個人宅宿泊の旅館業法下の問題点!

個人宅宿泊(いわゆる民泊)の旅館業法下の問題点、現状と課題を観光庁に聞いてきた!
(観光庁観光産業課課長補佐の谷口和寛氏)
(トラベルボイス  8月 4日)
http://www.travelvoice.jp/20150804-47833


大阪府が個人宅宿泊(民泊)に向けた国家戦略特区の条例案を再提案する動きがある。
訪日外国人増加のなか、エアビーアンドビー(Airbnb)など個人宅宿泊のネット仲介サービスが拡大しており、

何らかの緩和策が講じられればよいと思うが、安全性を犠牲にして良いものでもない。
一定のルールのもとに、活用されていない個人住宅に新しい利用の道が開かれればと思う。
このレポートは、法律上の問題点、観光庁の考え方がよく理解できる。


【ポイント】
・法的に「グレー」と言われつつ、エアビーアンドビー(Airbnb)など個人宅宿泊のネット仲介サービスが拡大している。
政府は「規制改革実施計画」で、この無秩序の状態にある国内の現状に対して2016年までに”結論”を出すことを閣議決定した。

・「民泊のニーズがあるのも、そこで良い体験をしている人がいるということも聞いている。それが地域の観光に資することもあるだろう。しかし、現在はどこで誰を泊めているのかわからない無秩序状態。それは危険ではないか」との現状認識を示す。
(感染症、不法滞在者、違法な営業活動、ホストとゲスト間のトラブル、ホストと不動産所有者とのトラブル)

・旅館業とは、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」。ここで言う「営業」とは、社会性をもって継続・反復されているものを指す。
これを、仲介サイトに登録している個人宅ホストに当てはめた場合、取引対象が世界中の仲介サイト閲覧者となるため、社会性が認められる。
一度ゲストを宿泊させた後も仲介サイトに登録している場合、継続の意思があると思われるため、”営業”としてとらえられる可能性が高い。

・旅館業法上、営業の種別は「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業(カプセルホテル、ドミトリー等)」「下宿営業」の4つあり、営業種別毎に、許可を受けるための要件が課されている(許可主体は都道府県)。
「ホテル営業」は部屋数10室以上、「旅館営業」は部屋数5室以上といった要件が課され、いずれも玄関帳場(フロント)が必要とされる。
”下宿営業”は、1ヶ月以上の期間を単位として人を宿泊させる営業種別で、民泊になじまない。
許可を取得するとすれば、”簡易宿所”の営業許可になるが、客室の延床面積が33㎡以上必要であるし、条例で玄関帳場の設置が求められることもある。

・民泊が旅館業となった場合: 仲介業者は「旅行業」取得の義務
シェアリング・エコノミーへの規制の難しさは、それがC to Cという新しいビジネスモデルにある。
仲介事業者自体は、自ら宿泊サービスを提供する訳ではないので、旅館業法の規制対象ではない。
しかし、宿泊サービスに関し、代理、媒介、取次ぎを実施して手数料を収受する行為は、旅行業法に基づく「旅行業」に該当する可能性がある。 
民泊が旅行業法上の「宿泊のサービス」に当たるかどうか。観光庁の解釈では、旅館業法に基づく「旅館業」にあたる宿泊サービスという。
「旅館業」と認められれば、仲介事業者は旅行業の登録を受ける必要がある。

・個人宅で”営業”が行われる場合、個人事業主として納税の義務が必要になる。税務署がどこまで捕捉できるかという問題もある。
既存宿泊業者のあいだでは、基本的に人を泊めることは同じであり、同じ条件のもとでの競争でなければフェアではない。

・民泊が、実際にどういう物件でどのような人をどのように宿泊させているのか、まだまだわかっていない。まずは、関係省庁が連携して、実態を調査することが必要。

【これまでの経過】
・2014年4月「国家戦略特別区域法」が施行され、旅館業法の適用除外が認められた特別区域での外国人滞在施設経営事業については、自治体による条例制定の壁が厚く進んでいない。
同時期に、「国家戦略特別区域法」の旅館業法適用除外を活用する「とまれる」スタート。エアビーアンドビー(Airbnb)が日本法人を設立する。
2015年6月「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」で、外国人滞在施設経営に関し、「早期実施を図るため、宿泊者名簿の設置等を含めた適切な対応を検討し、当該制度に基づく事業の実現を図る。」という文言が組み込まれた。
2015年6月「規制改革実施計画」で、「民泊サービスについては、関係省庁において実態の把握等を行った上で、旅館・ホテルとの競争条件を含め、幅広い観点から検討し、 結論を得る」と閣議決定で一歩踏み込んだ。