ニューヨーク市のAirbnb民泊の影響による家賃高騰や住環境問題の調査委結果!

米国では民泊で何が起こっているのか? エアビーによる不動産市場や住民生活への影響、研究グループが調査報告書を公開

(トラベルボイス 2018年2月8日)
https://www.travelvoice.jp/20180208-105561
ニューヨーク市で展開する民泊事業による影響を3年間に渡った本調査報告は衝撃的だ。
一軒家やマンションを丸ごと貸し出す物件が約半分を占め、売上は4億9000万ドルで全体の75%。一軒家を丸ごと貸し出している物件の87%がニューヨーク州法に違反。
民泊普及に伴い、地元住民の居住物件が減少し家賃が1.4%上昇。今年の家賃は380ドル値上がりだという。
アフリカ系住民が多数を占める地区で民泊を運営するオーナーは白人が74%で、白人ホストが手にした売上は推定1億6000万ドル。黒人ホストの売上は4800万ドルと大きな差が出ている。
民泊が、家賃の高騰や貧困格差を広げている問題は大きな社会問題に発展しかねない。
地方の古民家を活用した民泊は進めるべきだと思うが、都市部における民泊の運用には慎重な姿勢が必要だ。
【ポイント】
カナダのマギル大学都市計画学部が、「Airbnb」がニューヨーク市で展開する民泊事業による、地域の不動産市場や住民の生活に及ぼす影響を調査した。
調査対象期間は2014年9月から2017年8月。ビッグデータ分析手法を用いて、民泊物件のロケーション、ホストの実態、住宅市場への影響、家賃高騰などの問題を探る試み。

手頃な価格で暮らすような滞在ができることが人気を呼ぶ民泊だが、一方で居住物件の不足、地域住民の生活の質低下、さらにニューヨークのように多民族が暮らす大都市では、人種間格差を拡大しているとの指摘もある。

一軒家やマンションの居室を丸ごと貸し出す物件は登録物件全体の約半分を占めるが、その売上は4億9000万ドルで全体の75%。一軒家を丸ごと貸し出している物件の約9割(87%)が、ニューヨーク州法に違反。
昨年のニューヨークにおけるエアビー売上の66%(4億3500万ドル)、予約の45%が違法と断じている。

Airbnb普及に伴い、地元住民向けの居住物件が減少している。
ニューヨークの長期レンタル向けの賃貸物件市場では、供給数が推定7000~1万3500軒ほど縮小。これに対し、Airbnbには120日以上のレンタル物件1万2200軒、240日以上では5600軒が登録され、頻繁に利用されている。

賃貸物件が減少した影響で、過去3年間にニューヨークの長期滞在向けの家賃相場は1.4%上昇。今年の家賃相場は同380ドル値上がり、マンハッタンの一部エリアでは、700ドル以上の値上げとなるケースも出ている。

個人が自宅の一部を貸し出すのではなく、複数のAirbnb物件を管理する「商業目的」のオペレーターは、ホスト全体の12%に過ぎないが、ニューヨーク市における売上の28%以上を獲得。
昨年は、売上の48%を、上位10%のホストが獲得。下位80%のホストの売上は、全体の32%だった。

人種のるつぼであるニューヨークならではの問題が、ジェントリフィケーション。
地域の経済や住民の構成が変化する都市再編現象だ。当初、ニューヨークのAirbnb物件は、ミッドタウンやロウアー・マンハッタンに多かったが、目下、Airbnb物件が急増しているのがハーレムなど、アフリカ系住民が圧倒的に多いエリア。
この地区で、実際に住んでいない白人オーナー所有のAirbnb物件が増えた結果、家賃の高騰を招き、住民たちの暮らしを圧迫。オーナーが白人の方が、非白人の場合より、圧倒的に売上が伸びるといった格差も広がっている。

アフリカ系住民が多数を占める計72地区でAirbnb物件を運営するオーナーは白人が74%。同地区に居住する白人の比率は14%。
白人ホストが手にした売上は推定1億6000万ドル。黒人ホストの売上は4800万ドルと、大きな差が出ている。

ニューヨークの場合、家賃高騰や住環境問題の影響を受けやすい地区の居住者は、圧倒的にアフリカ系で80%。結果として、民泊が、格差を広げていると問題提起している。