下鴨神社にマンションが建つワケ!

下鴨神社にマンションが建つワケ 〜世界遺産でも厳しい、神社が置かれる苦境〜
(日経ビジネスオンライン 7月2日)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/070100014/?P=1


【コメント】
ショッキングなNEWSだったが、お賽銭や、氏子・企業からの募金だけでは神社が運営できない理由がよくわかるレポートだ。

日本の文化を継承して残していくための方策を真剣に考えなければ、日本の魅力は失われかねない…



【ポイント】
世界遺産の下鴨神社の境内にマンションを建設するニュースが飛び込んできたのは、2015年3月のことだった。
約9650平方メートルの敷地を神社が開発事業者に貸し、そこに3階建て104戸のマンションを建設するという。

マンションの建設予定地は、本宮があるブロックとは道路を隔てていて、森の中でもない。
今ある研修道場などを解体してマンションの敷地に変えます。生態系を壊さないように木も避けて。建物の高さも制限するし、景観に与える影響は抑えます。

下鴨神社は、本宮などを定期的に造り変える「式年遷宮」を、21年に1度実施してきた。遷宮に必要な資金を集めるため、7年間企業行脚を繰り返した。
結果としては目標としてきた22億円に対し、10億円しか募金は集まらなかった。

2015年の遷宮までに必要な本宮の修繕などはなんとか実施したものの、現在でも屋根に穴が開いた社殿もあるという。

糺の森の整備だけでも常に費用がかかるにもかかわらず、拝観料をとらない神社では、安定的な収益は見込めない。
遷宮は終わったが、今後6年かけて修繕を続けて行く。安定的な収益確保のために、土地の活用に踏み切る決心をした。

土地活用の手段として当初、最も優先して検討したのは、実はホテルの建設だった。
だが、当該の土地は基本的には50年後に1度、神社に所有権が戻される。
また、神社の格を落とさないようにと打診した高級外資系ホテルは、20年間のブランド使用料を結ぶのが一般的で、50年の間にはホテルのブランドが変わる可能性がある。
所有権が神社にある開発案件では、土地を担保にできないため、投資家は融資を受けにくく、利回りを高く設定しなければ投資対象になりにくい。

結局、ホテルの建設を断念し、代わりに今回のマンション計画が進むことになった。
マンションが施工される2016年から、地代として、事業主とマンションの居住者から合計で年間8000万円の定期的な収入を見込んでいる。

下鴨神社から1キロほど南にある梨木神社はより厳しい環境に置かれている。
全国に約8万1000ある神社のうち、7万9000が加盟している神社本庁。梨木神社はここから脱退する道を選んだ。
きっかけは、梨木神社の境内にマンションの建設を決めたことにある。
梨木神社には、氏子もおらず、これまで結婚式や祈祷で細々と資金を集めてきた。しかし、これだけでは日々の運転資金にすら足りない。

お賽銭や、氏子、企業からの募金だけで神社を運営できる時代は終わった。
景観整備などを声高に叫ぶのは簡単だが、神社が生き残っていくためには新しい神社の在り方が必要だ。