アクティビティ予約「ボヤジン」の苦境から躍進まで!

楽天傘下となったアクティビティ予約「ボヤジン」、高橋CEOに成長までの苦境から躍進するBtoB事業まで聞いてきた

(トラベルボイス 2018年2月11日)
https://www.travelvoice.jp/20180211-104604
アクティビティ予約「ボヤジン」。2012年から「コト消費」に取り組んだ先駆け企業。創業時のC2Cモデルにこだわらず、訪日外国人に需要のあるチケット販売であるB2Cに着手。「“作りたいもの”を作って世の中を変えたい思いの時代から、作りたいものと必要とされるものを折り合いつけること。それが、世の中に貢献できるという風に変化した」という。
2015年に楽天の傘下入り、躍進を続けている。
「すきやばし次郎の貸切ツアー」や「鍛冶体験」などの企画も素晴らしい。
長文ですが参考になるレポートです。『観光のひろば』にお招きしたいなあ…
【ポイント】
2011年に創業したボヤジン。2012年12月にプラットフォーム「Voyagin」をリリースしてから5年。2015年5月に楽天の傘下入りを果たし、現在では当初のC2Cに加えて、B2CとB2Bも事業の大きな柱。

訪日旅行者向けの現地ツアー予約サイト「FindJPN」を起業したのは2011年8月。2012年12月にアジアからの旅行者に特化した現地ツアー予約サイト「Voyagin」をリリースした。
日本の「体験」を提供するホストと旅行者をマッチングさせるC2Cプラットフォームは当時としては先進的。
しかし、そう簡単には実現せず「最初の2年はやりたいことをやったが、全く売れない。会社が潰れそうになった」

その後、C2Cマッチングだけでなく、訪日外国人に需要のあるチケット販売であるB2Cに着手。
「チケット販売が伸びていくと、自分たちが必要とされていること、自分たちが価値を提供できていることに気づいた」。創業当時のC2Cモデルにこだわらず、必要とされる事業を伸ばすという気持ちの変化につながった。
「“作りたいもの”を作って世の中を変えたい思いの時代から、作りたいものと必要とされるものを折り合いつけること。それが、世の中に貢献できるという風に変化した」という。
チケット販売の売上が伸び始めた頃、楽天により買収された。
楽天トラベルは訪日外国人向けサービスを強化するなかで、ボヤジンの売上は伸びないながらもおもしろいコンテンツが揃っていたC2Cプラットフォームに目をつけた。
この話が来たとき驚いたが、将来の事業展開、資金繰りなどを考えると楽天の提案を断る理由はなかった。
なにより、「ボヤジンとしての独立性を尊重してくれた」

楽天傘下に入った後は、業績が順調に伸びてきたチケット販売に資金を投入。テーマパーク、交通、スポーツのチケットも取り扱うようになり、B2Cの幅を広げた。
さらに、問い合わせの多かったレストランの予約代行サービスも始めた。
しかも、店舗情報の無料掲載が当たり前のなかで、外国人向けの予約を代行するサービス事業として有料化。「レストラン側にしてみれば、言葉など手間がかかる外国人の予約を代行してもらうメリットがある。外国人にとっては、行ってみたいレストランをストレスなしに予約できる」。双方のニーズがマッチし、通常より高めの予約料金でも事業は着実に育ったという。

ボヤジンの根幹である「体験」も従来のC2Cに加えて、B2Cを加えることで幅が広がった。
たとえば、「すきやばし次郎の貸切ツアー」。三越伊勢丹との協業で企画したが、8席の予約に対して約1300人が応募したという。また、「すきやばし次郎」「てんぷら近藤」「築地ツアー」と宿泊を合わせたパッケージも25万円という高額ながら即完売した。
「おもしろいものがあれば、それだけのために日本に来るマーケットはある」 この企画によって、ハイエンド旅行者によるサイトへの信頼度も向上したため、富裕層向け旅行への事業拡大も可能になった。

地方での送客でもB2Cによる体験コンテンツが大きく役立っている。
岐阜県羽島の「鍛冶体験」。7時間コースの本格的な体験で、2名で7万2000円と高額ながら、毎月50人を集めるほど人気があり、事業者は毎月200万円を売り上げているという。
「本物の体験であれば、高いお金を払う旅行者は存在するし、観光都市でなくても成功できる例」と自信を示す。

楽天の買収から約2年半。取扱高は20倍に拡大。予約数も現在1日1000人から2000人、ほぼ20倍に成長した。

現在、もうひとつの大きな事業の柱となっているのがB2B事業だ。
大手旅行会社との協業。旅行会社の費用でボヤジンに特集ページをつくり、訪日外国人向けに販売する。
大手旅行会社は楽天トラベルと競合になるが、「独立性を持った事業展開が、ここでも生きている」と話す。

全国に広がる楽天の営業ネットワークを活用したB2B事業も増えてきた。
地方自治体やDMOとの協業は、「日頃から全国でコミュニケーションをとっている楽天のネットワークのおかげ」。瀬戸内DMOとのコラボレーションでは、ボヤジン上に特集ページをつくり、その地域でできる「体験」を紹介。外国人にはSetouchiやTokushimaなどの知名度は皆無なため、原爆ドーム、しまなみサイクリング、直島など認知の高いキーワードを軸に、そこから周辺の地域や体験を案内する動線をつくった。
地域のツアーを旅行者に無料で体験してもらい、そのフィードバックとツアーの様子を動画でまとめたリポートを作成、ツアーの主催者にアウトプットするモニタリングツアーも始めている。

ボヤジンの外国人スタッフが、各地域の魅力や体験プログラムをブラッシュアップするワークショップも始めた。
これまで、福井市、郡山市、金沢市などで実施。「地方へのインバウンドという歴史文化が中心だと思いがちだが、外国人視点から見ると、日本人には意外なところに価値が埋もれている」。

圧倒的な集客力とビッグデータで「国内競合には負ける気がしない」 
「Japan、Tokyo, restaurant」など日本のタビナカで検索されるキーワード検索では、Voyaginのサイトが上位。
「ボヤジンで予約した旅行者の来日に合わせて、イベント告知やプロモーションをピンポイントで行う」ビッグデータの活用にも取り組む。
メールマーティングは、ネット上で広告を打つより、訪日回遊の瞬間を捕まえることができる。
膨大なデータが蓄積されているからこそB2Bも可能になる。創業からこれまでの流れを「スタートアップが一本の事業だけで成長していくのは難しい」と振り返る。