中国人団体客は観光産業の発展に貢献しない ~台湾政府観光局が考える、国を富ます観光戦略~ 

中国人団体客は観光産業の発展に貢献しない 〜台湾政府観光局が考える、国を富ます観光戦略〜
(日経ビジネスオンライン 12月2日)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/112700055/120100002/?n_cid=nbpnbo_mlt


このレポートは含蓄に満ちている。
国際観光都市”台湾”の知恵を学ばなくてはならない。
インバウンドは、団体ツアー客でなく、個人観光客を大切にしなければならないのは当然だが、中国人団体客を1日あたり5000人に制限している理由には含蓄がある。経済優先でなく、長期的視野を持ち、台湾の観光産業全体の発展を考えられている。
中国人観光客のマナーの悪さは台湾でも同じようだ。だからこそ団体客を制限しているという。
人気した観光地の土産物店などが同質化して魅力を失った失敗事例の話も参考になる。
日本でも京都などは入り込み制限を真剣に検討しなくてはならない時期に来ている。
京都の宿泊施設では中国人ツー客を受け付けないとの話も聞く。
インバウンド2000万人時代を迎えた観光政策が大切である。


【ポイント】
人口約2300万人に対し、年間991万人もの外国人観光客が訪れる台湾。アジアでも有数の観光先進エリアだ。

グルメや景色だけをアピールしても観光客には何も響かない。観光客の求めるものや嗜好に沿った訴え方が必要だ。
台湾人の暮らしぶりや習慣、文化に触れていただく「ライフスタイル観光」を推奨している。できればそれを体験してもらう機会を設ける。
個人観光客に来てもらう政策を意図的に打ち出している。観光客向けインフォメーションや標識の多言語化に力を入れているのは、個人客が自分たちで自由に動いてもらうためだ。

2008年に中国大陸からの観光客受け入れを始めました。
1日当たり団体客は5000人に制限しています。
旅行代理店などから、制限に対する苦情や訴えが続いているが、この方針は当面変えるつもりはない。
たくさん買い物をするので、受け入れた方が台湾経済にはプラスに働くが、団体客に頼った観光政策をしていると、偏ったエリアや業界にのみお金が入る構造になり、台湾の観光産業全体の発展につながらない。
個人客は、自分たちでいろんなところを回りますから、広範囲に恩恵が行き渡る。
中国大陸から1日約1万人ほどの観光客が訪れているが、団体客と個人客の比率が1:1になるように調整している。決して「大陸からの観光客お断り」と言っているのではなく、団体客が増えすぎないようにしているのです。

中国大陸から来る観光客のマナーの悪さは台湾でも問題になっています。でも、中国からの個人客に関してはそのような話をあまり聞かない。
人間、大勢になるとどうしても自分の行動に責任を持たなくなり、平気でゴミを捨てたり、大声を出したりする。気が大きくなってしまう。
台湾人の中国に対するイメージが悪くなると観光産業のすそ野が広がりませんから。お互いのためにも、団体客にはご遠慮いただいた方がいい。

「同質化」に陥らないように気をつけるよう訴えている。
台湾の観光地、九份(きゅうふん)の失敗事例だが、昔に金鉱山があり栄え、古い町並みが魅力の場所だが、知名度が上がるに連れて、たくさんの土産物や茶芸館が軒を連ね、同質の店になってしまった。
今、九份の事業者に対して、自分たちの魅力をもう一度、自ら考え直すようお願いしている。

台湾全土のイベント、祭りなどをすべて調べ上げたところ400以上あり、42のイベントを「海外客向けにもピーアールできるポテンシャルを持つもの」と判断し、「台湾観光年暦」を作成した。
また、どうすれば外国人観光客に訴求できる国際的な行事へと変われるのか、アドバイスや支援をしている。