訪日クルーズ船の寄港、3年で倍増 九州・沖縄に集中!

訪日クルーズ船の寄港、3年で倍増 九州・沖縄に集中  
港湾整備が急ピッチ、乗客に「お金」落としてもらう仕掛け課題

(日経電子版 2018/3/2)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27362700U8A220C1MM0001?channel=DF220420167277
2017年のクルーズ船は全国で2765回(37%増)、今年はさらに増えるという。
寄港数は西日本が全体の8割を占め、沖縄が最多の515回で、長崎、福岡と続く。
クルーズ船誘致も、大阪市は給水を無料化、岸壁使用料の免除などの取り組みで、18年の寄港数は68回と17年比36%増える見込みだ。
大型船の受け入れのため港湾改修も各都市で進んでいるようだ。
クルーズ船を受け入れを進めてきたが、地元での消費が進まないなどの問題も顕在化している。
【ポイント】
クルーズ船の寄港が増え、2018年は15年の約2倍の3000回超となる見通しだ。
2017年の寄港数トップの25港湾で2230回と全国の8割を占め、全国では2765回と前年に比べ37%増えた。
17年にクルーズ船が寄港したのは全国約120カ所。回数ベースでは西日本が全体の8割を占めた。
寄港数の「西高東低」は「中国発着の4~5泊の短期ツアーが多く、西日本への寄港が中心になるため」だという。
515回の沖縄が最多で、長崎、福岡と続いた。沖縄は東アジアから最も近い日本としてツアーが増えた。
18年も那覇港(那覇市)で17年比3割増の292回、石垣港(石垣市)で2割増の158回など、沖縄県全体で662回と3割増を見込む。
クルーズ船の誘致に向けた港湾整備に取り組みが広がっている。
大阪市は14年から、大阪港に寄港するクルーズ船への給水を無料にする「全国でも珍しい」取り組みを展開。500トンで約32万円かかる水の代金のほか、岸壁使用料なども免除し、15万トン級の船舶ならば最大500万円超の負担軽減になる。こうした施策が実り、18年の寄港数は68回と17年比36%増える見込みだ。
京都府は「海の玄関」である舞鶴港を、5年後をメドに一部埠頭の水深を0.5メートル深い10メートルにするなど、大型船誘致のためのインフラ整備を進める。
八代港(熊本県)では、クルーズ船運航の世界大手「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」(米フロリダ州)が旅客ターミナル、国が岸壁、熊本県が埠頭用地の整備を担当する官民の共同事業が始まった。
伏木富山港(富山市など)では新たな港湾整備により、3月までにクルーズ船の受け入れ能力を16万トン級から22万トン級に広げる。
博多港では、寄港需要は旺盛なものの受け入れ体制が追いついていないため、より大型のクルーズ船が着岸できるように岸壁の延伸工事を実施中だ。

クルーズ船客は上陸後、バスで特定の免税店などを回り、地元の商店街に足を延ばさないケースが目立つ。
訪日客の案内を手配するランドオペレーターの収益は、立ち寄り先の免税店の売り上げに応じて店側から受け取る手数料に大きく依存している。そのため特定の免税店ばかりに誘導する実態は改善しない。
地元店も、中国の「支付宝(アリペイ)」などのスマホ決済に対応できる店が限られる。

ランキングで2位に入った長崎港。17年も中国からの寄港が増えたが、「爆買い」のピークが過ぎた今は上陸後に免税店や家電量販店をバスで回る従来型が飽きられ、不満の声が増えているという。このため長崎県では観光客をバスで島原半島の雲仙地獄を巡るツアーなど、新しいルート開発に力を入れているという。

神戸港にクルーズ船を誘致する「神戸市客船誘致協議会」は、乗客がスマートフォンの「SIMカード」を無料配布し、三宮センター街などを訪れると利用できるデータ通信量が追加される実証実験を始めた。

月平均で数回の寄港が見込まれるようになると、ボランティアに頼った歓迎だけでは対応しきれない。
自治体が受け入れ体制を強化し、騒音やゴミ対策にも取り組む必要があるが、地域経済への波及効果が明確でなければ予算を投じにくい。