中国人旅行客の爆買いの代表格「ドンキホーテ」の戦略!

なぜドン・キホーテには“中国で認知度ゼロ”でも訪日客が集まるのか

(BLOGOS 5月30日)
http://blogos.com/article/177388/
ドンキホーテグループのJ.I.S.(ジャパン インバウンド ソリューションズ)中村好明社長の「インバウンド戦略 ―人口急減には観光立国で立ち向かえ! ―」の内容と同じことが簡潔に書かれている。
「地域が連携しなければならない」と誰もが言うが、ヒトとカネの問題もあり企業が連携するのは簡単ではない。
ショッピングの世界でここまで実現された、中村社長の取り組みが最高のモデルかもしれない。
【ポイント】
中国人旅行客の爆買いの光景の代表格は、家電量販店「Laox」とディスカウントストア「ドン・キホーテ」だろう。
Laoxはターゲットが団体客、ドンキは個人客で対照的だという。
ドン・キホーテは無駄をそぎ落とし、1円でも安く提供するディスカウントストア。キックバックの原資などない。ビジネスモデルが違う。
ドン・キホーテは08年に旅行客からの要望を受け、中国人の大半が決済に使う銀聯カードを導入して以降、全店での免税対応、多言語のHPや店舗POP、訪日外国人客専用コールセンター設置、無料Wi-Fiなど、いち早く受け入れ環境を整備してきた。
今や訪日客の来店は急増し、14年のインバウンド売上高は年間400億円と7年間で40倍だ。
7年前に中村氏が責任者に就いたとき、中国の旅行会社における同店の認知度はゼロだったという。
戦略進化1:知名度を上げた「使える」マップ
ドン・キホーテが個人客向けに本格的なインバウンド戦略を開始したのは10年3月。
東京・新宿のホテルから「訪日客が夕食後の夜の時間帯も楽しめるようにしたい」と要請を受け、域内2店舗とホテル群を結ぶ多言語マップを作成。
訪日客から、地域のグルメや観光情報もほしいとの要望を受けて、ドン・キホーテ周辺の飲食店の情報を掲載した「ようこそ!マップ」を作成した。
「ようこそ!マップ」は中国での旅行博でも、配らなくても来場客が手に取っていくようになり、ドン・キホーテの知名度を押し上げていった。

戦略進化2:ニーズをつかんだ特典付きカード
マップと同時に取り組んだのが、日本人向け会員制サービスシステムを応用した訪日客向けの「ようこそ!カード」という各種特典付きカードだ。
国内外の旅行会社700社と提携、チケットと一緒に渡してもらう仕組みを導入。ホテルでは、チェックイン時に手渡してもらった。
使用した店舗わかり、免税販売のデータと合わせれば、どの国の旅行客がどの店でどんな商品を買っているかリアルタイムでつかめる。
ドン・キホーテの訪日客の時間帯別売上高のピークは夜10時台で、昼間の3倍も高い。
ドン・キホーテの店内には自国の言語のPOPがついた売れ筋が並ぶ。
訪日客専用コールセンター「ウェルカムデスク」には、英語、中国語、韓国語、タイ語のスタッフが常駐し、各店舗とiPad のテレビ電話につながる。
中国元、USドルなど7通貨に対応し、外貨でレジ精算ができる機械も設置。お釣りは日本円。
戦略進化3:地域連携で街を目的地に
山梨県の石和温泉組合から提案を受け、ドンキのいさわ店と温泉街を結ぶ夜間シャトルバスを走らせた。
店舗では中華圏の縁起物の水餃子や甘酒を用意し、中国人スタッフも泊まり込みで対応。シャトルバスは大好評を博した。
東日本大震災発生。訪日プロモーション事業に国が補助金を出す仕組みを活用した。
例えば、広島地域の周辺5県をワンセットにした「ようこそ!マップ」を作成。エリア内の好きな街に行ってもらうよう仕かけた。
戦略進化4:大型店もスクラム「街を売る」
伊勢丹も訪日客の自然増に応える受動型でなく、積極的な戦略を打つべきだという意見から新宿エリアでの連携企画を持ちかけられた。
伊勢丹新宿店と激安のドン・キホーテが組み、京王百貨店、マルイ、東急ハンズ、ビックカメラ、ルミネの7社12店舗が「相互送客」の理念を掲げて共同販促の実行委員会を組織。14年1月31日から2カ月間、「新宿ショッピング・キャンペーン2014春」を開催した。
店舗情報と訪日客向け特典を掲載した4カ国語のガイドマップを作成。
J.I.S.の提携先の海外の旅行会社と域内20のホテルに計8万部配布。期間中、多言語フラッグが掲げられた。
ドン・キホーテの域内2店舗のインバウンド売上高は前年比400%を超えた。
新宿観光振興協会と組んだ常設の「新宿インバウンド実行委員会」が発足。中村氏が会長職に就いた。
高島屋や小田急百貨店なども参加して13社に増え、年2回発行のガイドマップ「新宿エクスプローラー」は発行部数が累計100万部を超えた。
中村氏は戦略のポイントをこう話す。
「街を楽しむアーバンツーリズムを求める訪日客に価値を提供するには、ドン・キホーテ単独では原資もなく限界がある。事情はどの事業者も同じです。そこで行き着いたのが実行委員会方式でした。日頃のライバル同士が共通の目的に向かって、お金、労力、知恵を出し合い、地域で訪日客を呼ぶ。インバウンドという新しい市場の成長力を取り込むには、Win-Win関係をいかにつくれるかがカギです」