インバウンド傾斜が歪める観光立国への道=星野佳路氏

インバウンド傾斜が歪める観光立国への道=星野佳路氏
(ロイター 1月15日)
http://jp.reuters.com/article/view-yoshiharu-hoshino-idJPKBN0UL0S5


国内旅行消費額の約9割を占める日本人向け市場を活性化させなければならないという星野佳路氏の見識は当然だ。
日本人向け市場が低迷を続けているのは、団体旅行偏重の世界からまだ脱却できていない点にある。
いまだに修学旅行の獲得合戦が繰り広げられている。
大切なのは、外国人旅行者も含めて団体旅行から個人旅行に変化している点だ。
非日常を体験できるようなプログラムの開発が重要だ。


【ポイント】
経済成長と地域再生につながる欧州並みに成熟した観光立国を目指すならば、旅行・観光産業の構造改革は不可避だ。
最大の問題は、国内旅行消費額の約9割を占める日本人向け市場の低迷傾向と旅行・観光産業の「稼ぐ力」の弱さである。

2014年はインバウンド消費が13年の1.4兆円から2.0兆円に伸びる一方で、日本人による国内旅行消費額は20.2兆円から18.5兆円に下がり、その結果、全体の旅行消費額は21.6兆円から20.6兆円に目減りした。
特に深刻なのは、若年層の旅離れが進んでいることだ。20―34歳の宿泊旅行実施率を見ると、05年度には64.0%だったのが、13年度には57.5%まで低下している。
インバウンドにしても、消費額は上位5都道府県(東京・北海道・大阪・京都・千葉)で65%、上位10都道府県で80%を占めている。

こうした構造問題をいかに解決していけばよいのか。むろん旅行・観光産業の自助努力が不可欠であることは言うまでもないが、産業全体の改革意識の方向づけに政策が果たす役割も当然大きい。
観光立国実現に向けて正しいKPI(重要業績評価指標)を設定すること。インバウンドだけではなく、日本人も含めた観光消費額、雇用数など経済成長への貢献度をより明確に説明できるKPIを組み入れるべきだ。

東京五輪は「オールジャパン」での開催を真剣に検討すべきだと思う。
各種目に最も適していると思われる地域で分散して行うのはどうだろうか。そうすれば、東京五輪は、世界に対して日本の地方が持つ魅力の多様性を紹介する千載一遇のチャンスになる。

休日の地域別分散化である。
日本の旅行・観光需要が伸び悩み、関連する産業の生産性・収益性が低くなってしまう最大の理由は、約20兆円にもなる国内需要が特別の日に集中するためである。フランスなど欧州の観光先進国では地域ブロック別に大型連休が設定されており、それが需要の平準化をもたらしている。
日本は「100日の黒字と265日の赤字」という構図に陥っている。
100日しか儲からないから生産性は低いし、非正規雇用率も高くなってしまう。

日本の旅行・観光産業の付加価値誘発効果は約24兆円(対名目GDP比で5%)と、自動車産業の半分強ある。