高野山のまちづくり!

【高野山のまちづくり】の3部作をご紹介する。
長文にはなるが、いまの高野山の実情、そして訪日外国人への対応を考えさせられるレポートだ。
① http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00272/

② http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00311/

③ http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00313/
高野山内には113の寺院があり、52坊が宿坊を営むという。
しかし、宿泊客数は1973年の92万人をピークに、2014年には27万人と減少している。理由は信者が減っていること。
参拝客が減っているのは、高野山に限った話ではない。キリスト教も含めて全世界的な傾向である。
そうするなか、外国人観光客はこの10年で1万530人から5万4511人へと5倍以上に増えた。
多くがヨーロッパからの個人客であり、最も多いのがフランス人だ。
高野山に来る外国人の大半は、日本の生活文化体験を求めて来られる欧米人。
しかし、寺院としての信仰の問題、寺院や宿坊の老朽化の問題、そしてマイカーの流入による交通渋滞の問題と課題は絶えない。
今、訪日外国人が増えており、”爆買い”がもてはやされているが、訪日外国人に真の日本文化を理解し、日本ファンになってもらうために考えなければならない課題は多い。
【高野山のまちづくり①】祈りの聖地にゲストハウスが誕生。”お大師さんスピリッツ”を継承する若い世代の挑戦
(HOME’S PRESS 2015年10月18日)
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00272/
高野山内には今も113の寺院がひしめき合い、このうち52坊が宿坊として参詣者を迎え入れている。
2004年~2014年の10年間で、外国人観光客の数は1万530人から5万4511人へと5倍以上に増えた。
2012年の『高野山ゲストハウス Kokuu』の開業した
希望者には近所のレストランを紹介。各店舗に英語メニューを置いてもらい、地域と役割分担しながら外国人客をもてなす。
最初は『そんなん無理や』と言っていた近所のとんかつ屋のおばちゃんも、今では英会話を習いに行く。
外国人旅行者にとってKokuuの存在が、高野山を訪れるひとつのきっかけになれば。高野山の魅力を世界中の人に伝える自分なりの“布教活動”
Kokuuに泊まった外国人を、高野山周辺の“限界集落”に案内するともいう。

【高野山のまちづくり②】外国人観光客であふれる高野山。今、密教の聖地で何が起きているのか
(HOME’S PRESS 2月4日)
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00311/
高野山の町の最大の特徴は、門前町ではなく“寺内町”である。
高野山に居住する2500余人のうち、僧侶の数は約700人。
日帰り客の増加にともなう宿泊客の減少だ。
宿泊客数が92万人と1973年をピークに、世界遺産登録の2004年には37万人、2014年には27万人と減少の一途をたどっている。
理由は信者さんが減っていること。かつては4200を数えた金剛峯寺の末寺も3600に減り、信者さんの高齢化も進んでいる。
宿坊に宿泊して参拝する人が減り、日帰りする人が増えている。
一方で、外国人観光客が急増している。
世界遺産になった2004年に高野山を訪れた外国人の数は1万人。それが、2014年には5万5000人まで増えた。
現在、山内の宿坊に泊まる人の4、5人に1人は外国人。その多くがヨーロッパからの個人客であり、最も多いのがフランス人だ。
外国人の受け入れに積極的な宿坊と、それ以外の宿坊に二極化が進行している。
外国人の受け入れをせず、旅行会社と組んで団体パッケージツアーに力を入れる宿坊もある。
ツアーの申し込みが少なければキャンセルになる可能性もある。個人客を受け入れれば、それだけ手間数も増える。
ましてや外国人を受け入れるとなれば、大変な手間暇やコストがかかりる。
それでも、個人客や外国人を受け入れている宿坊は、お客さんも増えている。外国人はオフシーズンの冬も多い。
現在、外国人の受け入れに積極的な宿坊は10数件
恵光院では、外国人向けの「奥之院ナイトツアー」を実施。阿字観瞑想体験を行ったり、朝の勤行に護摩行を加えたりと、体験型プログラムの充実に努めている。
無量光院では、スイス人僧侶のクルド師が「YOKOSO! JAPAN大使」として活躍中。
蓮華定院は、住職のご母堂が英語に堪能なことから、外国人の受け入れを一手に引き受けてきたパイオニア的存在だ。
参拝客が減っているのは、高野山や日本の霊山に限った話ではない。それは、キリスト教も含めて全世界的な傾向である。
宿泊客がこのまま減り続ければ、宿坊寺院は維持できなくなり、やがては高野山の伝統的な景観が失われるのではないかと危惧する声もある。
それを食い止めるためには、「いかに宿泊客を増やすか」が鍵となる。1200年の仏都・高野山もインバウンドなくしては存立できなくなる時代が、もうそこまで来ているのだ。
【高野山のまちづくり③】1200年の仏都を揺るがす、寺院の老朽化問題。世界遺産の木造建築群は守られるのか
(HOME’S PRESS 2月11日)
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00313/
高野山は、古来の姿を“変えなかった”ことによって外国人が増えてきた町。
北海道のニセコ町のように、外国人を受け入れるためにまちづくりをしてきた地域とは根本的に違います。
高野山の生命線は、1200年の歴史の厚みと、「お寺に泊る」という生活文化体験にある。外国人に迎合するような変え方は一切していない。
建物の老朽化にともなう「建て替え」の問題がある。
宿坊は「旅館」と見なされるため、木造で改築するためには法規制をクリアしなければならない。このため宿坊を、やむなく鉄筋で建て替えるケースも見られる。和歌山県では相談窓口を設置し、木造での改築を望む寺院からの相談に乗っている。
観光客の急増は、マイカーの流入による「交通渋滞」をひきおこすこととなった。
高野山は山中にあるため土地は限られており、駐車場に転用できる土地はほとんど残っていない。
渋滞緩和を図るため、町の周縁部の駐車場にマイカーやバスを停め、路線バスなどを利用する「パークアンドライド」の導入を検討中だ。
高野山に来る外国人の大半は、日本の生活文化体験を求めて来られる欧米人。
『郷に入れば郷に従え』で、部屋がバス・トイレ付きでないことや、鍵付きの個室でないことは気にならないようだ。
『立派な襖絵がある部屋に泊まれた』と、日本的な雰囲気を味わい、高野山ならではの生活文化を体験できることが、逆にプラスとなっている。
朝の勤行に参加する外国人の数が多い。内陣には住職以下、役僧がズラリと並び、朗々たる読経の声が本堂に響く。その後方に控える30人ほどの宿泊客のうち、7~8割が外国人だ。