大阪の宿泊施設の客室稼働率は、前年同期比5〜10%弱含み!

おおさか経済の動き (2017年10月〜12月) 〜宿泊業(簡易宿所など)〜 (P.28,29)
(大阪産業経済リサーチセンター 平成30年3月発行)
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1949/00085116/nouhin501.pdf


大阪府の簡易宿所を中心にした宿泊業の経済リポートが発行された。
簡易宿所の稼働率は4〜5年前から増加傾向にあったが、27年頃をピークに鈍化、29年も減少している。
29年10〜12月期の売上高は15〜20%減となったゲストハウスの事例や、26年頃は常に90%台だった稼働率が、前年同期比で20〜30ポイント低下している事例もあるという。
違法民泊の影響も大きいといい、訪日外国人客は増加を続けているものの、宿泊施設の稼働率も下がり、競争激化による宿泊料金の低下も見られるようだ。


【ポイント】
平成28年の春以降、客室稼働率を下げる事業者が目立ち始め、29年も訪日外国人客は増加しているものの、ホテルの新規開業やゲストハウス、カプセルホ テル、特区民泊などの参入が増えたことから、稼働率はやや弱含みで推移した。
旅館業法によってホテルは10室以上、旅館は5室以上と規定されていたが、本年6月15日から施行される改正旅館業法において、ホテル・旅館の種別が統合されることに伴い、最低客室数も撤廃される。 
28年度末の各施設数はホテル421、旅館739、簡易宿所388となっている (厚生労働省『衛生行政報告例』)
政府は、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例を認め、大阪府と大阪市は、自治体条例に則した「特区民泊」の認定を28年度から開始した。 

簡易宿所の需要は、国内客・外国人客ともに、4〜5年前から増加傾向にある。
インバウンドはホテルの客室稼働率の上昇や料金の高騰などから予約が取れず、簡易宿所を利用するケースもみられた。しかし、稼働率や料金も27年頃をピークに鈍化し、29年は大阪市内でのホテルの新規開業が相次いだことや、ゲストハウス、特区民泊などの参入による客室数の増加で、施設当たりの需要はやや減少している。

市内で3つのゲストハウスを運営する企業では、28年秋頃から予約件数が減少傾向にあり、うち1施設の29年10〜12月期の売上高は15〜20%減となった。かつてはアジアからの客が多かったが、最近は欧米客が中心になっている。背景には、価格帯がより低い民泊などにアジアの客が利用するようになったと考えられる。

10〜12月期の客室稼働率は前年同期比で5〜10ポイント低下と、弱含みで推移している。
あるゲストハウスでは、  26年頃は常に90%台だったが、直近では前年同期比で20〜30ポイント低下している。
一方で、日本文化を体験できるオプションサー ビスを提供する宿泊施設は外国人客の人気が高く、稼働率は80%前後を維持している。

世界でも民泊による影響がみられ、フランスのAirbnbは50万件近くの物件が掲載され、26年の訪仏観光客は20 
年に比べ6%増えたのに対して、ホテルの客室稼働率は2ポイント以上低下したという。
稼働率の低下を受け、今までの水準をできるだけ維持しようと、客単価を下げる企業が少なくない。
ただし、簡易宿所としての許可を取得する際には、少なからぬ初期投資費用を投入しているため、競合他社の台頭で値下げ圧力が高まる中、相場にある程度は追随しつつも、過度な値下げは利益を悪化させるため、 対応に苦慮するという。
宿泊を目的に訪れる顧客が多いホテルは、客単価が高い水準で推移し、今春以降も順調に上昇している。
簡易宿所では、金・土曜日はインバウンドの予約が集中し、日曜日は客が一斉にチェックアウトするため、平日の倍以上の作業負担が発生する。そこで、 日曜日だけアルバイト人員を強化するという。
今後も、ホテルの新規開業やゲストハウス、カプセルホテル、特区民泊などの参入が相次ぎ、客室数の供給が急増することから、しばらくは稼働率や客単価の低下が続く とみられる。
違法民泊の影響も無視できない。違法民泊は、安全・衛生等の基準を満たさない低品質、騒音、ゴミ出しといったトラブルの発生にとどまらず、都市部では薬物や窃盗、暴行といった犯罪拠点に使われたケースもあった。
このような実態を踏まえ、大阪府や市では違法民泊に対して、行政指導を行うなど取り締まりを強化している。