タトゥーの人も入浴OKへ、温泉業界が変わる?

タトゥーの人も入浴OKへ、温泉業界が変わる?

(Newsweek 10月31日)
http://www.newsweekjapan.jp/nippon/rule/2016/10/179621.php
「入れ墨・タトゥーお断り」としてきた日本の温浴施設。このレポートは入れ墨・タトゥーについて、よくまとめられている。
入れ墨・タトゥーに反対する人もいるが、正しい認識を持つために転載させていただいた。
外国人観光客の増加で賛否両論が巻き起こっているなかで、星野リゾートや埼玉県の「おふろcafé utatane」がシールを貼る条件で解禁した。
この取り組みは試験運用であり、成り行きを見守っていきたい。
【ポイント】
2013年秋、北海道のアイヌ民族会との文化交流のため来日していたニュージーランドの先住民族マオリの女性が、民族伝統の入れ墨にもかかわらず、それを理由に温泉施設での入浴を拒絶された"事件"があった。
これをきっかけに議論が巻き起こったのが、日本の温浴施設における入れ墨・タトゥー拒否問題だ。

2014年には、脳科学者の茂木健一郎氏がTwitterで「タトゥー、刺青は入浴お断り、という不当な差別をしている限り、日本の温泉の世界遺産登録は無理だね。」と糾弾し、賛否両論が巻き起こり炎上騒ぎとなった。

銭湯はOK、スーパー銭湯はNGの歴史的経緯
昨年10月、観光庁が全国のホテルや旅館、約3800施設に対して実施したアンケート(回答数約600施設)で、入れ墨・タトゥーがある客の入浴について約56%の施設が拒否。一方、拒否していない施設は約31%で、シールで隠す等の条件付きで許可している施設が約13%という結果となった。

入れ墨やタトゥーの入った客を拒否している施設の多くは、日帰り温泉やスーパー銭湯といった"温泉施設"であり、町場の銭湯ではない。
日帰り温泉等とは異なり町場の銭湯では、入れ墨・タトゥーを入れているからといって、入浴を断ることを法律で禁止されている。

銭湯が自宅に内湯のない時代から存在する日常的な入浴の手段であり施設であるため。入浴し身体を清潔に保つことは万人に認められた行為であり、入れ墨・タトゥーを理由に入浴を断れば、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めた憲法25条の「生存権」に抵触する可能性がある。

公衆浴場法でも、営業者は伝染病患者を拒否しなければならない(第4条)、入浴者は浴槽内を著しく不潔にしてはならない(第5条)などと利用に関する規定を定めているが、入れ墨やタトゥーに関する条文は存在しない。

では、なぜ日帰り温泉やスーパー銭湯といった施設だけが入れ墨・タトゥーを入れた客を拒否できるのか。また、それはいつ頃から当たり前のように行われるようになったのだろうか。
「80年代中盤より登場しはじめ、90年代にブームとなったスーパー銭湯の影響が大きい」と指摘するのは、温浴振興協会代表理事の諸星敏博氏。暴力団対策法(暴対法)の締め付けもいまほど厳しくなかった当時、スーパー銭湯への来場者が増え、それに比例して反社会的な人物の来場も増えた。銭湯とは異なり、食事やアルコールも提供し滞在時間も長い温浴施設となれば、トラブルも多発したことだろう。「そうしたことから一般の利用者からのクレームが増えたり、利用そのものを敬遠する動きが出てきた。そうなると施設側も対応を検討せざるを得ない」

加えて、「公衆浴場法などにおける分類の違いも大きな要因」。国による公衆浴場法や都道府県が定める公衆浴場条例では、銭湯が"一般公衆浴場"に分類される一方、日帰り温泉やスーパー銭湯などは"その他の公衆浴場"に分類される。
一般公衆浴場である銭湯には、地域により異なるが行政から補助金が降りるとともに固定資産税は免除され、水道料金も実質的にほぼ無料で使用できるという。そのため、東京都ならば460円と入浴料金が都道府県で一律に価格統制され、生存権を保護すべく、入れ墨やタトゥーを入れた客を拒否できないという。

"その他の公衆浴場"であるスーパー銭湯は、行政からの補助金もない完全な民間企業。
入浴料も自由に設定できれば、アルコールを提供したりリラクゼーション設備を備えていたりと、「健康で文化的な最低限度の生活」には直接関係のないレジャー施設であるため、入浴を拒否しても生存権の侵害には当たらないという解釈がなされているのだろう。

そうした経緯や法律的な背景もあり、90年代後半以降に入れ墨やタトゥーを入れた人の入浴を禁止する温浴施設が徐々に増え、全国的に一般化していったという流れにある。たまに『当局の指導により』と看板に但し書きされている施設も見受けられるが、法律的にそれは出来ない。
入れ墨やタトゥーの入浴禁止はあくまで施設自身の規制であり、法的根拠のあるものではない。
反社会的人物の排除を目的として始まった入浴禁止規定だが、ファッションタトゥーを入れる人が増え、また、タトゥーがより一般的な外国人観光客が増加し続ける昨今、そうした"自主規制"に限界があること、そして、これまで以上に冒頭で紹介したような問題が起こることも考えられる。

そんななか、旅館やスーパー銭湯の中にも規制を緩和する動きが出てきた。
星野リゾートが、昨春より全国12カ所で展開する傘下の温泉旅館「界」で、入れ墨・タトゥー客もシールでカバーすることを条件に入浴を許可した。

昨年8月から埼玉県大宮市の「おふろcafé utatane」が入れ墨・タトゥー客をシールで隠すことで入浴を許可している。
シールは館内にて1枚200円で販売されるものに限定され、その大きさは12.8cm×18.2cmのB6サイズ。
入館時に申告があれば、脱衣所まで同行するスタッフの手により貼られ、入れ墨・タトゥーがシールをはみ出さない場合のみ入浴が可能となる。
タトゥーが数カ所に点在する場合も、シールを切り分けて隠せるならば問題はないが、シール1枚以内で隠しきれることが条件だ。
昨年8月にまずは1カ月の試験導入、その後3カ月、そして現在の「無期限」へと試験運用期間を延長している。
大きなトラブルが発生せず、また一般客からのクレームもない。
「おふろcafé utatane」の月間利用者数は約2万人。そのうち、シールを貼って入浴する入れ墨・タトウーの利用者は月平均20人程度。
電話などでの問い合わせは週に2、3件はあり、サイトでの告知やメディアの報道で知名度は上がってきている。

温浴振興協会代表理事の諸星氏も、「入れ墨・タトゥーを入れる人の大半が反社会的な人とは限らなくなり、また、暴対法の徹底により暴力団が大手を振って温浴施設を利用できる環境ではなくなったいま、無条件に入浴拒否という姿勢はいかがなものか」と語る。
「ルールや条件に則って利用するならば、入れ墨・タトゥーをしている人でも温泉を楽しむ権利はあってしかるべき。2020年の東京オリンピック開催でさらなるインバウンド増加が予測され、機運が高まるいまこそ、業界全体で前向きな議論を展開してほしい」

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コメント: 2
  • #1

    そう (木曜日, 01 12月 2016 13:47)

    そうだすね

  • #2

    ma (水曜日, 12 4月 2017 06:06)

    タトゥーは芸術だと思いますけどね。不審者事案や痴漢、セクハラ冤罪の方がよっぽど怖い。思い込みで通報され社会めちゃくちゃになり、高畑さんの件見ればわかりますよ。
    逮捕=被疑者という構図のほうがタトゥーより恐ろしいは
    名前は一生残るは、2ちゃんや新聞に拡散され、一生性犯罪扱いされたまま。離婚、同僚も冤罪で逮捕の地点で一気に離れていく。