『インバウンド時代がやって来た! 〜『観光のひろば』から見えるもの〜』(講演録)


第10回『観光のひろば』は51名の参加をいただきました。
 
星乃 勝 様 
(NPO法人スマート観光推進機構 理事長)


 

 

 

『観光のひろば』にどうしてこれだけ人が集まるのだろう…
あらためて名簿を見ると参加する人が”多様”なことに驚きます。それだけ『観光』は”多様”であることの表れだと思います。これまでのゲストも”多様”な内容でした。
”多様”な人が『観光』について学び、語り合える場は『観光のひろば』の場のほかでは見当たらないと改めて思いました。
 
講演は「何故、インバウンド観光に取り組むのか」から始まりました。
1940年代は子供が多くて高齢者が少ない時代から2050年には高齢者が多くて子供が少ない時代に人口構造が逆転する。これは労働人口の減少を指し、高齢者を支える人が少なくなることだ。このような時代だからこそ、新しい産業として『観光』に注目が集まっている。
昨年のインバウンド1974万人。アジア83%だが、欧米も増加している。世界中で海外旅行が増え11億8400万人になっている。
ある国際ブランド力調査で日本は6位だった。そのなかで「最先端のアイデア、新しい考え方を生み出すクリエイティブな場所」が1位なのは嬉しい。逆に「豊かな自然があるか」が16位なのは、まだ日本が知られていないからだ。日本に来て「良かった」とのクチコミから、さらに日本の良さが伝わっていくことだろう。

『観光のひろば』のゲストの話を振り返ります。

8月は、観光庁観光地域振興部長 吉田雅彦様に「期待が高まる関西の観光」について、観光統計と地方で頑張っている事例の紹介をいただきました。また、元京都市観光政策監の清水さまには「京都の観光」について語っていただきました。
京都市の観光は中高年の女性が10回以上訪問している。それにはたゆまぬ努力がある。最近の出来事では、四条通りの拡幅工事がある。これにより道路が2車線に減り、歩道が6.5mに倍増した。歩行者が増え、商店街の売り上げが倍増している。カンバンの撤去も素晴らしい。
9月は、李 容淑先生に「日本酒と観光」について語っていただきました。
韓国では日本酒の輸出量が10年で15倍。日本酒の輸出の22%が韓国。日流ブームとアルコールの強い焼酎から日本酒へと変わる健康志向が日本酒の消費量を増やしている。
10月は、関空の石川執行役員には「関空のインバウンド戦略」について語っていただきました。
関空は2014年度に国際線旅客数の外国人利用が日本人を越し、2015年は外国人利用が1100万人。日本人利用が610万人。今年の2月に外国人利用で成田を抜き日本一になった。
関空の案内所「関西ツーリストインフォメーションセンター」は日本一! 王さんという副所長が「台湾の同胞に日本を好きになってもらいたい」と頑張っている。質問で最も多いのは「鉄道パス」の話。「私のプランに一番良い鉄道パスはどれですか」の質問だという。
11月は、(株)シーズの三宅さまに「ムスリムへのおもてなし」について語っていただきました。
2030年、􏰁イスラム教徒が全世界の26%になる。ムスリムの観光客はイスラム教の戒律に厳しい人から、それほど厳しくない方まで個人差が大きい。そして困られているのは食事。豚肉は戒律でも禁止されており口にする人はほとんどいない。しかしお酒は飲まない人もいるが、旅先では飲む方も多い。「私のお店ではこの条件で料理を提供します」と表示する「ムスリムフレンドリー」を提唱されている。
1月は、グーグルの杉原執行役員に「グーグルを使った地方活性化」について語っていただきました。
過去3年でGoogleにおける旅行関連検索数は2倍に増えた。そのなかでもスマホ利用が増えているのは、旅中でスマホを利用する人が多いということ。スマホへの観光情報の提供が重要だ。しかし国や地域によって検索の傾向は異なる。国や地域に合わせたプロモーションが必要になる。
2月は、ぐるなびの杉山執行役員に「ぐるなびの観光戦略」について語っていただきました。
ぐるなびの月間総アクセス数11億PVと右肩上がりに増えている。2013年は日本からのアクセスが59%だったが、2015年には海外からのアクセスが59%と逆転している。トリップアドバイザーやミシュランとの連携でさらに海外からのアクセスが増えるのだろう。
3月は、(株)マイルストーンの谷川様には「中国人の医療ツーリズムの動向」について語っていただきました。
外国人患者を受け入れたことがある病院は79%、訪日外国人の医療が15%、医療ツーリズムという検診と観光を組み合わせたものがが6.4%。
今年の春節期間中に海外で過ごした中国人は600万人という。その2割が健康・医療。美容や健康を求める中国人も増えている。
4月は、エクスポート・ジャパン(株)の高岡様には「インバウンド観光におけるICT戦略」について語っていただきました。
「ジャパンガイド」という日本一の訪日外国人向けの日本情報ポータルサイトを運営しており、「ジャパンガイド」は、47都道府県、179地域、1700ページが掲載されている。これは代表のステファンさんが日本が好きで、自分の足で歩き写真を撮り集めた生地だからこそ成し遂げたもの。CMベースでは地方の情報を掲載することは難しいとのお話でした。
5月は、エール学園の長谷川理事長と西村様に「留学生をインバウンドに活かすため」について語っていただきました
渡日留学生は24万人と増えている。留学生の感性や語学を活かした観光プロモーションや市場調査など『おもてなしプロジェクト』に取り組んでいる。特に効果が高いのは留学生によるSNSによる発信。『国際人財活用ネットワーク交流会』も多様な人の交流を生んでいる。
15年ぐらい前から留学生に地域清掃をさせることによって地域の人の心が開いたという。相手を立てる理念を吸収することによって、関係性が豊かな人材が育成される。この留学生が日本で雇用され、母国に帰るときに「平和の使者」になると語られた。

政府目標の2020年4000万人、2030年の6000万人という数字は、本当にこれを推進しても良いのだろうか?
清水寺の参道は歩けない状態だといいます。もし事故が起こったら… 
宿が足りない、駐車場・観光バス・運転手が足りない、通訳ガイドが足りない、見直す必要があることがたくさんある。
「民泊」に注目が集まっている。ホームステイ型はトラブルも少なく、ホスピタリティが高いが、家主不在型は、騒音などトラブルがあるという。万が一事故が起こった時、誰が責任を取るのか。損害は誰が保証するのか。国で真剣に議論してもらいたい。
『観光』を考える前に、『住民生活の場』であることを認識する必要があると、スマート観光推進機構は考え方をご紹介しました。

最後にスマート観光推進機構の取り組み「インバウンドツアー・体験教室カタログ」「インバウンド村構想」をご紹介しました。
質疑応答の中で『観光』の真の目的は「世界平和」であることも確認されました。

交流会にも多数の方が参加していただけました。
大切なのは、”多様な人”が交流すること。良い話を聞いただけで終わるのは何とも勿体ないと思います。