外国人を呼ぶのは「カネのため」と割り切ろう! デービット・アトキンソン第5回

外国人を呼ぶのは「カネのため」と割り切ろう 〜「鎖国」のままでは地方から崩壊する〜
(東洋経済オンライン 2017年08月04日)
http://toyokeizai.net/articles/-/183085
デービッド・アトキンソンさんの東洋経済オンラインのシリーズ5回目の記事になる。
ここまで4回にわたって、日本は「観光」に大きなポテンシャルを秘めており、さらなる高度な外国人観光客対応を行えば、「世界有数の観光大国」の座も夢ではないと説明されてきました。
しかし「観光など進めても治安が悪くなる」「むこうが勝手にやってくるのだから、日本のやり方に従うべきだ」というコメントが寄せられるといいます。
「客観的にみると、今の日本にはそのような吞気なことを言っている余裕はない」との書き出しから5回目が始まります。

1回目 外国人が心底失望する「日本のホテル事情」

http://toyokeizai.net/articles/-/179175
2回目 外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」
http://toyokeizai.net/articles/-/180391
3回目 「外国人よ、嫌なら来るな」は無責任な暴論だ
http://toyokeizai.net/articles/-/181007
4回目 外国人が心底うらやむ「最強観光資源」とは?
http://toyokeizai.net/articles/-/182174
【ポイント】
日本は労働人口が激減する。それを乗り切るためには生産性を向上させるしかないが、日本の生産性は過去25年間ずっと低迷している。
「ロボットやバイオテクノロジーなど日本が誇る技術力でカバーする」と楽観視する人もいるが、世界中がITを活用して生産性を向上させてきた中、日本はそれができていない。このままでは日本経済が大打撃を受けるのはもはや時間の問題。
労働人口も減って、大企業の工場もない地方の町は、すでに壊滅的なダメージを受けている。そのような地方を救っていたのが「観光」だった。
それは「国内観光」だったので、日本人が減っている今、かなりの悪影響を受けている。
残された道は「外国人観光客」を招くしかない。日本人にかわって外国人に消費してもらうことです。

「文化や心を大切にする日本人と違って、欧米人はすぐにカネ、カネと騒ぐ」と批判されてきましたが、「稼ぐ」ことができなければ地方を潤わすこともできない。財源不足でボロボロのまま放置されている地方の貴重な文化財や、美しい自然の保護・継承ができないということです。
だからこそ、日本政府も2020年に4000万人という「国際観光客数」目標と、8兆円という「国際観光収入」目標も設定している。
これは「1人当たり20万円」ということです。
2016年の訪日外国人の平均支出金額は15万5896円ですから、20万円という目標を達成するために、政府は「アジア諸国以外」の外国人観光客の誘致に力を入れている。

アジアからの訪日外国人の平均支出額は15万0020円ですが、「アジア以外」からの訪日外国人の平均支出額をみると18万6840円。
アジアからの訪日客のうち「観光目的」は76.6%、アジア以外の国やってくる訪日客のうち「観光目的」は53.0%にとどまっている。
アジアからやってくる訪日外国人のうち女性の比率は54.2%となっているが、アジア以外になると33.0%にとどまっている。
アジア以外から来ている訪日外国人は「ビジネス目的」が多い。「観光目的」には、まだまだ大きな「伸び代」がある。
アジアの「観光目的」の訪日外国人の平均滞在期間が5.2日なのに比べて、アジア以外の「観光目的」の訪日外国人は11.6日と2倍以上長い。
アジアから「観光目的」で来た訪日外国人の平均支出額が14万6968円なのに対し、アジア以外から「観光目的」できた訪日外国人の平均支出額が21万3751円。この層が伸びることで、観光収入的には非常に大きな成長が期待できる。
アジア以外の「観光目的」の訪日外国人を増やしても、それだけでは8兆円、1人あたり20万円という政府目標は達成できない。
そこで必要になってくるのが、「高級ホテル」や「自然観光」の整備です。
「高級ホテル」が客単価を上げ、「自然観光」は大自然の中に身を置くので、滞在期間を延ばすことができる。
「自然観光」は自然を整備する費用を捻出するだけではなく、客単価を上げるというメリットもある、非常に「効果」の高い観光戦略なのです。

「観光客1人あたり支出額」は、日本46位で、タイ26位、アメリカ6位、インド7位、中国13位と比較すると低いが、伸び代が期待できるということ。
外国人による「国際観光収入」によって地方のマイナスをカバーするというのは、世界的な常識。
日本の明るい未来を築くため、ひとりでも多くの方が「観光」がもつポテンシャルと、それを生かす道しかないということに目覚めていただきたい。