「日本われぼめ症候群」の深層!

「日本われぼめ症候群」の深層 〜デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)×石倉洋子〜
(ダイヤモンドオンライン 6月25日)
http://www.dhbr.net/articles/-/3344


明日は梅田でデービッド・アトキンソンさんの講演をお聞きします。
アトキンソンさんの言葉は辛辣に聞こえますが、
日本の”おもてなし”だけが素晴らしいというのは明らかに間違っていると思います。


【ポイント】
日本の「おもてなし」は「世界最高」と胸を張るけれど、なぜ訪日客が1300万人しかいないのでしょうか。
フランスは年間8473万人、スペインは6000万人、イギリスは3100万人ですよ。
京都の外国人訪問者数は190万人ですが、ロンドンは1600万人、パリは1500万人です。なのに「京都は世界一の観光地」という。
外国人の私にそう感じさせるのは、結局日本のマスコミが勝手に言っているだけ

工芸の世界でも、「この素晴らしさ、あなたはわかりますか」と平気で言う。
彼らが決めたものが世界最高であり、それがわからないのはあなたが悪い、という典型的な供給者の発想です。
茶道でも「客三分、亭主七分」というのですが、お茶会の楽しみは亭主が主で、亭主が用意した趣向を理解できるのがよい客です。

海外のホテルなら「お部屋のエアコンはきつくありませんか」「お部屋は快適でしたか」。
レストランならば「お味はいかがですか」「ワインは料理に合っていましたか」。
日本のホテルや旅館、レストランで、そんな問いかけは一切ありません。逆に客が「ご馳走様でした」と感謝している。変ですよ。

漆塗りの修復は日本産の漆でやるべきなのに、同じ漆だからといって価格の安い中国産を使う。
そのほうが儲けも大きいわけですが、中国産を使っていることがバレて問題になると、中国産を標準にしてしまうのです。
金箔も同様で、1枚ずつ和紙で挟み込んで叩いて薄くするのが正しいやり方なのに、そんな手間をかけず薄くできて儲けも増えるシリコンを使う方法が多用される。

職人さんから「周りの会社の人たちは何も変えないのに、自分たちだけ上のレベルをめざして苦労するのは損じゃないか」と言われました。
「上のレベルは気にして当然ですけど、下のレベルをあなたが気にする必要があるんですか。下なんか放っておいて、自分の力をどこまで出せるかに専念したほうがいいですよ」。

日光東照宮、特に陽明門の仕事です。最高レベルの技術と多額の資金が投入されるし、別格といえます。
1つは、やはり神様に捧げる仕事なので、人間の損得で考えてはいけない仕事だからです。
2つ目は、仕事すべてが次の世代に対する「挑発」であることです。何十年か後に劣化した部分の修復作業が始まった時、「こんなすごい仕事をしていたのか」と未来の職人を挑発する。それが最高レベルの技術を継承することにつながります。
3つ目は、職人のプライドです。全力を投入した仕事への満足感が、参拝客や家族に向けた自尊心の礎となり、職人の生き方そのものとなります。

日本の国宝や重文建造物の修理・保存予算は年間81億円しかなく、500億円規模のイギリスと大きくかけ離れていると指摘されています。
その結果、イギリスでは文化財を中心とした観光経済は2兆8000億円で、そのうち4割が外国人観光客。
世界で見ても、GDPに占める観光業の貢献は9%前後であるのに対して日本は約2.6%。もっと文化財を核にした観光を伸ばすべきだ。

文化財にしても観光産業の肝になりえるのに、「VISIT JAPAN」では施設として紹介されますが、どう見せるか、どうお金を落としてもらうかという戦略はまるでない。それでいて「日本、最高でしょ」と自惚れている。