寺島実郎氏が考える『インバウンド施策と日本型IR』

シナジー効果で「知的富裕層」を狙え!
寺島実郎氏が考える『インバウンド施策と日本型IR』
(日経ビジネスオンライン 9月11日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140902/270709/?n_cid=nbpnbo_mlt

7月31日にグランフロント大阪で開催された「IRビジネスフォーラムOSAKA」で、基調講演を行った寺島実郎氏。
世界情勢に精通する氏は日本の観光立国政策、現在のインバウンドを取り巻く現状をどう見ているのか。
今年2月に発足した民間の任意団体「IR推進協議会設立準備委員会」の議長という立場から、日本型IRのあるべき姿について話を聞いた。


【ポイント】
・日本の人口は1966年に初めて1億人を超え、1億2800万人に達した2008年にピークアウトを迎えました。
 40年かけて3000万人が増えたわけですが、今後40年はこの増加分が減少します。
・40年前、日本の人口で65歳以上が占める割合はわずか1割でしたが2040年代には約4割に達します。
・今、アジアのGDPは世界全体の3割超を占めていますが、2040年に5割に達すると予想されています。
 また、中国の海外渡航者は既に年間9000万人に達し、今年は1億人を超えると言われています。
・これから異次元の高齢化社会を迎える中、新たな文脈での豊かな日本を模索する必要があります。キーワードは「移動と交流」です。
・次世代の産業モデルとしての脱工業生産力モデルと合わせて考えるべきことは、サービス産業の高付加価値化です。
・今、日本では年収200万円以下で生活する人が就業者数の34%を占め、
 過去10年間で製造・建設業からサービス業にシフトした約500万人の年収は平均150万円以上も下がっています。
・観光業というジャンルをより競争力のある産業基盤にして、この分野で働く人が胸を張って生きていけるようにしなければいけません。
・格安ツアーで集客するだけではなく、よりハイエンドのリピーターを引き付ける装置と戦略が必要なことは間違いありません。

・アメリカ西海岸を必ず年2回訪れます。情報収集などのために他の都市にも足を延ばしますが、2年に1度のペースで訪れているのがラスベガスです。
・IT関係の先端的技術やロボット技術の展示会など、大小様々な見本市が行われていて、2年に1度くらいは必ず引き寄せられるものがあるからです。
・ハイレベルなショーやスポーツのビッグイベントも多く、運が良ければ大物エンターテイナーのステージも観られます。
・日本もいつまでも富士山と温泉で引き付けるのではダメで、知的レベルが高く、おカネを持った層に何度も来たいと思わせる仕組みが必要です。
・フランスやスイスなど観光立国として成功しているところは、ハイエンドなリピーターを引き付ける知恵とスキームがあります。
・スイスのジュネーブには15の国連機関が本部を置き、1泊1000ドルのホテルが常に満員という状態です。
 こちらも毎年100万人を超える各方面の専門家を、常に引き寄せる仕組みができているからです
・IRにとってカジノは確かに重要なキラーコンテンツですが、その前に「統合型」という本質的な意味を考えることが必要だと考えています。
 例えばシンガポールがIR導入に成功したのは、単にリゾートにカジノを作ったからではないんですね。
 海外からの医療ツーリズムやコンベンション誘致に力を入れ、それらがうまく相乗効果を出している結果だと言えます。

・大阪、関西にとって、USJは一つの起爆力です。それにカジノという2つのブースターがあればIRは成り立つと思いがちですが、
 もう一つの柱として重要なのが教育だと私は思います。
・シンガポールはアジアの教育センターとして、様々な国から多彩な人材を集めており、教育産業も付加価値創出の糧にしています。
・先端的医療や検診を提供する、医療ツーリズム特区のようなものを作ることも考えられます。
 そうすれば先端医療に関する会議など、国際的集まりを誘致する基盤が生まれるでしょう
・「カジノがあって近くに温泉があります、観光名所もあります」ではなく、「統合型リゾート」という言葉を受け皿とするにふさわしい発想が重要です。
・脱工業生産力モデルに立脚した社会を模索せざるを得ない状況、
 サービス産業の高度化を進めないと日本の国民所得を豊かにすることは難しいという現実に常に立ち返る必要があります。
・国や地方の財政が厳しい中、税金を使って産業を活性化することは非常に厳しくなっています。

・IRは、透明性がとても大事であり、カジノで得た収益を地域に還元するなど、公的目的に生かしていく発想が重要になってきます。
・IR導入と共に「三条委員会」(国家行政組織法3条に基づいて設置される委員会)を設置すべきといった議論も出ています。
・寺島さんが議長を務める「IR推進協議会設立準備委員会」は、、秋に向けて正式のIR推進協議会が立ち上がる。

ポイントと言いながら、ほぼ全文を引用することになりました。
「IRビジネスフォーラムOSAKA」では数字や事例を交えながらのお話でしたが、寺島様のご講演の骨子はこのレポートのとおりでした。
産業構造の変化として「観光」「IR」を捉えるべきだとのご意見は傾聴に値します。