「民泊大国」フランスの惨状を見よ! 〜パリは人の住めない街になった〜

民泊大国フランスの惨状を見よ! 脱税横行、家賃上昇、人口減…「パリは人の住めない街になってしまった…」

(産経新聞 4月24日)
http://www.sankei.com/premium/news/160423/prm1604230010-n1.html
「民泊」が適正に管理・運用されないなら排除せざるを得ない。
「民泊」を単なる金儲けの材料にしてはならない。
訪日外国人観光は、日本の次世代産業として育成していく必要があり、一部の事業者に利益が落ちるのではなく、地域に経済的にも雇用の面でも貢献し、地域の生活を破壊するものであってはならない。
記事にある「地域社会へのダメージや既存業界の衰退を招いたり、脱税の横行や収益の国外流出につながったりしては元も子もない」にまったくもって同意である。
【ポイント】
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が、フランスの業界団体を招いて「緊急フォーラム」を開催。
フランスのパネリストらが「フランスの失敗に学んで二の舞を避けよ」と、民泊の拡大に警鐘を鳴らした。
「パリは、住民が住めない街になった」
ホテルやレストランなどの事業者団体「GNI」のディディエ・シュネ会長は緊急フォーラム「民泊の真実」で嘆いた。
アパートなどの所有者がこぞって民泊営業に乗り出したため、パリの家賃相場が急上昇した。
賃貸契約の25%が更新されないなど、住宅不足が深刻化。
とりわけ観光客の人気スポット周辺では「住民が減った結果、学級閉鎖といった事態も起きている」という。
Airbnbに登録されているパリ市内の民泊物件は約6万件、ベッド数にして約20万床。ホテル(11万床)の2倍近い。
2014年の訪仏観光客数は8370万人と08年比6%近く増えたにもかかわらず、逆にホテルの客室稼働率は59・2%と2ポイント以上低下。
業界の雇用減少を招いている。
ホテルの平均宿泊料152ユーロに対し、民泊は同103ユーロと大幅に安い。
ホテルと異なり、安全面やユニバーサル対応といった設備投資などが不要なためだ。

仏ホテル事業者の税引き前利益が売上高の5~10%程度なのに対し、民泊の場合は60~70%と“ぼろもうけ”。
フランスの民泊ホスト(貸し主)のうち、きちんと確定申告して納税しているのはわずか15%に過ぎない。
貸し主が偽名でも物件登録できるという仲介サイトの「匿名性」が、脱税の温床になっている。
パリ市内では30歳代の女性が150もの物件をAirbnbに登録。イタリアの女性は欧州全土で600件以上を貸し出していた。
個人を装った企業によるビジネスであることは明白。
Airbnbがアピールする、個人と個人がサービスをやり取りし、出会いや体験を共有するという「シェアリングエコノミー」の名に値するとはいえない。
日本国内では、Airbnbへの登録物件が今年2月時点で3万件を数えるほか、中国系サイトの「自在客」なども急拡大を続けている。
国や自治体による規制やルール作りが後手に回り、実態が先行している状況だ。

日本政府は、訪日観光客数を4年後に4千万人へ倍増させるという野心的な目標を掲げた。
ネックとなる宿泊施設の不足を補う上で、民泊の規制緩和は避けて通れない。
だが目標を達成したとしても、地域社会へのダメージや既存業界の衰退を招いたり、脱税の横行や収益の国外流出につながったりしては元も子もない。

フランスの例を見れば、民泊を健全な形で日本に定着させる上で、匿名性の排除や、無許可営業・脱税の厳正な取り締まりは欠かせない。
厚生労働省と観光庁は、仲介サイト事業者に旅行業法に基づく登録を義務付け、ホストの管理責任を課すことなどを検討している。
6月中にまとめるルール作りの方向性が注目される。