「インバウンドはブームに過ぎないか?」旅行者数が失速する「法則」は!

旅行者数が失速する「法則」とは? 致命的なダメージを受けない3つの対策を考えた【コラム】

(トラベルボイス 2018年7月10日)
https://www.travelvoice.jp/20180710-111439
インバウンド観光を単なるブームだと思っている方も多い。故に「インバウンドはバブルか?」という問になる。
これに対する答えは本文に書かれているが、日本が観光地として世界中に知られた今だからこそ、市場拡大期であり、集客拡大をはかる必要がある。
旭山動物園や世界遺産、NHKの大河ドラマのロケ地などは、一時的な集客効果に過ぎない。より魅力を高める戦略がなければならない。
【ポイント】
「インバウンド、インバウンドと言うけど、すぐにしぼむのではないか?」という質問を受けることがある。
◎「インバウンド」はバブルか?
観光需要は経済要因によって決まるので、インバウンド市場を支えている東アジアの需要は、東アジア諸国の経済成長が背景にある。
インバウンド市場がバブルなのかファンダメンタルなのかという問いは、東アジア経済がバブルなのかファンダメンタルなのかという問いと同じになる。
崩壊するとバブルであって、崩壊しなければファンダメンタル…という話です。
中国経済はバブルと言われつつ崩壊していません。中国経済の「バブル」が崩壊するかの予測は、誰もできない。
◎景気変動はリスク対策として捉える
東アジアの経済要因というファンダメンタルであっても、無限に景気拡大が続くと言うことはない。
どこかで踊り場なり景気後退局面なりを迎えます。それがバブル崩壊を伴うものであれば、深刻なダメージとなる。
「リスク」を捉えた対応を進めておくことが必要。
市場動向と、各施設・地域の集客動向は「必ずしも」一致しない。
なぜなら、各施設・地域の集客数は、需要×シェア(選択率)という2つの変数で決まるが、需要規模は各施設・地域の集客数よりも非常に大きく、個別のシェアは非常に小さく独立的だ。
実際のデータを見れば、2000年代、宿泊観光市場は大きく減少したが、その中でも集客数を増やした地域は存在した。観光地で15%、スキー場でも11%は、厳しい市場動向の中でも集客数を増やしており、減少したのは38%、51%に留まる。
◎中長期的な集客数増減に影響する要素
旭山動物園は、観光市場が縮小に向かう時期に観光客数を増やした施設として全国的に注目されたが、急激な集客増の波は2004年〜2006年の3年余りで終わり、その後は減少傾向に転じ、2011年頃から横這いとなっている。
世界遺産登録後2年後以降も観光客数が増えている地域は、登録前から増えている地域です。登録前に横這いや減少だったところは、登録年や1年後には増えても、その後は減少している。
つまり、世界遺産登録など実力を超えて行っても、その集客効果は一時的なものでしかないということだ。
震災などにおいて、観光客数が減少しても、その影響は時間と共に解消される。
こうした事象を、「慣性の法則」と呼んでいる。
沖縄県の観光客数は、何度も横這いや減少になる時はあったものの、その都度、その対象客層を拡げていくことで、持続的な成長に繋げている。
沖縄県が成長できるのは、それぞれの対象や時代が変わっても沖縄を支持してくれるからです。

◎求められる対応
市場の拡大期はいわゆる好景気であり、低所得の人たちも旅行に出かけるようになる。景気が停滞すると、そうした市場拡大を支えた人たちは経済的に旅行に行きにくくなる。
よって、「所得増に伴い、旅行に行き始めた」というセグメントは、景気後退の影響を受けやすいということになる。
市場的には、このセグメントがフロンティアであり、市場拡大のエンジンでもある。
顧客の動機に踏み込み、ステータス型またはライフスタイル型の需要獲得に取り組むことが有効。
なぜなら、ステータス型、ライフスタイル型では、顧客自身の自己承認欲求がベースとなっているため、少々、所得が減少しても、消費の優先順位はすぐに低下しないと考えられるため。

旭山動物園のメディア効果や世界遺産の登録効果は、その多くがディスプレイ型消費であると言える。NHKの大河ドラマのロケ地なども同様。その時に流行っている、注目されているという「他者承認欲求」がデスティネーション選択の理由であれば、その移ろいも早くて当然です。
とはいえ、ストックがフローを形成していくことを考えれば、まずは、観光客を呼び込むことも重要です。

冒頭の「インバウンドはバブルか?」という問に対する答えは、「バブルになるかどうかは東アジアの経済次第だが、ファンダメンタルであっても失速するタイミングは訪れる」。「その際に、大きなダメージを伴うバブル崩壊となるか、ファンダメンタル的な調整期間に留まるかどうかは、地域によって異なる」
 • 市場拡大期である現在、メディア戦略などの短期的な集客をはかり、集客ベースの拡大をはかること。
 • 来訪者のロイヤルティ、特に紹介意向の調査を行い、その構造を明らかにし、向上に取り組む。
 • これらの取り組みに平行して、地域の良質なストック形成を進めステータス型、ライフスタイル型の需要を獲得できるよう地域整備(産業政策、都市政策を含む)を行っていく。