通訳ガイド問題解決の糸口は?

通訳ガイド問題解決の糸口は?

(やまとごころ特集レポート 4月7日)
http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_23.html
通訳ガイド問題は市場と制度のギャップが大きく、制度設計の見直しが迫られている。
国も制度改革を検討しているが、遅々として進まない。
そするうちに訪日外国人が急増し、通訳案内士の数が足りないため、本国から通訳ガイドを同行する形態がまかり通っている。
ハードルの高い通訳案内士でなく、特区による地域限定通訳案内士のような制度から通訳ガイド問題の解決を図ってほしいものだ。
【ポイント】
今年も訪日客数は前年比43.7%(1~2月の集計)の伸びを見せている。
3月上旬、中国発クルーズが寄港する福岡市で、ツアー客の観光ガイドとしてバスに同乗し、免税店を案内し、コミッションを得ていた中国人不法ガイドが摘発された。
逮捕された中国人は「就労資格のないビザで日本に滞在し、中国人観光客らをボランティア名目で案内。その見返りとして案内先の免税店から計約7500万円の報酬を受け取っていた」(日本経済新聞2016年3月4日付)。
彼らにコミッションを渡していた免税店や業務を委託した旅行会社も「不法就労助長」容疑で書類送検された。
通訳ガイドは「通訳案内士」の資格が義務づけられている
(通訳案内士法第2条、第3条、第18条及び第36条)。
日本文化や歴史を外国人に伝えるには、語学力はもちろん、それ相応の知識を有していることが条件とされるからだ。
観光庁では、2008年から関係者を集めて「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を続けている。
通訳案内士制度が創設されたのは1948年(昭和23年)。


通訳案内士のうち英語が67.8%、中国語は12.0%しかいない。
東京や神奈川など4分の3が都市部の在住者が占める、地方の観光地も、都市在住の通訳案内士が対応している。

通訳案内士の資格を持ちながら実際の職業にしているのは、全体の4分の1に過ぎない。
人材の高齢化が進み、若い世代が圧倒的に不足している。
背景には、通訳ガイドの職業としての不安定さ、フリーランスとして生計を立てていかなければならない難しさがある。
国家資格制度には、有資格者以外に業務の従事を禁じる「業務独占」、有資格者以外は名称の使用を禁じる「名称独占」、事業者に公的資格を有する者の配置を義務づける「必置」の3つがある。

昨年の訪日中国客が約500万人に対し、中国語の通訳案内士は約2000名。訪日客が激増し、有資格者が足りないという事態となった。
通訳案内士団体からの反論がある。
「中国語や韓国語のガイドが無資格者に市場独占されているためで、数が足りないという意見は正しくない」
「ガイドの質を担保するためには業務独占は必要」
「訪日客に対する詐欺行為等を取り締まる観光警察を創設すべき」
日本でも通訳案内士と外国人をマッチングさせる「トラベリエンス」のようなサービスも始まっているが、同じことは、在日中国人らが始めているからだ。
有資格ガイドを日本側が用意することができなかったことが問題。
長期的な視点に基づき、訪日旅行市場をより健全化するための制度の見直しの進め方である。
「違法・不当な旅行案内」の常態化は、海外の旅行関係者からも不信を招いていることは自覚したほうがいい。
 
中国語通訳案内士の水谷浩氏が率いる彩里旅遊株式会社の取り組みがある
2014年4月に設立された中華圏のVIP旅客を対象とした受注型旅行や手配旅行、募集型旅行の企画、販売を行う旅行会社だ。
http://www.ayasato.co.jp
通訳案内士自身が起業し、集客から企画、販売まで行う事例として注目だ。