2018年

10月

16日

奈良少年刑務所ホテル化計画と、これからの奈良観光を学ぶ(レポート)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『観光のひろばin奈良』
〜 奈良少年刑務所のホテル化計画と、これからの奈良の観光を学ぶツアーのレポート〜
日時:平成30年10月13日(土)


近鉄奈良駅に13時集合、奈良県庁の屋上から興福寺や東大寺などを眺望しました。明治の廃仏毀釈により、興福寺や東大寺の敷地が国に召し上げられ、それが奈良公園になったとか。
奈良の位置関係を学んでから、本ツアーの目玉「奈良少年刑務所」に向かいました。
14時に「奈良少年刑務所」に到着。上地支所長様から丁寧なご説明をいただきました。

・ 26歳未満の初犯の者に手に職をつけさせることも目的とした696名収容の刑務所だった。
・ レンガ造りの建物の全てと、木造建物の一部が重要文化財に指定されている。
・ 江戸時代の牢屋と、明治時代の刑務所を展示として残す計画。
・ 全国7カ所の少年刑務所の一つで、明治41年に竣工した山下啓次郎設計による「明治の五大監獄」の一つ。敷地は10万㎡以上。
・ レンガ造りの刑務所は地上2階建の独居房、3人部屋、雑居房、作業場などからなり、放射状の形状を取るのは、少ない人数で監視(夜間は2名で監視)できるように放射状にした。また、半地下部に風呂施設が設けられている。
・ 明治時代、外国との不平等条約を解消するためにも、刑務所の近代化に力を入れた。
・ 平成28年度末に閉鎖。平成29年コンセッション方式で運営権をソラーレ ホテルズ&リゾーツ(株)など8社に売却。今後、建物の耐震補強や改装をして、2021年春にホテル等の複合施設をオープンさせる計画。(契約期間は30年+30年)
・ 2019年10月に史料館をオープン。
・ ホテル転用後に、近接する鴻ノ池運動公園などを含めた奈良市北西部の観光振興を図るため、奈良県と奈良市、法務省は包括連携協定を結んでいる。
・ 設計した山下啓次郎氏は外国の施設を視察し、外国でも標準的だった放射状の形状のものを設計。

広大な敷地、広大な煉瓦造りの建物と圧倒されました。建物中央の監視所を中心に放射状に配置された2階建の棟があり、通路の中央が鉄格子。1階も2階も監視できるように作られた異次元を感じる建物でした。
牢獄は狭く、収容されている人はかなり圧迫感を感じそうです。内部は洗面、トイレ、小窓があり、入口の扉も頑丈で、当然内部にはノブがありません。間仕切りレンガの厚みは200mmを超えており、簡単に脱出できるような構造ではありません。
江戸時代の牢獄が保存されているのにも驚きました。何処にあり、どのように使われたかは不明ですが、西郷隆盛が遠島になった牢獄を彷彿させる建物です。江戸時代の牢獄と明治時代の近代的になった牢獄との差に不平等条約解消への意気込みを感じさせるものを感じました。

1時間少しの見学を終え、次の見学場所「吉城園」に移動しました、
「吉城園」は興福寺子院の摩尼珠院があったものが、明治期に民間所有となり、大正8年に現在の建物と庭園が造られた後、奈良県の所有となったそうです。
隣接する知事公舎とともに富裕層向けの宿泊施設の計画があるといい、現在、知事はここを退出されているそうです。隈研吾のプロデュースで、2020年の春にまちびらきさせるようです。

最後は県庁の東側のバスターミナルの工事現場でした。敷地8655㎡に3階建ての建物。展示施設やレクチャーホールも備えた広大な施設で、単なるバスターミナルではありません。ここを起点に周辺にバス網ができると素晴らしいアクセスが期待できそうです。
宿泊施設の計画も次々に浮かんでおり、このバスターミナル、少年刑務所などがリンクする新しい奈良の観光の姿を見せていただくことができました。

奈良県まちづくり推進局の竹田博康所長さま、素晴らしい計画のお話をありがとうございました。

配布資料などはHPから閲覧ください。

 

2018年

10月

15日

外国人に有名だけれど、喜ばれない日本の食べものってなに?

外国人に最も有名だけれど、最も喜ばれない日本の食べものってなに?=中国メディア
(Searchina 2018-10-09)

http://news.searchina.net/id/1668717?page=1
日本食で食べられないもののトップは、やはり「納豆」だ。そして2位が「梅干し」だという。
「活け造り」「生卵」も上がっているようだ。
我が家に来た留学生もご多分にもれずこれらの食品が食べられなかった。
驚いたのが「チリメンジャコ」。チリメンジャコの目玉が怖いと言っていたのを思い出す。
食品は文化や風習、そしてイメージが大切なのだろう。
今から10年前は「刺身」は野蛮で食べられない外国人が多かったが、美味しければ慣れていくのだろう…
【ポイント】
中国メディア・東方網は、世界的に認知されつつも「外国人が受け付けない日本の食べ物」の記事を掲載した。

現在、日本国外でも続々と日本料理店がオープンし、ヘルシーかつおいしい料理が心を捉えている。
日本国外で食べる日本料理は現地人の味覚に合わせて作られたものであり、本場の日本料理を食べた際に、受け付けない食べ物も出てくる可能性があることを指摘した。

日本の食べ物の中で「外国人にあまり受け入れられない食べ物」を紹介している。
「最も多くの人が苦手と回答する」としたのが、納豆だ。
においがきつい、独特な味に加え、ネバネバした食感に違和感を覚えるといった意見が目立つと説明。

次が「梅干し」だ。「夏バテに聞くというけれど、これを食べる意味が理解できない」、「味が濃すぎるうえ、酸っぱい」といった外国人の意見を紹介。
さらに、「活け造り」が紹介されている。
「皿の上でまだ動いているのを食べるなんて、残忍でかわいそう」といった理由から敬遠する外国人もいる。
また「生卵」を食することに抵抗を覚える人も少なからずいた。

一方で、これらの食品について「慣れていくうちにとても好きになった」という意見も多く、特に納豆については「最初は気持ち悪かったが、1週間もすると好きになってしまった」という人が少なからずいると指摘した。

 

2018年

10月

14日

「ローソン」のデジタル戦略 次世代店舗における旅行とのシナジーの可能性!

コンビニ「ローソン」のデジタル戦略とは? 次世代店舗や旅行とのシナジーの可能性を聞いてきた
(トラベルボイス 2018年10月9日)
https://www.travelvoice.jp/20181009-116226
ローソンは、1店舗あたり1日平均800人、全国規模では1日約1000万人とのコンタクトを持つそうだ。
コンビニは、ATMや、店頭端末ロッピーでの高速バスや航空券、レジャーチケットの委託販売、中国モバイル決済「アリペイ」も全店舗で対応。一部店舗では民泊などの鍵の受け渡しのキーボックスの設置も始まった。
少子高齢化を迎え、IoT、AIなど新しいテクノロジーを使い、店舗運営の省力化から、新しいショッピングのあり方まで変える。
今後はリアル店舗の強みを生かして、観光案内所などの窓口機能などを担う可能性もあるという。

【ポイント】

コンビニ創業当初はナショナルブランドが売れ筋だったが、いまはそれに加えてお弁当やおにぎりなどのプライベートブランド商品やチケットを買いに来て頂けるお客様も多い。
コンビニでは、日本の少子高齢化が店舗運営や店舗網の維持で大きな課題になっている。
これら課題は、IoT、AI、モバイルなどの新しいテクノロジーで解決することができる。
ローソンでは、2017年5月に「オープン・イノベーションセンター」を立ち上げ、「ロジスティクス」「アナリティクス」「ロボティクス」の領域に注力しながら、“お客様”に対する新しいショッピング体験の提供を目指す。
コンビニの未来の店舗の基盤となるプロジェクトに電子タグがある。
経済産業省が旗を振り、他の大手コンビニ、食品・日用品メーカーなどがタッグを組んで、2025年までにコンビニで販売する全商品に電子タグをつけるというプロジェクトだ。

電子タグをつけて商品管理することで、在庫情報などを共有できるようになる。これにより店舗の在庫情報をオンライン上で公開し、消費者が来店前にスマートフォンで目的の商品の有無や価格を確認できるようになる。
食品など賞味期限に応じた値引きなど、変動制の価格設定を自動で設定できるようになる。
値下げ商品を消費者が来店前にスマートフォンで確認できれば、購買意欲を喚起できるメリットもある。
店舗側は、在庫管理や価格管理の自動化により、ラベルの貼り替え作業の省力化とコスト削減が見込める。
電子タグをはじめ、AIやIoTにより得られる購買情報は、人口減の時代の新たな収益源となる可能性がある。
このデータに移動情報などビッグデータを加えることで、広告代理店やメーカーなどに販売できる情報になる。
現在、ローソンの店舗で行なっている主な観光対応は、店頭端末ロッピーでの高速バスや航空券、レジャーチケットの委託販売や、店舗でのインバウンド対応がある。
インバウンド対応では、空港内や宿泊施設、観光地に近い一部の店舗で、訪日外国人向けの土産品や旅行備品などを意識した商品の品揃えや免税対応を強化しているほか、おにぎりなどのオリジナル商品パッケージの英語表記がある。
全店舗で中国モバイル決済「アリペイ」にも対応している。
一部店舗では民泊などの鍵の受け渡しが出来るキーボックスも設置しており、2019年3月までに100店舗へと広げる方針だ。
コンビニの方向性は、「テクノロジーで現場の負荷を軽減し、お客様にいかにリアル店舗に来たいと思ってもらえる新しいショッピング体験を提供できるか」ということ。
「作業効率化」と「リアル店舗での新しい購買体験」の2つを念頭に、次世代店舗を作ろうとしている。
ローソンでは店舗を完全無人化にしようとはしていない。「リアルの店舗の強みを突き詰めると、人のふれあいが強み。テクノロジーが進んでも、やっぱり人の温かみのある店舗づくりが重要」と力を込める。
レジは無人化、品出しはロボットが行なうなど、自動化の流れが進むのは間違いない。
人のスタッフができることは、「来店客とのコミュニケーション。コンシェルジュのようなことがあり得るかもしれない」。

1店舗あたり1日平均800人が購買するローソンは、全国規模では1日約1000万人とのコンタクトを持つ。
地域で、これだけトラフィックがあるのが強み。様々な業種のカウンター業務を引き継ぐこともあり得るといい、リアルの店舗の強みを生かした観光案内所などの窓口機能などを担う可能性も示唆する。

2017年4月から、銀座の商業施設「GINZA SIX」で、観光案内や免税サービス、手荷物取次や一時預かり、外貨両替などにワンストップで対応するツーリストサービスセンターを各事業者との連携でオープンしている。
多くの消費者とって、日常使いのローソンといえば街中の従来型の実店舗。
観光関連商品との接点はロッピー端末であり、今年から一部店舗でスタートした民泊の鍵の受け渡しも、店内設置のキーボックスを介在とするセルフサービスだ。
ここに、コンシェルジュが登場すれば、観光分野の取り組みがより深まるのは間違いない。

2018年

10月

13日

文化財は「保存」から「活用」の時代、オーバーツーリズムなど持続可能な観光の姿についての議論!

文化財は「保存」から「活用」の時代へ、京都市長ら観光産業の識者が議論した「観光が果たす役割」をレポート

(トラベルボイス 2018年10月10日)
https://www.travelvoice.jp/20181010-118839
「持続可能な観光」については誰しも反対しない。しかし顕著なオーバーツーリズム問題が発生するなかで、地域住民の生活を犠牲にしない方策が求められる。
デービッド・アトキンソン氏の「観光がなければ文化を守ることはできない」との考えももっともで、今後、国連で定めたSDGs (持続可能な開発目標)の達成に向けた観光のあり方の真摯な議論が求められる。
【ポイント】
国連世界観光機関(UNWTO)とユネスコは2019年12月11日から13日の3日間、「観光と文化をテーマとした国際会議」を京都市の国立京都国際会館(案)で開催する。
ツーリズムEXPOジャパン2018のなかでオーバーツーリズムについて議論が展開された。

UNWTO事務局長のスラブ・ポロリカシュヴィリ氏は、「文化と観光は兄弟のような関係。環境と文化に配慮しながら、観光をつくっていくべき。その模範となるのが京都」と話し、「持続可能な社会に向けて観光の果たす役割についてさまざまな可能性を探りたい」と意気込みを示した。
UNWTO駐日事務所代表の本保芳明氏が「日本政府は文化について、保存から活用に舵を切った。観光と文化との関係を考え直さなければいけない時期に来ている」と述べたうえで、来年の会議では、国連で定めたSDGs (持続可能な開発目標)の達成に向けた観光と文化の調和、住民生活を念頭に置いた持続可能な文化観光、文化観光の担い手の教育を含めた文化継承の3つのポイントが主に議論されると紹介した。

門川大作京都市長は、「京都のものづくりと精神文化が人をつくり、イノベーションを生み出し、街がつくられ、結果的に京都が観光都市になった」という持論を展開。四条通りの屋外広告撤去も観光のためのではなく、京都の美意識にもとづいて行われたものであると紹介したうえで、観光政策は街づくりであるとの考えを強調した。
また、観光はさまざまな人たちが関わる総合産業と位置づける一方、「観光産業に従事する人たちには非正規雇用が多いため、税収もなかなか増えない」と問題点も指摘した。さらに、文化の保存のためには、職人など次世代の担い手を育てることも課題として挙げた。

観光庁審議官の高科淳氏は国の方針を説明。「観光は国の成長戦略であり、地方創生政策でもある」と述べる一方、観光客の増加によって、観光と地域住民や自然環境との共生が難しくなっている事象も出てきているという問題意識を披露。そのために今年6月に観光庁に「持続可能な観光推進本部」を設置したことを紹介した。

文化庁長官官房審議官の内藤敏也氏は、文化庁が2021年度までに京都市に全面移転することに触れ、「それに合わせて組織も変わる。文化財は何のために保存するのか、それをどう生かしていくのか、文化行政も変わる必要がある」との考えを示した。
2017年6月に施行された「文化芸術基本法」について、「文化芸術を新たな観光コンテンツとして地域の発展に生かしていく」方針を説明し、今年10月1日には新たな組織として「文化資源活用課」を設置したことも合わせて紹介した。

小西芸術工藝社長のデービッド・アトキンソン氏は、「観光がなければ文化を守ることはできない」との持論を述べ、「日本の労働力が減少してくなか、限られた財源で文化財を保護していくのは難しく、訪日外国人に支えてもらう必要がある」と主張した。
二条城の拝観料が多言語解説などを付け加えたうえで来年4月から値上げされる例を挙げ、「寺社仏閣などの文化財は付加価値をつけてもっと高い拝観料を取るべき」とした。
文化行政には需給というビジネスの視点がないと論破。文化財保護が教育委員会の管轄になっているのが一番の問題とし、「より深い体験をしてもらう仕掛けに対価を払ってもらい、それを保存に使う好循環をつくる必要がある」と強調した。

2018年

10月

12日

京都市の「オーバーツーリズム」の具体策 宿泊施設不足や郊外への分散化を聞いてきた!

京都市の「オーバーツーリズム」の具体策は? 宿泊施設不足や郊外への分散化まで責任者に対応を聞いてきた
(トラベルボイス 2018年10月10日)
https://www.travelvoice.jp/20181010-116583


京都のオーバーツーリズムを考える連載第2回目だ。
今年5月にアップデートした「京都観光振興計画2020+1」で、初めて「オーバーツーリズム」を明文化した。
集中と混雑の対応は、時間、季節、場所の分散化を進める。「大原」は、昭和40年代に人気ナンバーワンの観光地だったが、現在は全盛期の3分の1ほどに減少しているという。
違法民泊の問題についても、京都市は全国でも最も厳しい条例を定めた。
オーバーツーリズムになっているのは間違いがないが、京都市の観光収入は、京都市民の年間消費支出の約78万人分、人口の約53%と大きい。
「住民の生活」と「観光」という視点のなかで、双方の問題を解決していく京都市の役割は大きい。


【ポイント】
オーバーツーリズムを考える京都深掘り取材(連載第2回)
第1回の『京都深掘り取材』で門川大作市長が課題として挙げた「オーバーツーリズム」への対策、街づくりのひとつとしての「民泊」。第2弾の今回は、具体的な取り組みについて、産業観光局観光MICE推進室MICE戦略推進担当部長の福原和弥氏に聞いた。

京都市は今年5月、2014年に策定した「京都観光振興計画2020」をアップデートした。
この4年間で京都市の観光政策を取り巻く環境が大きく変化した。外国人宿泊客数年間300万人、観光消費額年間1兆円という目標を前倒しで達成する一方で、さまざまな課題も顕在化してきた。

修正された「京都観光振興計画2020+1」では、市民生活と観光の調和を謳い、「外国人観光客の急激な増加とマナー問題」「無許可民泊施設の増加」「観光客の集中と混雑」を課題として挙げた。
オーバーツーリズムについて、計画の中で明文化したのはこれがはじめてだ。

集中と混雑の対応については、時間、季節、場所の3つの分散化を進めていく方針。
「ゆったりとした雰囲気で京都を楽しんでほしい」というコンセプトで『とっておきの京都、定番のその先へ』というプロジェクトを新たに始動した。
京都駅南側の伏見エリア。伏見稲荷大社は外国人旅行者が大挙して押し寄せるが、周辺にはほとんど足を運ばない。このエリアには、地元の酒蔵や賑やかな大手筋商店街などがあることから、外国人旅行者への訴求力は高いとして、伏見稲荷大社を訪れた外国人を回遊させる取り組みを始めた。

京都市では近畿圏からの日帰り日本人旅行者が近年減少していることに危機感を強めており、寺田屋など幕末動乱の舞台としての伏見をアピールしていくことで、京都近郊からの旅行者の呼び込みたい考えだ。
今年8月には、地元商店街、保勝会、酒蔵、観光協会などとプロジェクトチームを立ち上げ、具体的な取り組みについて議論を始めたという。

「大原」は、昭和40年代には京都市のなかでも人気ナンバーワンの観光地で、若者の間で大原旅行は流行のひとつとなっていたが、現在は全盛期の3分の1ほどに減少している。
京都の里山として、四季折々の風景が楽しめ、地元で採れる野菜も大原ブランドとして人気で、三千院や宝泉院など見どころも多い。
問題はアクセス。京都駅からだとバスで1時間ほど、時間帯によっては渋滞に悩まされることもある。

よりスムーズなアクセス方法として、地下鉄とバスが乗り放題になる「地下鉄・バス1日乗車券」の活用を国内外の旅行者に呼びかけている。
大原へは地下鉄烏丸線の国際会館駅まで行き、そこからバスに乗り換え20分ほどでアクセスすることが可能。地下鉄は運行頻度も高く、渋滞も心配する必要がない。「地下鉄・バス1日乗車券」は今年3月に1,200円から900円に値下げされた。そもそもは混雑するバスから地下鉄の利用を促すための値下げだが、「近郊へのアクセスでも有効利用してもらいたい」考えだ。

このほか、大野原、山科、京北などのエリアへの誘客も進めていきたい考えだが、観光素材がまだ未熟なことから、行政の取り組みとしては「まずはコンテンツ開発を進める事業者への支援がメインになる」という。
観光客に大人気の嵐山の竹林の小経。時間帯によって混雑具合は大きく異なる。2018年4月の平日午前11時頃は訪日外国人でごった返すが、2018年7月の平日午後6時過ぎ。観光客はまばらで静か。

京都市では「民泊」もここ数年大きな問題となっている。
住宅地に違法な宿泊施設が入り込み、マナー問題や防火対策などで周辺住民の不安は高まるばかり。
民泊施設に向かうために生活路線である市バスに大きなスーツケースを持ち込み乗車するため、通勤通学の足にも影響が出てきた。
違法民泊は、今年6月に施行された住宅宿泊事業法で風向きは変わった。
京都市は全国でも最も厳しい条例を定めた。
住居専用地域では、家主不在型の場合は1月15日から3月15日の60日間に限定。しかも、物件に10分以内で駆けつけなければいけない要件もつけた。一方、家主居住型は住宅宿泊事業法で規定された年間180日を認めることでメリハリをつけた。京町家については、保存も目的として、家主不在型の場合でも年間180日の民泊営業を認める。ただ、行政が伝統的な工法で建てられた京町家と認定した物件に限られる。
この結果、7月13日現在、民泊申請数は87件で、受理されたのは47件。そのほとんどが家主居住型だという。

旅館業法の簡易宿所の許可件数が2016年度で813件、2017年度で871件。総数が2291件であることから、過去2年間で急増したことになる。
この背景は、「いわゆる民泊新法の動きと、インバウンドをビジネスチャンスととらえる動き、両方の影響だろう」と見ている。
2017年度の京都市での宿泊人数は、実数で前年比10%増の1557万人、延べ人数で同13.7%増の2444万人と過去最高となった。これは、「簡易宿所の増加とリンクしているのではないか」との見立てだ。

簡易宿所や合法民泊、京町家の宿泊施設が増えているが、今後それだけで日本を含めた世界からの観光客を収容できるかどうかは分からない。
京都市の方針としては、観光客の人数は追わず、観光の質を高めることで現地消費額を重視していく方針を打ち立てるが、行政が入洛数を制限することは、余程の力技がなければ不可能だ。

宿泊施設不足に備えるひとつの技として、ホテル建設での用途規制の特例扱いを昨年の5月から始めた。
京都市内はほとんどが市街化調整区域で、用途規制上ホテルなどの商業宿泊施設を建設することに規制がかけられているが、そこに特例を適用する。ただ、厳しい条件をつけた。

富裕者層向けのラグジュアリーホテル、MICE向けのコンベンション施設を持つホテルなど京都市の施策に合致し、加えて地元住民の合意を取り付ける必要がある。この特例措置を市中心部の外で適用できれば、観光客の分散化にもつながると期待は大きいが、「実現には時間がかかる」との認識。すでに地元への説明会までこぎつけた案件はあるが、住民の合意形成が優先となるため、一朝一夕にはいかないのが現状のようだ。

門川市長曰く、「京都は観光都市ではない。京都の文化や歴史が評価されて、結果的に世界から観光客が訪れるようになった」。生活のなかにこそ価値がある。だからこそ、観光と生活との調和が大切になってくる。
「オーバーツーリズムに対する危機感は強まっているのは確か。しかし、事業者、住民、観光客、それぞれ立場によって意識はかなり違う」と明かす。それを調整していくのが京都市の大きな仕事になってくる。

『京都市の深掘り取材』、次回の第3回目は地元の生の声。観光客でごった返す嵐山の現状について、嵐山保勝会の石川会長に話を聞いた。

日本のクルーズ船利用者がインバウンド・日本人とも過去最高!