訪日客急増で交通渋滞 緩和策になるか日本版「混雑課金」!

日本版「混雑課金」、訪日客増で渋滞緩和の秘策か

(訪日ビジネスアイ 2018/06/06)
https://j.sankeibiz.jp/article/id=3323
インバウンドの急増で、交通渋滞に悩む都市が出てきた。
一定エリアに入る自動車から課金する「エリアプライシング」が、1975年にシンガポールで始まり、2003年にロンドン中心部で導入したという。
ロンドンの場合、エリア内数百カ所のカメラで車のナンバーを読み取り課金する仕組みで、滞納すると罰金が加わる。kこの制度導入よって、自動車交通量が2割、二酸化炭素排出量が16%減少したともいう。
インバウンドの急増で市民生活に支障が出ている地域も増えてきている。「訪れて良し、訪れてもらって良し」の関係を築くのは簡単ではない。
【ポイント】
インバウンド需要の拡大により地域経済が潤う一方で、交通渋滞や混雑に悩む都市が出てきた。
国土交通省は昨年9月、AIやICTを活用して観光地の渋滞緩和を図る「観光交通イノベーション地域」として神奈川県鎌倉市と京都市、長野県軽井沢町、神戸市を選定した。
ETCを使った双方向通信ができる次世代交通システムや街頭カメラで交通状況のデータを収集。混雑エリアや時間帯などの予測をAIにさせ、渋滞緩和の実験に取り組んでいく計画だ。
一定の区域内に入ってくる自動車から料金を徴収する「エリアプライシング」という混雑課金を観光渋滞対策実験の検討対象に入れた。
1975年にシンガポールで始まり、英国でも2003年にロンドン中心部で導入した。
ロンドン中心部の混雑課金エリア(22キロ平方メートル)にて、平日午前7~午後6時に通行する自動車に課金。
前払いと当日払いは11・50ポンド(約1670円)、翌日払いなら14ポンドを支払わなくてはならない。
エリア内数百カ所のカメラで車のナンバーを読み取り、課金対象を補足する仕組みで、滞納すると罰金が加わる。
この課金によって自動車交通量が2割、二酸化炭素排出量が16%減少したとの結果もある。

鎌倉市が、国交省のデータを活用しながら、全国で先駆けて混雑課金の実験を平成32年度にも始める構えだ。
26年度の市専門委員会の素案では、土日・祝日の交通渋滞の著しい時間帯を想定。課金で得た資金は、公共交通の充実やパーク&ライド駐車場の拡充、商業や観光振興に役立てる。
鎌倉市は三方を山に囲まれ、市内に入れる道路が限られ、渋滞が起きやすい地形。そこに訪日外国人が増え、最近では延べ年間2千万人超が訪れる。鎌倉大仏殿など観光名所に通じる道で交通渋滞が深刻化している。

関西では、観光交通イノベーション地域に選ばれた京都市と国交省、学識経験者らが加わる協議会が2月に発足した。まずはICTの活用で人や車の流れをより正確に把握し、どんな渋滞対策が可能かの検討を行う。
京都市の場合は、市内に入れる道路が多いという事情もあり、課金は将来的な課題に位置付けている。
2000年ごろに延べ約4千万人だった京都市への年間観光客数は、現在は5500万人にのぼる。外国人宿泊客は300万人を超えるほどだ。
観光シーズンは公共交通のバスがいっぱいになり、通勤や通学の際に乗り切れないといった日常生活上の不便も生じ、臨時バスの運行などで対処している。京都観光での不満の声でも「交通渋滞」が目立つ。

ロンドンでは混雑緩和には、課金の手段しか考えられないという状況になって導入された経緯がある。
日本でも観光客数が急増していけば、従来の渋滞緩和対策では限界が出てくる。今後はICTの進歩によって、課金の徴収コストも下げられ、導入のためのハードルは低くなるだろう。交通マネジメントの手段の一つとして考えておく意義はある。
ただ課金は、車の所有者だけでなく、観光バスを運行する事業者を通じて利用者に転嫁される可能性があり、増税と同じような痛手を被る。大規模な交通インフラの整備が難しい中で、増加する訪日外国人をいかに受け入れていくのか。観光を成長産業に位置付けた日本の大きな課題でもある。