『なぜ熊野古道に外国人観光客が殺到するのか?』 (講演概要)

なぜ熊野古道に外国人観光客が殺到するのか?』 (講演概要)
(平成30年 1月11日)
参加者数:40名

 

今回は、民宿「霧の郷たかはら」オーナーの小竹治安(シノ ジアン)様をお招きしました。
熊野古道に2008年にオープンした『霧の郷たかはら』。標高320mの場所にあり、「雲海が漂い、幻想的な雰囲気を味わえる」として口コミが広がり、トリップアドバイザーの2016年ホテルアワード旅館部門で全国5位に輝いた、熊野古道屈指の人気の宿です。

『霧の郷たかはら』の立場から見て、“なぜ熊野古道に外国人観光客が殺到するのか?”“なぜ『霧の郷たかはら』に宿泊されるのか?”について語っていただきました。

 

小竹さまの経歴もユニークです。15歳で祖父から強制され英国に留学。英国で出会ったスペイン人の影響でスペインに留学。母の他界で帰国し、関空で開業予定のフランス料理店を引き継ぐが、大赤字で撤退。上海の木材工場に従事。和歌山でスペインバルを開業。そして、タクシー業の手伝いをしていた時に和歌山県の「熊野古道の旅館の経営者募集」を知り応募。採択されて「霧の郷たかはら」を運営し、今年で10年になるといいます。

熊野古道は外国人、それも富裕層に人気だといいます。その理由は「日本は安全だから」が大きいようです。また熊野古道を選ぶ大きな理由は「何もない」からだといいます。「何もない」ことが豊かな自然を生み、スピリチュアルな環境を作ります。海浜リゾートの白浜は料金が高くつくのでプーケットなどのリゾートを選ぶ。熊野古道はリーズナブルだとの話もありました。
熊野古道には5〜7泊かけてウォーキングされる方が多く、1箇所での連泊ではなく、次の宿に移られるスタイルが多く、コース全体に案内板や設備が整っている点も評価が高いといいます。荷物搬送サービスも整っており、外国人はこのサービスを使って大きな荷物を運び、自らはナップザック一つで歩いて移動されます。
宿泊客は国内52%、国外48%です。欧米諸国とオーストラリアのお客様で9割近くを占め、香港、中国、シンガポールのお客様も増えつつあるといいます。季節は、春が最も人気で外国人が8割以上、夏は3割程度、秋もシニアの人気が高く、冬はオーストラリアのお客様がニセコでのスキーの帰りに寄られるなどの特徴があるようです。
宿で過ごすスタイルも、日本人は「個室でゆっくりする」のに対して、外国人は「共有スペースを楽しむ」ようです。「霧の郷たかはら」は客室以外は広々と使えるオープンな配置にしています。

「霧の郷たかはら」はスタッフ14人全員が外国語を話せます。オープン当初、外国語を指導しようとしてもなかなか受け入れられなかったそうですが、食事と宿泊場所を無料提供する代わりに6時間の労働力を提供する「ウーフ」という制度を導入したところ、地元採用スタッフの外国語コミュニケーション力が自然と身についたといいます。過去2年間で12カ国100名以上の働き手を受け入れており、どんな国・文化圏から来る利用者にも対応できるというから驚きです。
またこのウーファーによるSNS(ヨーロッパでは「WhatsApp」の利用が多い)による情報が世界に拡散されたことも、「霧の郷たかはら」の認知度を上げたようです。


今後は、「霧の郷たかはら」を拠点とした半日周遊コースの企画を進めたり、イタリアのトスカーナ州にあるヴィラとスローツーリズムで連携する考えもあるそうです。
「霧の郷たかはら」は、和歌山県が10年間の期限で公設民営されていたので、この施設を買い取り、来年度からは民営としてスタートさせるそうです。 

私も仲間4名で10月に「霧の郷たかはら」で宿泊しましたが、雲海の素晴らしさ、食事を含むおもてなしに感動した1人です。是非、皆さんも熊野古道、「霧の郷たかはら」をお訪ねしてくださいと話を締めくくりました。
配付資料は『観光のひろば』トークの記録に掲載しております。