「秋津野ガルテン'における農村多角化と観光の取り組み!」(講演概要)

『和歌山県田辺市の'秋津野ガルテン'における農村多角化と観光の取り組み!』 (講演概要)
(平成30年 4月23日)
参加者数:35名

 

 

今回は、和歌山県田辺市の『秋津野ガルテン』に草創の頃、田辺市地域連携コーディネーターとして関わられた、和歌山大学食農総合研究所の岸上光克先生にお話をお聞きしました。

田辺市は、日照時間が長く80種の柑橘類が年間を通じて出荷できる地域だといいます。
しかし外国産オレンジなどの輸入とともに、ミカンだけでは収入を得るのが難しくなるなか、ウメ単作を選択する地区が大半を占めるなか、上秋津地区は「ウメとミカンの複合産地」の道を選びます。選んだ理由は、ウメの単作にして不作が起こった場合、生計を立てることが難しいこと、またミカンの生産技術継承が重要と考えて、複合産地の道を選んだといいます。
また、昭和50年以降、農地の宅地化が進み、新住民が増えるなか、新旧住民による地域のあり方を議論する場を平成6年に設立しています。このような「地域のことは地域が考える」風土が、その後の発展に寄与していきます。
平成11年、農産物直販所を開設してみようとの声があがり、31人が10万円を出資して農産物直販所「きてら」を開設させます。しかし売り上げが伸びず倒産の危機、客が来ないならこちらから売りにいこうと、「ミカンを軸に、青果物や加工品の詰め合わせセット」の販売に力を入れます。平成20年の売上高は1億円にもなったといいます。
「きてら」が凄いのは、①住民が出資 ②チャレンジ精神、でも身の丈 という考え方です。
平成16年にはミカンの格外品を無添加の果汁ジュースとして商品化するため、31人が50万円を出資、「俺ん家ジュース倶楽部」を作ります。農協より高い買入価格なので、農家所得の向上にも繋がっているといいます。

次に「都市から来てもらう」ことを考え、都市農村交流(グリーンツーリズム)に取り組みます。
平成14年、自治体の「秋津野マスタープラン」ができて、上秋津小学校の移転が盛り込まれます。平成15年に、地域住民による「上秋津小学校現校舎活用検討委員会」を組織し、「この木造校舎は地域の財産だ。壊すべきではない」との考えを、田辺市に提言を行います。平成18年、上秋津小学校新築移転とともに「秋津野ガルデン建設委員会」を立ち上げ、小学校用地購入を決議、運営会社「農業法人(株)秋津野」(資本金4180万円)を設立し、平成20年11月に「秋津野ガルデン」をオープンさせます。
「秋津野ガルデン」では、農家レストラン、宿泊施設、市民農園、ミカンの樹オーナー制度、農作業体験・加工体験、地域づくりの視察・研修の事業を行っています。
農家レストランは地域の女性で運営されていますが、スタートする時「私たちにはできない」と言われたといいます。全国の農家レストランを見に行ってもらい、「自分たちが普段作っている料理でよい」と気づき、客から「肉がない」と言われたら「他所で食べてくれ」と、地元で採れたものを食べてもらうことにこだわったといいます。また「地元で作ったものを地元の人が加工するので、地域からお金が出ていかない」こともポイントだと話されていました。
「秋津野ガルデン」の現在の年間交流人口は6万人だと言います。「紀州熊野地域づくり学校」(現在の「地域づくり戦略論」)などを開講し、「地域づくり」と「地域経済」の両立を目指す地域づくりの人材育成の場にもなっています。

近年の訪日観光ブームのなか、「秋津野ガルデン」にも訪日客が年間500人程度来られているといいます。また「秋津野ガルテン」のキャパを考えると500名が限界かもしれないとの話もありました。「秋津野ガルデン」は、もともと観光施設として作られたものではなく、「地元で作った作物を、地元の人が加工して、食べてもらう」地域に根ざした活動が根本にあることを忘れてはいけないと話を締めくくられました。

8月に『秋津野ガルテン』を訪問する企画を立てていますが、是非、皆さんも「秋津野ガルテン」をお訪ねください!