昨年は7~8月の2カ月は開城を7時に繰り上げ。
今年は期間を延長して7月から9月まで開城時間を8時とし、閉城時間を7~8月は19:00に延長します。

「非公開の香雲亭で、綺麗な日本庭園を見ながら食べる朝ごはん」の朝食サービスも始めました。
去年は7月と8月のみの期間限定でした。京都の夏の昼間は大変暑いので、比較的涼しい朝を生かした企画です。
昨年は2カ月で2244食も売り上げ、予約が取れないほど大変な人気を博しました。
今年は7月から9月までに延長することが決まっています。
今年2月1日から3月2日までは、お昼に「早春の二の丸御膳」の提供も実施しました。
MICEのユニークベニューに開放したり、ウェディングやレセプションやイベント(たとえば、サントリーとのコラボで京の伝統と食のイベント、松たか子さん出演の舞台公演、小澤征爾音楽塾など)に使ってもらう計画も実現してきました。
文化財は、日本人の尊い財産であり、次世代につなげていくべきものです。これら文化財の維持管理にはおカネが大変かかります。日本は社会保障の負担がどんどん増え、文化財の維持管理に充てられる予算も潤沢ではない。
維持管理の費用を、文化財自身が稼ぎ出さなくてはいけない時代を迎えてしるのです。
「文化財とはそういう下世話なものではない」などの反対意見の人が必ず出てきます。実際、委員会でもそういう意見がありましたが、そういう人は、日本が直面している「予算の逼迫」という厳しい現実が理解できていない。
文化財の魅力を高めて、増えた収入をその文化財の保存のために利用することが大切です。
二条城が実施した改革は画期的です。
多くの観光地はPRやブランディング、ホームページなどを通じた発信は熱心ですが、それだけしかしていないところも少なくありません。特に、整備を怠っていることが多いのです。
二条城はブランディングも、PRも強化したわけではない。二条城自体を観光客にとってより魅力的にするよう整備し、磨き上げた改善です。今回は二条城という価値に付加価値をさらに高めたものです。

政府は2020年に訪日外国人数を4000万人、同消費額を8兆円にするという目標を掲げています。
この数字の前提には、一人当たりの消費額を現在の16万円から20万円に引き上げることが含まれています。
二条城のように付加価値を上げる取り組みは、日本全体が取り組むべきテーマです。

「観光公害」という言葉を耳にすることがあります。
交通渋滞やごみ問題もありますが、観光公害の本質は、観光客から十分な対価がもらえてないことです。
対価向上を実現するには、5つ星ホテルなどの建設や、観光地の付加価値・魅力度アップの整備が不可欠です。
最後に、今後の日本の観光について考えるにあたって、見逃せないニュースがあります。
今国会で文化財保護法の改正が成立しました。
この改正により、文化財行政を教育委員会から首長部局に移動させる選択肢が生まれました。
「文化は教育」「修学旅行の延長」という古い考え方から、「文化を守るために活用する時代」「より自立し持続性のあるものに切り替えるべき」という流れに対応できる環境がようやく整ったのです。

二条城が、先駆者として文化財の正しいあり方の道を示した改革に、感動と感謝の念を禁じえません。

 

2018年

6月

20日

世界の航空旅客は20年後に2.4倍! 中東・アジアがけん引、欧米は縮小!

世界の航空旅客は「2037年までに2.4倍」と予測、中東・アジアがけん引、欧米では縮小傾向へ
(トラベルボイス 2018年6月19日)
https://www.travelvoice.jp/20180619-112536
2017年から2037年までの航空旅客の需要予測によると、20年後に2.4倍。年平均成長率は4.5%となるようだ。
ジェット旅客機は、20年後には約1.8倍の3万9867機に運行が増大。
アジア・太平洋地域のシェアは、2017年の32%から5ポイント増の38%に拡大するという。
世界中の観光が伸びており、特にアジア・太平洋地域が増大している。訪日観光も当分続くことになりそうだ。
【ポイント】
日本航空機開発協会(JADC)はこのほど、民間航空機に関する市場予測を発表した。
2037年までの長期需要予測によると、航空旅客需要は、有償旅客キロ(RPK/有償旅客数×輸送距離キロ)ベースで、2017年の7兆7371億人kmから2037年には約2.4倍の18兆5875億人kmに拡大。年平均成長率は4.5%となった。

成長率が大きいのは中東6.0%増、アジア・太平洋地域が5.3%。
アジア・太平洋地域のシェアは、2017年の32%から5ポイント増の38%に拡大する一方で、欧州は3ポイント減の22%、北米は5ポイント減の18%となる見通し。
ジェット旅客機の運航機数は、2017年末の2万2337機から、2037年末には約1.8倍の3万9867機に増大。20年間の新規納入機数は3万3530機で、販売額は5兆1370億ドル(2017年カタログ価格)と推計。そのうち、座席数が60~99席のリージョナルジェット機の販売額シェアは3%、100~229席クラスまでの細胴機は47%、230~400席以上にわたる広胴機が51%となる見通し。新規納入機数が最も多い機材は、120~169席クラスの1万3056機が全体の39%を占め、販売額シェアは27%。

地域別では、欧州(19%)、中国(20%)、北米(18%)の運航機数が多く、この3市場で世界シェアの57%に。また、アジア・太平洋地域は1万4053機(42%)となった。

2018年

6月

19日

スマホアプリを活用したタクシー配車 三陣営2万6千台 訪日客の利便性を高める!

タクシー配車三つどもえ 五輪の先にライドシェア? 

(日経産業新聞 2018/5/31)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO30091370S8A500C1X11001?channel=DF220420167262
スマホアプリを活用したタクシー配車事業が展開を見せている。
中国最大手「滴滴出行」は第一交通産業と提携、ソフトバンクも含めた連合。日本交通はトヨタ自動車と提携。国際自動車(東京・港)など6社はソニーと組んだという。
3陣営の車両数は約2万6千台。全国のタクシー車両(約23万台)の1割。都市部から活用が始まっていくようだ。
訪日客の利便性を高める狙いがあるという。
【ポイント】
スマホアプリを利用したタクシー配車事業で日本勢と海外勢の競争が過熱してきた。
中国最大手「滴滴出行」は第一交通産業と提携、ソフトバンクも含めた連合で2018年中にサービスを始める。
日本交通はトヨタ自動車と提携。
国際自動車(東京・港)など6社はソニーと組んだ。
20年の東京五輪に向けて訪日客の利便性を高める狙いだが、その先にはライドシェアの解禁もちらつく。
18年1月中旬、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)を滴滴出行の社員約30人が訪れた。
出席者は同社と提携を決めた第一交通産業の田中亮一郎社長や全タク連の会長を務める日本交通の川鍋一朗会長。滴滴の幹部は業界の重鎮の前で日本ではタクシー配車に特化する方針を表明した。
滴滴と第一交通を引き合わせたのはソフトバンクだ。第一交通は九州を地盤とするタクシー最大手。福岡に球団を持つソフトバンクとは地縁がある。ソフトバンクと滴滴の両社は18年中にも合弁会社を設立し、第一交通と連携して国内でタクシー配車を実験する予定。

ライドシェア世界大手、米ウーバーテクノロジーズは、第一交通の田中社長を個別に訪ねたことがある。
ウーバーは日本ではライドシェアを封印してタクシー配車に特化する。
全タク連が1月に出した「アクションプラン」にはウーバーや滴滴、シンガポールのグラブなど海外アプリと日本のタクシー会社が連携することが盛り込まれた。
第一交通の田中社長が「条件が合えばウーバーやグラブとも積極的に組みたい」と話す。
日本交通の川鍋氏は「日本でタクシー配車だけやってももうからない。いずれライドシェアをやる気だろう」と警戒。
日本交通が頼るのはトヨタ自動車だ。走行データの収集・分析やタクシー向けの通信端末などでトヨタと連携を強化。「交通データを海外企業に取られるのは阻止したい」とあくまで「国産アプリ」にこだわる考えだ。
両社は配車の先にあるAIタクシーを見据えてのこと。ジャパンタクシーは2~3月、トヨタやKDDI、アクセンチュアと共同でAIを活用してタクシーの需要を予測するシステムの実証実験を実施した。都内でタブレットの地図上に30分間の乗車数の予測を示し、乗務員が乗客を探しに行く仕組みだ。
実験に参加した乗務員は2月の売り上げが1日当たり前月比20.4%増えた。2月は日本交通の乗務員全体でも9.4%増だったため、売り上げの増加幅は約2.2倍だった。
経験が浅い乗務員でもベテラン顔負けの運転ができるようになる。実用化は18年度中をめざす。

グリーンキャブ(東京・新宿)や国際自動車などタクシー6社とソニーは配車サービスを開発する新会社を立ち上げる。
6社だけで1万台超と台数の規模は大きい。日本交通・トヨタやソフトバンク・ウーバー、滴滴に並ぶ第三極として注目される。
川鍋氏が会長を務める東京ハイヤー・タクシー協会の配車アプリ「スマホdeタッくん」から日本交通が17年5月に脱退。業界を代表する立場でありながら自らのアプリの普及を優先する姿勢が一部のタクシー会社には身勝手と映った。

「データが不十分であるのになぜ反対なさるのですか」。
3月13日の午前、東京・霞が関の中央合同庁舎で開かれた規制改革推進会議。議長の大田弘子氏は、三ケ森タクシー(北九州市)が提案した「日本流ライドシェア」について国土交通省に問い詰めた。有識者の間では世界の潮流や東京五輪・パラリンピック時の訪日客増を考えるとライドシェアの部分解禁はやむを得ないとの見方が広がっている。

自家用車に乗客を有料で乗せるライドシェアは日本では「白タク」として原則禁止される。国交省は「無限定に白ナンバー営業を認めるのは道路運送法の前提を崩す」と全面解禁は認めない方針だ。ただインバウンドを積極誘致する政策の日本でこの原則がいつまで堅持できるか。

配車アプリの事業化で体力を蓄え、海外勢やトヨタなどのグローバル企業とともにライドシェアやAIタクシーのあり方を模索したい。国内を基盤に成長してきたタクシー会社の間でそのような思惑が交錯しても不思議ではない。

3陣営の車両数の合計は約2万6千台。全国のタクシー車両(約23万台)の1割にすぎない。日本交通のアプリに登録する約6万3千台を加えても全体の4割だ。当面は東京などの大都市で顧客争奪戦が始まるだろうが、残りの会社がどの陣営に加わるか。事業化の成り行きを見つつ、水面下での交渉が様々に繰り広げられそうだ。

2018年

6月

18日

観光ボランティアガイドの実態調査 外国語案内ガイドは英語が89.1%!

観光ボランティアガイドの実態調査、外国語で案内するガイドは8%、料金は1人3000円未満が半数

(トラベルボイス 2018年6月12日)
https://www.travelvoice.jp/20180612-108525
観光ボランティアガイドは、日本人向け案内が89.1%で、無料が28.8%、実費のみ徴収29.0%、有料26.3%だという。
有料の場合、「ガイド1人当たり」1000円〜3000円が約半数。「お客様1人当たり」では500円〜1000円が約半数。
外国語案内する組織は312組織で、英語が89.1%。
通訳案内士法が改正され、無資格でもガイドができるようになった。今、全国で外国語対応ガイドの組織も生まれつつあるが、全国展開する良きモデルの登場が早くえられることを期待したい。
【ポイント】
日本観光振興協会(日観振)は、全国の観光ボランティアガイドの実態調査を行った。
全国のガイド組織は1693組織で前回2015年調査(1688組織)とほぼ同じ。ガイドの数は4万6159人(5%増)となった。
東京オリンピックを控え、東京都のガイド人数が約2.7倍に急増したことが、全体の人数増加を押し上げた。
平均年齢は65.1歳。

ガイド料金については、28.8%の組織が無料で実施。実費のみ徴収が29.0%、有料が26.3%。
有料の場合は、「ガイド1人当たり」が最多で、料金は1000円以上3000円未満が約半数。
「お客様1人当たり」では500円以上1000円未満が約半数だった。
外国人観光客に外国語で案内対応をする組織は全体の2割強の312組織で、前回よりも約5%増加。
英語が89.1%と最多で、中国語が26.6%、韓国語が15.7%と続く。
外国語対応が可能なガイド数は3674人で全体の約8%。英語が83.6%、中国語が6.4%、韓国語が3.0%の順だ。
外国語表記の配布資料を有する組織は33.8%、音声ガイドの貸し出しを行なう組織は2.4%と少ないが、スマートフォンやタブレット端末などの活用といった対応手段の広がりがみられるという。

調査は2017年12月~2018年1月に実施されたが、2018年1月4日施行の通訳案内士法の改正により、通訳案内士による業務独占が廃止となることを知らなかった組織が約8割にのぼったという。
「通訳案内士資格のない人によるガイドの質の低下をどう防ぐか」「外国人旅行者に対する有料のガイドサービスの提供を検討」「通訳案内士と連携したガイド活動」などが課題としてあがった。
通訳案内士が在籍していても、無料でガイドを行なっている組織もあるという。
年間案内実績は1組織あたり1000人以上3000人未満が最多。日本人に対する案内が89.1%で圧倒的に多い。
組織としての年間収入は10万円以上50万円未満(43.3%)が最も多く、50万円以上1000万円未満(14.4%)、100万円以上500万円未満(14.2%と)続く。
会員からの会費(66.1%)、ガイド収入(56.7%)、自治体等からの補助金(46.0%)、自治体等からの委託費(22.0%)などが主な収入内容となっている。

 

2018年

6月

17日

禁煙条例で客減る? 海外の飲食店では売上増加もある!

禁煙条例で客減るって本当? 海外の飲食店では増加も 

(日経電子版 2018/6/1)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31104870Z20C18A5L83001?channel=DF220420167266
東京都独自の「受動喫煙防止条例案」が定例議会で審議される。
飲食業界団体は、「建物内禁煙」にした場合、国内全体で8401億円が減収し、店舗経営が傾くと強く警戒する。
アメリカやノルウェー、アイルランドの禁煙導入では、売上が横ばいか、増収になるところもあるという。
受動喫煙防止は世界的な流れだ。20年の五輪・パラリンピック開催を控え、どのように対応するのか、飲食店は問われている。
【ポイント】
東京都は6月の定例議会に、都独自の「受動喫煙防止条例案」を提出する。
従業員を雇っている飲食店の店内を原則禁煙とする規制に、飲食店からは「客が減る」と悲鳴があがる。
ただ規制で先行する海外では必ずしも減収になっているとは限らない。条例への「脅威論」には行き過ぎとの声もある。
「年間1963億円の売り上げが減る」。飲食業界の団体はこう指摘した。
東京都の受動喫煙防止条例は事実上の屋内全面禁煙だとし、喫煙者離れで店舗経営が傾くと強く警戒する。
都内の減収予想を示すこのデータのもととなったのが、富士経済が実施した、2017年の全国約7000店へのアンケート調査をもとに試算した「建物内禁煙」にした場合、国内全体で8401億円の減収という内容だ。
同調査のデータは各店の店主の売り上げ減少幅の予想にもとづき算出したもので、条例案賛成派からは「飲食店主の主観的な印象にすぎず、因果関係があるとは言えない」との指摘もある。
03年に導入した米ニューヨーク州の調査によると、バーからの売り上げ税収は1億6000万ドル前後で推移していたが、法施行後もほぼ同じ水準が続いた。
04年に店内禁煙の法律を施行したノルウェーでは、レストランの売上高が05年、03年よりも2.5%増えたという。
04年に屋内禁煙法を導入したアイルランド。都市部の大型バーで売り上げが減った一方、地方のバーで売り上げが増えている。

世界保健機関(WHO)の09年の「がん予防ハンドブック」によると、「サービス業への経済的な負のインパクトはなかった」の論文は4分の3の65本。
来店を避けていた嫌煙派の人たちが来店するなど、規制が売り上げにプラスに働く要素も考えられる。
「変わる時には不安があるのは当然」と、小池知事は記者会見で条例導入による影響について述べた。

「条例を成立させたところで、都の規制は依然として諸外国に比べて水準が低い」と話す。
受動喫煙防止は世界的な流れだ。世界が注目する20年の五輪・パラリンピック開催を控え、経営環境の変化に対応できるかが飲食店に問われている。