『自ら方程式をつくるまち 〜大分県竹田市からの地域づくりへの挑戦〜』 (講演概要)

『自ら方程式をつくるまち 〜大分県竹田市からの地域づくりへの挑戦〜』 (講演概要)
(平成29年11月20日)
参加者数:43名

 

 

 

 

今回は、大分県竹田市の首藤勝次市長に「地域づくり」や「観光」について熱く語っていただきました。
まず、これからの日本は基礎自治体が自立するしか再生ができないのではないかとのお話でした。地域が変わってきている潮流があるにも関わらず、国は一律の方向で再生できるという幻を見ていたことが最大の問題だった。そこで、改革を「お前がやるべきではないか」との思いを持って市政に携わった。
「自立を促す力」は、「人間力」「地域力」「行政力」「自治体の経営力」がなければならない。「人間力」は、地域に住む人や過去に生きた人、全国のネットワークの人間の力、「地域力」は、地域をどこまで知っているかにつきる、「行政力」は、これまで自治体に行政力がなかった。「ふるさと創生事業」にあたっても、過疎化が進行する自治体の99%が「何をして良いか分からない」と応えていた。政策力、企画力がいかに大事かを感じる事件だった。また良い企画も、「自治体の経営力」がなければ地方は路頭に迷うということを北九州市市長の末吉興一さんに教えられた。
竹田市では「TOP運動」を展開している。Tは竹田市、そして挑戦(トライ)の頭文字、Oはオリジナル、オンリーワン、Pはプロジェクト、パワーです。「TOP運動」は、住民との対話がなければ成り立たないので、全地域を巡り対話した。この時の記録から起こした政策が64本あり、これが竹田市の総合計画とともに重要な柱になっている。

「政策をブランド化」する必要がある。
「政策のブランド化」として、移住・定住促進という言葉が出る前から「農村回帰運動」を展開していた。「竹田総合学院」としてクリエイティブな作家を集める政策を立てた。「地域おこし協力隊45名」の多彩な人材を活用した。地域おこし協力隊の中には、帰化している外国の方が案内所で勤務したりするなど活躍している。地域おこし協力隊の活用では日本で一番で、国が一人400万円まで負担してくれるので、年間2億円を負担してくれており、地域で活躍するとともに、定住にも繋がっている。

「観光」とは何なのかを考えてみた。
観光の原点は「誇り」と「憧れ」が循環するものだと思い至った。“ディスカバージャパン“により観光は大衆化するとともに、歴史的建造物が損なわれ、文化の拠点も壊されてきた。他所から来る人にとって「憧れ」であるものと、地域の人が「誇り」を持つものとが重なり合わさったところに、観光の原点があると思われる。
今、危ないと思っているのがインバウンド。インバウンドを節操もなく取り込むため、地域の大切なものが失われる危険性があると思っている。

28歳の時に教えられた逸話にタイタニック号の話がある。遭難の後、素晴らしい遺品がたくさん回収されるなかに立派な旅行カバンがあった。そしてそのカバンの中は海水に侵されていなかった。そのカバンを作ったのがルイビトンだったという。一流には一流のエピソードがある。地域づくりでも「一流のエピソード」がなければならないと感じた。

直入町の頃、ドイツの温泉地形成に注目していたが、昭和8年からヨーロッパの温泉地を意識したまちづくりを考えていたことを知らされた。このような「地域に浮遊する遺伝子」が時空を超えて引き継がれ、長湯温泉が日本一の炭酸泉であると知り、平成元年に「全国炭酸泉シンポジウム」を開催することにつながった。
そして、ドイツのバート・クロツュインゲン市などと交流を始めた。
チェコ・カルロヴィヴァリ飲泉場で学んだことは、日本は経済大国かもしれないが、「後世に、誇りを持って残すべきものを残してきたか」と語られたことだった。飲泉場の銘板に刻また内容から、後世に何を語って、何を語り継いでいくかという精神の崇高性を感じた。

「世界に通用する個性的な温泉地形成」を目指し、「飲泉文化」「外湯めぐり」「温泉保養保険制度」をテーマとした。「飲泉文化」は、炭酸泉を飲むという文化。「外湯めぐり」は、内湯を持っていない住民が外湯を楽しむ文化であり、外湯は古老から学びの場でもあった。
また、長湯温泉療養文化館『御前湯』をはじめ、ラムネ温泉館、温泉利用型健康増進施設「クアハウス」の建物、また隈研吾氏の設計の「センターホール」を建設している。わずか半径2kmのなかに、日本建築学会賞を受賞した日本を代表する建築設計士の方4名の建物がある。これらが世界に通用する個性的な温泉地形成にもつながると確信している。

その後もドイツとの交流は続き、バート・クロツィンゲンの門外不出のワインを、輸出のための会社「NAKRO」を作り、直入町に輸出してくれることとなった。まだドイツや温泉の話が理解されない雰囲気の中、海の向こうの友人たちが身を削る思いで、理解を示してくれたことに感動した。
今日、そのNAOIRIのパッケージに入った白ワイン「フロイントシャフト(友情)」を持ってきたので、交流会で味わってほしい。

最後に、今日が亡くなった親父の生誕百年を迎える。親父の残した言葉だが「誰もやってないことに立ち向かう時、大切なのは夢のある展開を信じることであり、失敗を恐れて批判家になっている者の言動に左右されないことである。歴史という道はいったものではなく、行った者の後にこそ残って消えない」と話を締めくくられました。