中国爆買い終了で見えた「恩恵に浴したのはごく一部」

中国爆買い終了で見えた「恩恵に浴したのはごく一部」

(ダイヤモンドオンライン 7月29日)
http://diamond.jp/articles/-/97030
爆買いは終わった… モノからコトへインバウンド観光の流れは変わってきている。
この点はもう一般的な知識になったようだ。
決定打となったのが中国の関税の見直しと、税関の検査厳格化だ。かつぎ屋さんではビジネスとして成り立たなくなったからだ。
しかし一部のショッピングセンターだけに利益が落ちるビジネスはもう卒業したいものだ。
【ポイント】
中国人訪日客の伸びだが、今年6月は58万人が来日し、前年比26%増となった。
2015年6月のような驚異的伸びこそ示さなかったが、来日数は依然伸び続けている。
爆買い騒ぎは沈静化している。為替が円高に振れた今、日本から商品を買いあさって中国で転売する“転バイヤー”も鳴りを潜めた。
家電量販店のラオックスは1960年代から免税ビジネスを手掛けてきた実績があり、2009年の蘇寧電器との業務資本提携を経て、秋葉原の店舗を中国人客専門店に改装するなど売り場づくりに力を入れてきた。
商品カテゴリーは高級パールネックレスも生理用品もあるといった多岐にわたる構成だ。
新橋駅前に昨年4月、ヤマダ電機が免税店「LABIアメニティ&TAXFREE」を開店させ、外国人客向けに業態チェンジを図ったが、1年を過ぎた今、この免税店は姿を消した。
今年1月、三越銀座店の8階に空港型市中免税店「ジャパン デューティー フリー 銀座」が開店した。3月末に、数寄屋橋の東急プラザ銀座内に、ロッテが経営する空港型免税店もオープンした。
化粧品を中心にいくつかのブランドショップが入店するものだが、開店以来“鳴かず飛ばず”が続いている。
買い物には事前手続きに加え、予備知識が必要となる。
機内持ち込み商品としてどれだけの化粧品が購入できるのか、購入後の商品は空港のどこでピックアップすればいいのか、フライトが直行日ではなく異なる都市を経由する場合、免税条件の変更があるのかどうか…。
購入後の荷物は空港での引き渡しとなるが、空港によっては出国審査ポイントから離れているケースもある。フライトが経由便の場合は、その国の免税制度に従わなければならず、場合によっては没収もある。
決定打となったのが中国税関の検査厳格化だ。
これによって、中国人による化粧品の大量購入も忽然と姿を消した。
外国人客を取り込もうとドラッグストアが増殖中だが、マツモトキヨシとコクミンの東西対決に絞られてきた感がある。
マツキヨは立地重視の店舗展開のもと、人が大勢集まるエリアめがけて出店攻勢をかけるのが得意。
2007年に銀聯カード決済システムを導入する。銀聯カードは2005年12月に、三井住友カードが日本で初めて取り扱いをスタートした。マツキヨ心斎橋店はこの銀聯カードを真っ先に取り入れた。
銀聯カードの顧客データを丁寧に分析し売れ筋やその変化をつかむ、これを中国人客向けの品ぞろえに反映してきた。早い段階で取り入れた『お土産セット』も大好評だ。
爆買い客を乗せたクルーズ船の寄港を、沖縄や鹿児島などのイオンモールが総なめにした。
2015年5月、鳥取県に上海から出発した大型クルーズ船が、韓国でMARSが流行したことを理由に、釜山を回避し境港に入ってきた。この4000人の観光客が「イオンモール日吉津」に押し寄せ、たった1日で2億円を売り上げた。しかし、その消費は地元には落ちなかった。
イオンでは爆買いが一段落した今、「モノ」だけでない「コト」にも目を向けている。
有機農法による芋掘りやイチゴ狩りは中国やタイの観光客にも人気で、地元の生産者支援にも結びつく。
「銀聯カード決済の導入」「中国語スタッフの採用」「中国人客向けの特別サービス」は中国人客を引き込むための“必須3要素”。

爆買いの恩恵に浴した企業はごく一部。
インバウンドビジネスは一部に限定された商機なのか。慎重な見極めが必要だ。