「澤の屋旅館」の流儀! 宿泊客の約9割が外国人…

衰退する旅館、成長するRYOKAN
まちと宿の共生が世界から人を呼び寄せる
(日経ビジネスオンライン 12月19日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141216/275246/?n_cid=nbpnbo_mlt

「澤の屋旅館」はインバウンドの草分け的存在とは知っていましたが、
「澤の屋の流儀」やアンケートの公開に書かれていることを見て、あらためてその凄さを実感しました。
廃業する日本旅館が年に1300~1500軒といいます。
この記事を読んで勇気を出してインバウンドに取り組む日本旅館が出てくることを願いたいと思います。

【ポイント】
・訪日外国人の約4人に1人が「日本旅館に泊まりたい」と希望している。
 旅館の客室稼働率は全国的に極めて低く、全国トップの箱根を有する神奈川県で50.1%、全国平均は32.4%に過ぎない。
 訪日客のニーズがある一方で、そのニーズを取り込めていないのが旅館です。

・1982年に日本旅館(12室)として1982年から外国人の受け入れ、今や宿泊客の約9割が外国人(延16万人)という「澤の屋旅館」です。
 江戸の長屋の暮らしが残る谷根千(谷中・根津・千駄木)に外国人が来るきっかけを作った宿です。
 現在、宿泊者の9割がFIT客。うち3割がリピーター、客室稼働率は9割を超えます。
 1泊だけの人もいますが、約6割が2~4泊し、平均泊数は3.3泊、中には1カ月滞在する人もいます。
 「トリップアドバイザー」が選ぶ『外国人に人気の日本の旅館2014』でも京都の料理旅館白梅に次いで第2位に選ばれました。

・旅館の数は平成元年から四半世紀で約56.1%減少。近年は、年に1300~1500軒が倒産や廃業等で消えています。
 旅館における外国人客の受け入れ消極的です。小規模な宿では施設や設備、外国語、食事やサービスへの不安。老舗温泉旅館等では外国人客のマナーの問題や、外国人客が増えることによる日本人の客離れへの懸念も少なくありません。
 日本人客だけを相手にしてきた宿が外国人客の受け入れに踏み切るにはやはり相当の決意と覚悟が必要です。

・澤の屋も1982年の夏、3日連続して宿泊客がゼロになり、廃業を考えるほど追い込まれてようやく外国人受入の意を決したといいます。
 ジャパニーズ・イン・グループに加入、すぐに外国人客の受け入れを開始しました。
 初年度は230人でしたが、グループのパンフレットに情報が掲載された次の年には年間3000人を超える外国人客が利用しました。

・澤の屋では夕食の提供はしない。客室には予め蒲団が敷かれ、部屋に備えつけのお茶のセットには煎茶の煎れ方を英語で指南。
 12室の客室のうちバストイレ付きは2室、広さは4畳半~8畳。共同浴場は檜風呂と陶器風呂の2つがある。

・澤の屋がここまで外国人に支持されているのは、アットホームな、ほっとする感覚です。

・夕食を外に委ねることで、客はまちに出て散歩や食事、買い物を楽しみ、地域には賑わいや潤いが生まれます。
 夕食が食べられる店、生活用品が買える店、ATMの場所やまち歩きスポットなどを紹介した手作りのエリアマップを提供しています。
 マップはまちで道を聞く際に日本人にも分かるように日本語と英語を併記。
 掲載する店には承諾を得て、店頭に「welcome to」の表示と外国語のメニューの作成をお願いしています。

・澤の屋の流儀  ―家族経営、単語英語、無理せずありまま―
  家族経営:フレンドリー、アットホームな魅力。
  施設の不安:無理せず、あるがままで。トイレだけ直す。
  言葉の問題:単語英語で十分。英語を話せない人もいる。身振り手振り、絵を描き、分からない時は辞書を引く。
  文化の違い:悪気はない。良い悪いではなく、文化や習慣の違いを受け入れ、どうしてそうするのか原因を考える。
  食事:夕食の提供をやめ、まちに出てもらう。客は買い物や散歩も楽しみ、まちも潤う。長期滞在の受け入れもできる。
  モット―:ありのまま。ご自由にどうぞ。困ったことがあったら一緒にやります。 
  どこの国の人も受け入れる。どの国の人にも同じもてなし。ある国の客を増やすために特別なことはしない。 

・これさえあれば、外国人の受け入れは始められる!
• バスタオル
• 洋式トイレ
• 玄関に「welcome to」
• クレジットカードへの対応

・澤の屋では開業当初から宿泊客の旅行ニーズや顧客満足のアンケート調査を行い、これまで1000組に配り回収率8割といいます。
  宿泊スタイル: 素泊まり又はB&B(洋朝食324円)、夕食なし
  宿泊者数(2013年):外国人5959人、日本人794人、計6753人
  客室稼働率(2013年):94.3%
  客層: FIT客(外国人の個人旅行者)90% ※仏米豪など欧米オセアニア88%、アジア12% リピート率: 30% 
  予約方法: 直接予約(英語のみ)99% Eメール60%、電話28%
  不泊対応: ギャランティ・リザベーション制度を活用(クレジットカードで予約を受け、1泊分請求)
  澤の屋に泊まる理由: 日本様式の宿に泊まりたかった59%、トリップアドバイザーの評価41%
  どこで澤の屋を知ったか: ガイドブック(WEB含む)43%、トリップアドバイザー35%、口コミ25%