統計で「消えた」外国人宿泊客 ここにいた!

統計で「消えた」外国人宿泊客 ここにいた!

(日経新聞 2017.1.31)
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/visitor2017/
訪日外国人数と宿泊統計が一致しない。訪日客はどこへ行ったのかとの疑問も深まる。
延べ宿泊者数は、1人が「2泊」「3泊」した場合は「2人」「3人」と数えるため実数は異なる。2016年の訪日客数は2404万人だが、外国人延べ宿泊者数は約7000万人。訪日客数の伸び率は前年比21.8%増で、外国人延べ宿泊者数は8.5%増と、伸び率から見ると、明らかに宿泊統計以外の場所に宿泊していることになる。
やはり民泊が最も大きいようだ。大阪観光局の調査ではホテル57%に対し、民泊17%、旅館6%という。その他も10%ある。
日経新聞の記事によると、夜行バス、キャンピングカー、ラブホテル、クルーズ船、空港での仮眠などと幅が広い。
これも日本は犯罪が少なく安心・安全だからなのだろう。
【ポイント】
2016年の訪日外国人客数は2403万9000人で、前年比21.8%増。一方で、外国人延べ宿泊者数は8.5%増にとどまる。
訪日人数、延べ宿泊数ともに伸びが鈍化しているが、外国人宿泊数は8月や10月が単月で前年比マイナスになるなど、落ち込みが大きい。
国・地域別で見ても宿泊者数の伸び悩んでいる。
宿代わりに夜行バス、訪日客の利用増える
大阪滞在後に夜行バスで東京に入り、東京ディズニーシー、東京タワーなどを巡って再び関西へ。
日本に10日間滞在するがその間、ホテルや旅館には泊まらない。遠回りしながら夜行バスと民泊を組み合わせて旅費を抑えている。
ウィラーアライアンスの夜行バスは東京~大阪間3900円程度。シートも快適なことから宿の代わりに使う訪日客が増えている。
同社の高速バスを利用する訪日客は2016年に13万人と、5年前の約4倍まで膨らんだ。
キャンピングカーのシェアリングエコノミー
当初は日本人に貸し出していたが、訪日客の申し込みが増えている。
キャンピングカーで寝泊まりするのでホテルを探す手間が省ける。
10日間で日本を遊び尽くし、レンタル代は平日1日7500~3万円程度。6人で乗れば1人5000円で済む。
訪日客を取り込もうと海外向けネットメディアのイグルー(神奈川県鎌倉市)と手を組んだ。羽田空港にカウンターの設置もめざす。
空港で夜明かし 宿泊費浮かして買い物に
24時間眠らない関西国際空港。旅客ターミナル「エアロプラザ」近くの休憩スペースで一夜を明かすのだという。
「買い物に夢中になっていたらホテル代がなくなった」と話す。仮眠できる場所が関空にあるというネット情報を思い出し、ホテル代わりにした。
半分ぐらいの人は薄い青色の毛布にくるまって眠ったり、スマートフォン(スマホ)をいじったりしていた。
関空ではここで寝泊まりする人のために〝人道毛布〟を無料で貸し出している。
「日本は寒い。毛布まで借りられるなんて本当にすてき」と声を弾ませる。
エアロプラザ以外でも第1旅客ターミナルのベンチで寝転がったり、終夜営業のマクドナルドなどでスマホをいじったりしている。
早朝深夜に発着するLCCの増加もあり、関空は2015年から大阪市内を結ぶバスを24時間走らせている。それでも宿泊代がもったいない。
大阪市内では24時間営業のサウナに外国人客の姿が目に付くようになった。
「浴衣に生ビールというのは日本の生活を体験したい外国人には魅力的に映っている」
泊まれるテーマパーク、ラブホテル
大きなベッド、足を伸ばせる広いバスタブがあるラブホテルの方がすてき。
ビジネスホテルと同等の価格ながら豪華な日本のラブホテルは、泊まれる「テーマパーク」として外国人客の人気を集めている。
一般的な「ラブホテル」は旅館業法の要件を満たしつつ、風適法に該当する。18歳未満は入室ができず、家族連れは泊まれない。
そのため訪日客を取り込もうと、旅館業に「転向」するラブホテルが増えている。
警察庁によると、ラブホテルは約5800件。宿泊統計でつかみきれない「隠れた資産」だ。
日本中小ホテル旅館協同組合の金沢孝晃理事長は「平日の稼働率は約4割にとどまる。
民泊よりも宿泊所不足に貢献できる」という。国も条件付きで改装費用を融資で後押しする。
統計に出ない船中泊、クルーズ入国は8割増
訪日客はクルーズ船に寝泊まりしながら各地を巡る。船内には大浴場や運動場、劇場まであり「ホテルというより〝街〟。
博多港はクルーズ船の寄港回数が国内最多だ。16年は328回と前年から27%増え、入国者数は約170万人に上る。
閑散期は高級ホテルの1泊料金並みの3万3000円程度でツアーが販売されることもあり、低価格化も人気に拍車をかけている。
クルーズ船で日本に入国した外国人は前年比78.5%増の199万人となり、過去最高を記録。
観光庁は「船に宿泊する外国人観光客数は把握できていない。宿泊者統計に含めることも検討する必要がある」と話す。
大阪の訪日客調査、17%が民泊を利用
国の統計に表れない外国人の「寝場所」で増えているとみられるのが民泊だ。
民泊は、旅館業法上の許可を得ていないケースが多く、国の宿泊者統計には実態が反映されにくい。
大阪観光局の聞き取り調査では外国人旅行者の17%が「民泊を利用した」と回答。
米Aerbnbも2016年は370万人の訪日客が利用したといい、まとまった数が国の宿泊者統計から「消えた」可能性がある。
訪日客はLCC利用が急増し、若い層が増えている。低予算で宿泊するために民泊を選ぶ人も多いようだ。
大都市のホテルから遠のく訪日客
東京都内の主要ホテルの客室の平均稼働率が16年2月、11カ月ぶりにマイナスに転じた。
各ホテルは料金を強気で引き上げ、15年に全国ホテルの客室平均単価は10%以上上昇。円高が進み、昨夏、訪日客の足が大都市のホテルから遠のいた。