観光を持続させるカギを握る「掛け算!」

観光需要を持続させるカギを握る「掛け算」 〜名所・旧跡頼りの一本足観光から脱却する発想を〜
(日経ビジネスオンライン 8月3日)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/072700006/?n_cid=nbpnbo_mlt&rt=nocnt
 
 
現代アートがこれほど人を引き寄せるとは想像もしなかった。
確かに「面白い」と感じるのだが、すぐに飽きられるのではないかと思ったが、リピーターが増えている。
何処も同じイベントでは脳がないが、従来の魅力だけでは観光は成り立たなくなった。
「歴史×食×観光」という掛け算は当然だと思う。
 
 
【ポイント】
旗を持った添乗員を先頭に、メガネをかけ、首からカメラを下げてぞろぞろ歩く。こういった日本人団体客を揶揄するカートゥーン(漫画)が、海外メディアに頻繁に掲載されていた。
急激に増えた日本人観光客を目当てに、ホテルやショッピングできる場に投資マネーが向かった地域もあった。
そのいくつかは、日本経済のスローダウン、そして団体旅行のブーム終焉でかなりのダメージを受けた。
新興経済の旅行ブームは、必ず量的、質的に変わっていくものだ。

持続可能な観光を作り上げる効果的な戦略の一つは「掛け算」だ。
名所・旧跡頼りの一本足観光ではなく、例えば、「歴史×食×観光」という掛け算を作り出す。

ゲランドの塩はいまだに人手をかけ、塩田で作られているが、以前はブランドが弱く、生産コストの低い工業製品の精製塩に押される一方だったという。その後、品質の高い食品としての政府の認定や、生産地と製法を定めた原産地呼称法の対象となってから、プレミアム価格での販売が可能になり、さらに販売量も伸びたそうだ。

早い段階から、観光を組み合わせた。
単にミネラルの多いおいしい塩ということをPRするだけではなく、地元に観光客を呼び寄せ、実際に製造プロセスと製品の良さを感じてもらうための仕掛けを作った。
塩田の風景を生かしたツアー設定、塩作りのミュージアム設立、さらには有名シェフとのコラボなど。

日本でも最近、欧州に範を取った原産地呼称法(「地理的表示保護法」)が制定された。

アート×観光で最もよく知られているのが、香川県の直島だろう。
この島は現代アートがあることで活性化し、年間40万人もの訪問者、そのうち欧米からの旅行者が8万人を占める『奇跡の島』となっている。
ミシュランのガイドブックで星が付き、最近、欧米では非常に影響力のあるロンリープラネットのガイドでも、たいへん価値のある旅行先として日本のトップ20の中に挙げられている。

直島の場合、古民家などを作品化する「家プロジェクト」を最初に手掛けたアーチストの宮島達夫氏が、制作プロセスに地元住民に参加してもらい、参加した証明書も作成して手渡したという。
これがきっかけとなって、地元の人々が直島のアートプロジェクトを身近に感じ、受け入れていったそうだ。

持続可能な形でそれを継続していく上で、観光の「掛け算」、そして「地元の巻き込み」ないしは「地元の主体的動き」と「しつこく続ける」ことが何よりも重要だ。