日本各地のマラソン大会が「外国人ランナー歓迎」の理由!

日本各地のマラソン大会が「外国人ランナー歓迎」の理由
(Newsweek  2018年04月27日)

https://www.newsweekjapan.jp/nippon/season2/2018/04/212266.php
インバウンドの波は、マラソンイベントにも押し寄せている。
「東京マラソン」の外国人参加者は、2015年5317人、2016年6456人、2017年6258人と国内最大だ。台湾1049人、中国1011人、アメリカ805人、香港663人、イギリス397人、2018年は90の国と地域から参加したという。
多言語ボランティア、ピクトグラムをはじめ、地域特有の飲食や芸能、観光へのサービスも評価が高く、マラソン大会前後のツーリズムも人気のようだ。
2019年ラグビーワールドカップ、2020年オリンピック、2021年ワールドマスターズゲームズ関西とビッグスポーツイベントが目白押しだが、「みる」スポーツから、参加「する」スポーツへの情報発信も重要となりそうだ。
【ポイント】
2007年2月の東京マラソン開催をきっかけに、日本は空前のランニングブームを迎えた。フルマラソン大会は、2006年度の50から2016年度に79まで増加。完走人数も10万3590人から36万4546人へと右肩上がり。
フルマラソン大会だけではない「市民ラン」を含めた大会の開催数は全、全国に2800以上あるという。
一方で、年1回以上ランニング・ジョギングをするランナー人口は、2012年の1009万人をピークに2016年には893万人と減っているとの調査報告もある。
日本最大級のランニングサイト「RUNNET」でも、近年の世界的なランニング需要増加に伴い「RUNNET GLOBAL」(前身「RUNNET JAPAN」)という英語対応サービスを2015年から開始している。

インバウンド向け大会も増えており、2017年の実績で前年比2倍以上も伸びている。

「富士山マラソン」では、42カ国から1543人もの外国人ランナーが参加。富士山周辺は訪日観光で人気の高いエリアで、紅葉が見頃の11月開催とはいえ、1万人規模の大会で参加者の16%がインバウンドという。
台湾490人、香港342人、タイ224人、中国211人、アメリカ48人と続き、アジア圏ランナーの人気の高い。
「東京マラソン」の外国人参加者は、2015年5317人、2016年6456人、2017年6258人と国内最大だ。
2018年は90の国と地域から参加。台湾1049人、中国1011人、アメリカ805人、香港663人、イギリス397人となっている。
世界6大メジャーマラソン「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」対象大会であることも理由に挙げられる。
多言語ボランティア、ピクトグラムの導入をはじめ、サービスクオリティも高い評価を得ている。
都市型マラソンのメリットである交通面でも、応援する家族や友人が参加しやすくなっており、コース上の観光名所をエリア別に紹介した見所マップの配布等、地域との連携が進んでいる。
2017年からフィニッシュ地点が東京駅前となり、フィニッシュシーンがインスタ映えする東京駅舎となったことをはじめ、SNSを通じて東京観光名所の魅力を世界中に発信、国外PRが効果的に生み出せるようにもなった。
沖縄の「NAHAマラソン」は、2013年頃まで外国人ランナーは300~400人だったが、2014年に1132人を記録し、毎回800~1000人の水準を維持している。
NAHAマラソンは、大会前後でツーリズムを楽しめる自然環境やホテル、食事などが備わっている点がある。
途切れない沿道の応援、名物バンドの演奏やダンス、黒糖やサータアンダギーをはじめ名産品を振る舞うなどの充実と、沖縄らしいもてなしによって、お祭りのような特殊な体験ができる。
インバウンドランナーが増えた理由に、大半を占めている台湾ランナーとの交流も背景にあるという。
台湾のマラソン大会への沖縄市民の参加など相互交流が活性化し、それに合わせてNAHAマラソンでは、英語・中国語の案内作成や通訳ボランティア配置など、大会の受け入れ体制を強化してきたそうだ。
台湾第2の都市で開催される「高雄国際マラソン」は、こうした交流の中で誕生した。
NAHAマラソンに感激したことが発端となり、マラソン友好の輪がインバウンド人気として、花開いているかたちだ。
中国や台湾で起きたマラソンブームも大きいという。
旅先の文化に触れ、住民との交流を深め、旅が持つ体験価値を高めていく、旅行形態への変化も重なっている。

地方自治体における成功事例として「新潟シティマラソン」がある。
萬代橋や海岸線の美しい景観を走る新潟最大のランニングイベント。2018年で36回目を迎える。
観光庁やJSTA(日本スポーツツーリズム推進機構)主催による台湾でのイベントへ出展、旅行代理店と連携し、大会日程に合わせたチャーター便の手配、酒蔵見学やショッピング等の観光を兼ねたマラソンコース下見バスツアー企画も実施している。
英語やピクトグラムの表示を増やし、海外ランナー専用の休憩所を設置、給食としてポッポ焼や米菓を提供。さらには完走者にコシヒカリを使ったジャンボおにぎりの提供等、新潟らしい特色も伝えられるよう創意工夫を施している。
中国や台湾のランナーにも概ね好評で、参加者の口コミも徐々に広がっており、設立当初はゼロに近かった外国人ランナーが、現在では100人近く参加している。
2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピック、2021年にはワールドマスターズゲームズ関西、水泳世界選手権大会等、国際競技大会の開催が続々と控えている。
世界の注目が集まるメガイベントを活かし、それ以降の日本にどのようにレバレッジを効かせるかは、重要な視点だ。「みる」スポーツだけではなく、参加による「する」スポーツの発信もまた、1つの活路となるのではないだろうか。