民泊新法(住宅宿泊事業法)案のポイントと、今後の民泊市場の行方!

民泊新法(住宅宿泊事業法)案のポイントと今後の民泊市場の行方を徹底解説!

(MINPAKU.Biz 2017.02.24)
http://min-paku.biz/news/minpakushinpou-jutakusyukuhakujigyohou-point-tettei-kaisetsu.html
民泊新法「住宅宿泊事業法」の条文案全文を日経BP社のITpro編集部が公開した。
民泊新法により、気軽に民泊が始めやすくなる一方で、違反時の罰則についても厳しく規定されている。
営業日数上限については180日以内という形で固まり、民泊ホストの運営にあたっては、宿泊者の安全確保や周辺住民への配慮などが求められる。
都道府県が条例を用いて民泊を制限できるよう配慮されているのも素晴らしい。
地域に応じて、住環境に応じて、民泊を進める地域と、生活環境に重点を置こうとする地域に差があってしかるべきだと思う。
【ポイント】
日経BP社のITpro編集部が民泊新法「住宅宿泊事業法」の条文案全文を公開した。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/022100560/?rt=nocnt
民泊新法(住宅宿泊事業法)の概要
「住宅宿泊事業法」(以下、民泊新法)は、民泊に関わる一連の事業者の適正な運営を確保しつつ、国内外からの宿泊需要に的確に対応し、観光客の来訪や滞在を促進することで日本経済の発展に寄与することを目指して定められる法律となる。
民泊新法の対象となるのは、下記の事業者。
• 「住宅宿泊事業者」:民泊ホスト
• 「住宅宿泊管理業者」:民泊運営代行会社
• 「住宅宿泊仲介業者」:Airbnbをはじめとする民泊仲介サイト

民泊ホスト(住宅宿泊事業者)の義務
民泊新法の施行後、民泊ホストは都道府県知事(保健所設置市はその首長)に対して「届出」することで、旅館業法の許認可がなくとも「住宅宿泊事業」、民泊を運営することが可能となる。
民泊ホスト(住宅宿泊事業者)に必要な届出内容
• 商号、名称または氏名、住所(法人の場合は役員氏名)
• 住宅の所在地
• 営業所または事務所を設ける場合はその名称と所在地
• 住宅宿泊管理業務を委託する場合は、委託先の住宅宿泊管理業者の商号など
• 図面の添付

民泊ホストとして民泊を運営するにあたっては、下記のルールを守る必要がある。
• 一年間の営業日数の上限は180日以内
• 各部屋の床面積に応じた宿泊者数の制限、清掃など衛生管理
• 非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災・災害時の宿泊者の安全確保
• 外国人観光客向けの外国語による施設案内、交通案内
• 宿泊者名簿の備え付け
• 周辺地域の生活環境悪化防止のため、外国人観光客に対する外国語を用いた説明
• 周辺地域の住民からの苦情、問い合わせに対する適切かつ迅速な対処
• 届出住宅ごとに公衆の見えやすい場所に国が定めた様式の標識を表示
• 宿泊日数の定期的な報告

また、民泊ホストは、下記に該当する場合は、民泊の運営業務を住宅宿泊管理業者(民泊運営代行会社)に委託することが求められる。
• 届け出た住宅の部屋数が、民泊ホストとして対応できる適切な管理数を超える場合
• 届け出た住宅に宿泊者が滞在する際、不在となる場合
2点目については、民泊ホストが自身の生活の拠点として使用している住宅と、民泊貸し出し用に届け出た住宅との距離や、その他の事情を勘案した結果、委託の必要がないと認められる場合は、住宅宿泊管理業者に物件を委託する義務は免れる。

民泊ホスト(住宅宿泊事業者)に対する監督
民泊ホストに対する監督としては、適正な民泊運営のために必要があると認められる場合、行政職員に対して届出住宅に対する立ち入り検査をする権利が付与される。

民泊運営代行会社(住宅宿泊管理業者)の義務
民泊ホストからの委託を受けて民泊運営を代行する会社は、国土交通大臣の登録を受ける必要がある。

民泊運営代行会社(住宅宿泊管理業者)の登録
• 登録は5年ごとに更新
• 登録時には登録免許税(9万円)の支払
• 商号、名称または氏名、住所(法人の場合は役員氏名)
• 営業所または事務所の名称および所在地
新法制定後は、住宅宿泊管理業者の登録簿が一般に公開される。

民泊運営代行会社(住宅宿泊管理業者)の業務
• 名義貸しの禁止
• 誇大な広告の禁止
• 管理受託契約の締結時には、書面の交付による説明
• 管理業務の全部の再委託の禁止
• 従業員に対し、登録業者である証明書の携帯の義務づけ
• 営業所または事業所ごとに国が定めた様式の標識を掲示
民泊運営代行会社は登録済の業者であることを対外的にはっきりと示す必要があり、名義貸しや全部委託での運営も禁止される。

民泊運営代行会社(住宅宿泊管理業者)に対する監督
民泊新法においては、民泊ホストと同様に、民泊運営代行会社に対しても行政職員による立ち入り検査権限が付与される。

住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト)の義務
AirbnbやHome Awayといった民泊仲介サイトは「住宅宿泊仲介業者」とされ、観光庁長官の登録を受ける必要がある。

住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト)の登録
• 登録は5年ごとに更新
• 登録時には登録免許税(9万円)の支払
• 商号、名称または氏名、住所(法人の場合は役員氏名)
• 営業所または事務所の名称および所在地

住宅宿泊仲介業者として登録を受けた民泊仲介サイトは、下記のルールを守る必要がある。
• 名義貸しの禁止
• 宿泊者との宿泊契約「住宅宿泊仲介契約」の締結に関し、住宅宿泊仲介業約款を定め、実施前に観光庁長官へ届出が必要
 (観光庁が標準住宅宿泊仲介業約款を定めて公示した場合、同一のものを使用する場合は届出不要)
• 民泊ゲストおよびホストから受ける手数料の公示
• 宿泊者との宿泊契約締結時、書面の交付による説明
• 営業所または事業所ごとに国が定めた様式の標識を掲示
Airbnbでは、宿泊日数が180日を超えたリスティングは表示されないようシステムで自動制御する方針を固めている。

住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト)に対する監督
住宅宿泊仲介業者に対する業務の改善・停止命令などについて、国内に拠点を持つ住宅宿泊仲介業者に対するもの、海外に拠点を持つ外国住宅宿泊仲介業者に対するものでそれぞれ定められており、外国住宅宿泊仲介業者に対しては「命令」ではなく「請求」となっている。
民泊ホスト、民泊運営代行会社、民泊仲介サイト運営者に対して行政職員に立ち入り検査権限が付与される。

民泊新法(住宅宿泊事業法)に違反した場合の罰則
年間営業日数が180日以内という制限がついても、複数の民泊仲介サイトを利用して集客すれば分からないと考えるかもしれないが、民泊新法では、気軽に民泊を始めやすくなる一方で、法律違反時の罰則については厳しく規定される。
民泊運営代行会社、民泊仲介サイトに対しては、下記のケースにあてはまる場合「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」
• 登録がない状況で民泊運営代行や仲介サイトを運営
• 不正な手段により登録を受けた場合
• 名義貸しをして、他人に運営代行や仲介サイトを運営させた場合
6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
民泊ホストも、下記のケースにあてはまる場合「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」
• 民泊ホストが虚偽の届出をした場合
都道府県による上乗せ条例の影響は?
民泊に対して消極的な地方自治体が条例を上乗せして規制をかける可能性がある。
当該都道府県の区域のうちに、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認められる区域があるときは、条例で、観光旅客の宿泊に対する需要への的確な対応に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める基準の範囲内において、期間を定めて、当該区域における住宅宿泊事業の実施を制限することができる(「住宅宿泊事業法」案 第18条)

民泊新法(住宅宿泊事業法)施行後の民泊市場の行方
個人の民泊ホストについては、民泊新法の制定・施行によりその数が増加する可能性はかなり高い。
これまでは法的なリスクを理由に民泊に躊躇していた個人も、新法の施行後は届け出さえすれば合法的な形で民泊運用できるようになる。
個人の民泊ホストの場合、商業的に利益を求めるというよりは、空き資産を活用して副収入が得られればよいという方も多くいるため、民泊新法の年間180日という営業日数制限はネックとならない。
商業的な利益追求を目指す法人ホスト(代行会社などを活用して大規模な民泊運用をしている一部の個人ホストも含む)や民泊施設運営事業者にとって、民泊新法における年間営業日数180日という制限は大きなネックとなる。
最大でも稼働率は50%にとどまるため、採算性の観点から利益率の高い民泊事業を運営することは難しくなる。

民泊市場への参入を検討している企業の多くが事業方針を転換している。
• 旅館業法簡易宿所・ホテル営業
• 民泊新法下の二毛作営業
• 特区民泊
最も多いのは、旅館業法の簡易宿所やホテルの許認可を取得したインバウンド向け宿泊施設を新築やリノベーションし、運用するという方法。
簡易宿所は昨年4月にフロント設置義務など一部要件が規制緩和されており、すでに旅館業法簡易宿所のスキームを利用した民泊施設は各地で誕生し始めている。
旅館業法の規制緩和の議論も進められている。これは、民泊事業者と旅館・ホテル事業者との公平な競争環境を整える意味もある。
緩和内容としては最低客室数の制限やフロント設置義務の廃止などが検討されている。

特区民泊
民泊新法と同時並行で進められている「特区民泊」です。
特区民泊の制度は国家戦略特区のみに限られますので、活用できる地域は絞られるものの、昨年10月に特区民泊における宿泊日数制限を2泊3日以上へと緩和することが閣議決定されたことで、民泊事業の収益性が高まった。
2017年2月14日時点における特区民泊取得件数は、東京都大田区で31件、大阪府大阪市で27 件、大阪府大阪市外 4 件にとどまり伸び悩んでいる。
特区民泊は旅館業法簡易宿所よりは許認可をとりやすいものの、宿泊日数の制限という大きなネックに加え、消防法で定められた防火設備に対する投資負担や近隣住民への説明、など手続きを踏む必要があり、これらがハードルとなって二の足を踏んでいる事業者が多い。
2月14日に京王電鉄が、百戦錬磨との提携し、東京都大田区で特区民泊の制度を活用して一棟まるごとの民泊マンション運営を始めます。