迷走する「民泊」、解禁ではなく規制強化?

迷走する「民泊」、解禁ではなく規制強化?
(日経ビジネスオンライン 1月29日)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/012800155/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt


断崖絶壁の一軒家やリゾート地の別荘、日本の田舎の古民家などは「民泊」にもってこいだ。
しかし都心のマンションなど居住者と混在する住居の場合、「民泊」には不向きだろう。騒音、ゴミ出しのマナーだけでなく、共有部分を使用について、財産権についても問題が出そうだ。
国の検討委員会でも、マンションの管理組合の了承文書の提出を求める方向だ。
しかし、宿泊するゲストが日本の自然な生活を体験したいとの需要も根強く、それらの要望に応える必要もあるだろう。
このレポートは、「民泊」の解放の議論が、規制の論理にすり替わっているとの論旨で書かれている。
規制を強化しては問題があるが、規制を緩和するなかで実態に即した結論を国に期待したい。


【ポイント】
Airbnbの掲載物件は世界190カ国、3万4000都市以上に200万件超ある。利用者数は2008年の創業以来、延べ6000万人を超えた。
Airbnbを通じて国内物件に宿泊した「ゲスト」の数は、2014年7月~2015年6月の1年間で52万5000人。その多くが外国人旅行者で、2015年通年では100万人を超えたようだ。

政府内で規制緩和の議論も、規制緩和の名を借りた「規制強化」が進んでいる、と感じている。
民泊解禁の動きは、昨秋の「国家戦略特区諮問会議」で新たに14の事業計画を特区として認定した。
大田区の事業は、条例制定など一定の条件のもと、民泊を旅館業法の適用除外とするもので、昨年12月に条例を制定した大田区は1月29日、民泊事業者の申請を開始した。
特区認定された大阪府も条例を制定済みで、今年4月にも申請を開始する。
特区が定める条件は、「事業者による申請」「事業者による近隣住民への説明義務」「滞在日数が6泊7日以上」など。

「旅館業法を適用した上で、その運用を緩和することが適当」
「簡易宿所の枠組みを活用して、旅館業法の許可取得の促進を図るべき」
「許可を取得しやすい環境を整えるべき」
「仲介事業者に対し、サービス提供者(ホスト)が旅館業法の許可を得ているかを確認させるべき」
旅館業法で、カプセルホテルなどを想定した比較的、規制が緩い「簡易宿所」という業態に、民泊もはめ込むという発想。
「旅館業法を緩くして、全てのホストに許可をとってもらいましょう」と、むしろ民泊を規制の網にかけようとする施策だ。

欧米諸国では、国レベルで民泊を禁止してはおらず、自治体レベルでも「一定の条件のもと規制しない」、つまり法の網から外すというのが世界的な趨勢となっている。
英ロンドンでは昨年3月、「住居を宿泊施設として使用する日数が年間90泊以内は自治体の許可を必要としない」とする法改正があった。オランダのアムステルダムも「年間60日以内、同時宿泊者4人以内、ホストが近隣の同意を得ている場合は許可不要」。上限を定めることで、業者などによる過剰なビジネスや近隣への迷惑を抑制している。
仏パリやアムステルダムなど、宿泊にかかる納税制度(宿泊税や滞在税)がある地域では、ホストではなくエアビーが自治体に一括して支払うことで解決している。