「神山町の地域おこし」の講演記録です。

『関西元気な地域づくり発表会』の基調講演、NPO法人グリーンバレー 大南信也様の「ヒトノミクスから考える地域の未来」の内容をまとめましたのでお伝えします。
(長文です。でも神山町の活動は素晴らしいです)
 

大南様は、徳島県神山町という過疎の町の町おこしに関わっておられ、NHKニュースやクローズアップ現代で、過疎の町にサテライトオフィース設置や本社移転していること、足を清流につけながらパソコンで仕事を姿が映し出されたことで、ご存知の方もおられるのではないでしょうか。
私は、クローズアップ現代を見て強い関心を持ちましたので、この発表会に参加しました。
 
【基調講演】
・ NPO法人グリーンバレーとは、「日本の田舎をステキに変える!」をミッションに掲げ、神山町で各種事業を展開しているNPO法人です。
・ サテライトオフィースの動きで神山町の知名度が上がってきた。
・ この取り組みは、地域間の世代間の循環を意識したもので、企業を呼んでくることが主眼ではない。
・ 地元の子供達をサテライトオフィースに連れて行って、「ここに来ている人は何故、神山町に来ている?」と問う。「仕事の場が無いのではない。この土地が素晴らしいから集まってきている」と説明し、地元を愛する気持ちを醸成している。
・ 「ヒトノミクス」とは、“アベノミクス”では無いが、人と人が交流するところに主眼があるとして命名した。
・ 神山町の人口は現在6100人。2007年までは転入者より転出者のほうが100名以上多かった。2011年に転入者のほうが増え、逆転した。
・ ITベンチャー企業が現在10社進出しており、近く3社が進出を予定している。また、Yahooジャパンも企業研修に使うことになった。
・ NPO法人グリーンバレーの前身は、神山町国際交流協会。
・ 徳島県新長期計画の一環として神山町に国際文化村を創るという「とくしま国際文化村構想」があった。
・ 県が創る施設であっても、住民自身が管理、運営することになるだろうと予見し、それならば最初から自分達の思いを込めた国際文化村を創らないと魂がこもらないと考えた。
・ プロジェクトは環境と芸術を柱として、国際文化村を築いていくなかで、神山町のイメージを変えることを主眼においた。
・ 一番の障害は、「難しい」「無理だ」「できない」などの意見だった。
・ 前例のないことに直面した場合、自分が変化を起こす当事者になれるチャンスでもある。とにかく始めろ(Just Do It!)
・ アメリカでは道路標識にスポンサー企業名が表示されている。これは、2マイル区間に区切って、企業がスポンサーになって清掃しているもの。日本でも実現したいと思ったが、道路法で企業名入り標識の設置は不可だった。神山町では強行突破して実施した。
・ 1999年に『神山アーティスト・イン・レジデンス』事業をスタートさせた。『アーティスト・イン・レジデンス』とは、芸術家を招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業のこと。
 
・ アートによる街づくりを目指す地域は、評価の定まった芸術家の作品を集めようとし、見学に訪れる観光客を集めようとする一過性のもの。
・ 神山では、「整った設備を求めているのなら、神山の設備は非常に悪いから応募しないでください。豊富な資金を求めている人は応募しないでください。日本の片田舎で、住民の一部となって作品を作りたいのなら、神山こそあなたの場所です」と広報した。
・ 制作に訪れる芸術「場」としての価値を高めることを狙った。そして、芸術祭に参加したことをキッカケに、ポツリポツリと移住する芸術家が出現した。
・ アートを入れることにより「神山って面白い場所だよ」、「神山って面白い人いるよ」といい、神山に人が集まるようになった。
・ ウェブサイト「イン神山」で情報発信していたが、一番読まれていたのが「神山で暮らす」という記事で、移住需要が顕在化していることが分かった。
・ 神山町から「移住交流支援センター」を構想するなかで、役所がやるよりNPO法人のほうがうまく運営できるだろうと業務を受託することとなった。
・ 「移住交流支援センター」を運営するなかで、町の将来を形作ってくれる人たちにフォーカスして、若い世代,起業する人を優先した移住を進めることとした。
・ 現在、37世帯71名、30歳代の若い世代が移住している。
・ 移住希望者へのアンケートで、家族構成や物件への希望を聞くのが一般的だが、神山では、それに加えて夢、志、能力など人に重点を置いた。神山へ移住する思いを重視した。
・ 『ワーク・イン・レジデンス』というプログラム実行した。『ワーク・イン・レジデンス』とは、この物件にはパン屋さん、また別の物件ではウェブ関係の人を入れようと、将来、町に必要だという人を呼んでくるプログラムのこと。
 
・ 人が人を呼び、新旧住民の知恵の融合が起こるスパイラルの地域づくりを進めている。
 
・ 老朽家屋を大学生250名ほどで改修して、「オフィースイン神山」を作った。
・ この「オフィースイン神山」を、トム・ヴィンセント氏が利用することとなった。トムは年間のうち1ヶ月ほどしか利用しないので、利用していない期間はトムの友人が借用した。これが、国際的にも多様な人が集まる場となった。
・ シリコンバレーでは楽しみながら働いている。日本でも楽しみながら働ける場を作りたいと考えていた。そこに名刺管理システムの企業「Sansan」の寺田社長が神山を訪れ、サテライトオフィースの設置を即決した。
・ 企業誘致を目的にしてサテライトオフィースを作ったのではない。アートをキッカケに、人が集まり、結果的に生まれたのがサテライトオフィースだった。
・ 小川に足をつけながらパソコンで仕事ができる映像が、NHKニュースやクローズアップ現代に放映された。
・ 「俺もあんな所で働きたい!」と、企業とクリエーターが集まってきた。
・ 「神山塾」という人材育成を始めたところ、塾生60名のうち6割が地元に残った。結婚したカップルも誕生した。
・ サテライトオフィースは一過性の人口で定住人口を生まないといわれたが、実際に定住人口が生まれた。
・ 「そこに何があるかではなく、どんな人が集まるか!」がキー。
・ 最後に関西へのメッセージ、「すきな関西」を「すてきな関西」に。
・ 著書「神山プロジェクト ~未来の働き方を実験する~」  3月6日発売になります。
 
(文責:星乃)