国連世界観光機関(UNWTO)とは? 日本人職員がその組織や成り立ちを解説 !

国連世界観光機関(UNWTO)とは? 日本人職員がその組織や成り立ちを解説 【コラム】
(トラベルボイス 6月27日)

http://www.travelvoice.jp/20160627-68463
JTBより国連世界観光機関(UNWTO)へ派遣されている熊田順一のコラムだ。
「日本は観光を持続的可能な主力産業として位置付け」取り組む道を選んだ。
しかし「目の前の成果や一刻の利益に目がくらみ、身の丈以上のお客様を受け入れ、これまで大切にしてきた風景や文化を未来に繋げない」ようなことになっていないか?は、示唆に富む言葉だ。 

【ポイント】
訪問者が多い地域は、観光地に住む住民の声、お客様の声。観光業に携わる関係者の声などの声をバランスよく取り入れ、地域のチカラに変えることができているでしょうか?
目の前の成果や一刻の利益に目がくらみ、身の丈以上のお客様を受け入れ、これまで大切にしてきた風景や文化を未来に繋げないようなことになっていないでしょうか? 
地元住民の生活が壊されるようなことは、起きていないでしょうか?
現在、世界を12億人の旅行者が1年間に旅しています。この12億人のチカラが、地域発展の原動力になるか、地域破壊の原因になるか。コントロールをどうするのかが重要です。

これから訪日観光に取り組まれる地域は
「どうような政策や施策を取ると海外から観光をされるお客様が多くいらっしゃるのか?」
「観光をされたいお客様の誘致のため、世界へ発信すべき情報・テーマはいったい何か?」
「訪問されたお客様に喜んで旅して頂ける受け入れ態勢はどのように整備したらよいか?」
「一体、世界各地ではどのような取り組みを進めているのだろうか?」
など、他国・地域の成功事例を収集する場としてUNWTOを利用されている。

UNWTO
UNWTOは、1970年秋に採択されたUNWTO憲章(国際間の理解、平和及び繁栄に寄与するため、並びに性、言語又は宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を普遍的に尊重し遵守することに寄与するため、観光を振興し発展させることを根本目的とした憲章)に基づき1975年1月2日に設立され、2003年12月に国際連合の専門機関となった。
観光分野における世界最大の国際機関で、マドリードに本部を設置しています。
2016年5月現在、組織構成は加盟国157ヵ国、加盟地域6地域、オブザー2地域。400以上の賛助加盟員。
世界をアフリカ、アジア・太平洋、アメリカ、欧州、中東の5地域に分け、
広報、統計・TSA、マーケティング、賛助会員応対、ノレッジネットワーク、テミス、テクニカル・コーポレーション、サステイナブルツーリズム・危機管理、CSR・倫理、デスティネーションマネージメント、国際組織対応、テーマ分野、情報アーカイブといった14の専門組織の合計19部門で実務部隊は構成されています。
その他総務・人事・財務・システムなどを含め総勢で100名程度の要員で運営をしています。
奈良に地域事務所を設置し、アジア太平洋加盟国および賛助加盟メンバーへの観光政策・施策実施の推進や支援を行っています。

アジア太平洋部は、中国・韓国・日本・スリランカ・ガーナ・カンボジア国籍の職員10名で管轄地域を2地域に分けて対応を行っています。
北東アジア・太平洋地域はオーストラリア、ブルネイ、カンボジア、中国、北朝鮮、フィジー、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、パプアニューギニア、フィリピン、韓国、タイ、東チモール、バヌアツ、ヴェトナム、ミャンマー、サモア、香港、マカオの20カ国2地域。南アジア地域はアフガニスタン、バングラディッシュ、ブータン、インド、イラン、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカの9カ国。合計29カ国と2地域。

UNWTOは国連組織の中では民間企業・地方自治体、大学が賛助加盟員として加盟ができる稀有な機関です。
アジア・太平洋地域の賛助加盟メンバーは現在55組織。日本からはJNTO(日本政府観光局)、JATA(日本旅行業協会)、JTTA(日本観光振興協会)、JTB財団、株式会社JTB、株式会社HIS、株式会社ぐるなび、北海道大学、和歌山大学、松蔭大学、東洋大学、京都大学の12団体が加盟。

UNWTOでは毎年、様々な国際会議やイベントが各国の推進テーマに応じて開催されています。
2016年2月に奈良で「遺産観光に関する国際会議」の開催を皮切りに、6月のアジア太平洋地域委員会と併催される「ツーリズムとテクノロジー」会議、9月の「JATA Tourism Expo Japan2016年」がUNWTOとの共催で行われます。
また「食とツーリズム会議(ペルー・リマ/4月)」に指宿・白水館社長の下竹原啓一氏が、「開発とツーリズム会議(中国・北京/5月)」にはJATA会長の田川博巳氏が日本を代表し登壇者として参加頂きました。
9月にジョージア(旧グルジア)で開催される「世界ワインツーリズム会議」には、日本のワイン業界から山梨県・勝沼の中央葡萄酒・グレイスワインのワインメーカーの三澤彩奈さんに登壇を頂く予定です。