『アル・ケッチャーノ』の奥田シェフ ①

フードツーリズム研究会フォーラムで話された、山形県庄内のレストラン『アル・ケッチャーノ』の奥田政行オーナーシェフの講演は素晴らしかった。
 
  『アル・ケッチャーノ』のコンセプトは、“地元の人に庄内のおいしさに気づいてもらう”こと。
  お店を開店するとき、資金も無く、最小限の店作りをした。黒板にメニューを書くのもその一つ。この黒板には効用がある。レストランとして品揃えしなければならないが、あまり勧めたくない料理や、調理が大変なものは汚く書く。お客さんはキレイに書かれたものを注文してくれる。
  『地産地消』を進めるうえで大きな壁があった。“無農薬栽培”は虫をよぶと言って嫌われたことだ。しかし自分達が食べるのは無農薬だった。無農薬栽培のため一部の畑を確保してもらった。
  庄内の気候にあった昔からある野菜に注目した。そして野菜のことを勉強したが、一つひとつの野菜の勉強をするだけでは、一生かけても無理だと気付き、地質を勉強した。そして庄内の風土(水・土・風・太陽)に育つ野菜の原理が分かった。
  安心安全な野菜の知識を生産者に伝えるなかで、生産者との深い対話が始まり、そして理解が進んでいった。
  料理人は、大地と人、人と人を結びつける役割。これを『料理』で表現したいと思うようになり、自分だけの料理ができるようになった。
  料理本は、東京のレシピに合わせた調理法になっている。東京に流通するため青いトマトを収穫する必要があり、その青トマトに合わせた調理法になる。地元でとれた赤い完熟トマトだと塩だけの味付けで美味しい料理になる。
  イタリアやフランスの野菜は暖める必要があるが、日本の野菜は生で美味しい。
  庄内の水は硬水。ダシが出にくいのでゆっくりと味がしみ込む工夫をした。
  堅くて瑞々しいキュウリに、身が軟らかく皮に苦みのあるカレイを持ってくる等、正反対の組み合わせが料理を美味しくしてくれる。
  素材を知ったら、いろいろな料理ができるようになった。
 
自分のレストランのことだけでなく、地域が良くなるチャレンジが続けられている奥田シェフの言葉は心に響いてきます。
シェフのなかには料理に合わせた食材を探す方もいますが、食材に合わせた料理を考えるほうが王道のように思います。地域の食材に出会って、さらに地域が好きになる。
『観光』も地域が好きになるから人に伝えたくなる。そして訪れた人がその地域を好きになってくれる。そのような循環を作っていきたいものです。
 
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