「日本酒」が海外セレブに人気 フルーティーな大吟醸よりコクのある旨口系 国により好みが異なる!

海外セレブ、日本酒で一杯がステータス 泡や古酒人気 

(日経電子版 2018/7/13)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO32753750Z00C18A7000000?n_cid=LMNST020
「和食」の普及とともに「日本酒」が海外で人気だという。
7月12日のWBSで、「獺祭」の管理状態をフランスに出向きチェックされている旭酒造の櫻井社長の姿に感動した。
フランスでは常温保存が当たり前で、ワインのように貯蔵期間が長いほうがよいと理解されているという。
賞味期限を1年も2年も過ぎたもの、常温保存のものが一流レストランで提供されている姿が紹介されていた。そして日本酒を美味しく飲んでもらうため、現地のソムリエに本当の日本酒の飲み方を教える櫻井社長が紹介されていた。
また番組の中で、「日本酒が人気だといっても、日本酒を知っている人は一握り」との紹介もあった。
訪日旅行で「和食」とともに「日本酒」を飲まれる人も増えているが、日本酒の保存や管理方法まで伝えるにはまだまだ時間がかかるのだろう。
本当に美味しい「日本酒」を味わってもらいたいものだ。
【ポイント】
海外セレブの間で日本酒がブームだという。
関税や輸送コストの影響もあり、海外では日本酒の価格は高くなりがちで、ハイエンドなすし店などで味わう高級酒というイメージが定着している。
このため海外では日本酒をたしなむことがステータスになっているというわけだ。
海外の富裕層に日本酒を売り込んでいるのはジャパントレジャーファインドの代表取締役の舘谷葉子さん。
スウェーデン・スイス・オーストラリアを拠点に、欧米の富裕層などに日本酒を紹介している。
さらに一般社団法人の日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称、SAKE女の会)のメンバーとして、外国人などに日本酒セミナーなども開催している。

「外国人向けの日本酒セミナーが増えています」と話す舘谷さん。
日本酒セミナーを実施するにあたり、日本酒の歴史や味わい方などを習得してもらうという。
「日本酒は日本人とのコミュニケーションの一助になる」と考えているからだ。
経営幹部らは食通でワイン愛好家が多く、ワインと比較しながら日本酒を楽しく学ぶ。さらに理系出身者が多いことから、酵母や醸造にも詳しいという。

米国のようなある程度成熟したマーケットでも倍以上の価格で販売されていますし、北欧やオーストラリアなどでは国内小売価格の3~4倍程度で日本酒が販売がされている。
世界各国でも日本酒を売り込むためのセミナーを開催しているが、国ごとに日本酒の人気銘柄が異なる。
スウェーデンでは「日本酒デビューという人でも、フルーティーな大吟醸より、香りが穏やかでキレのよい辛口のお酒や純米酒などのコクのある旨口系の方を断然好みます」という。
スウェーデンではスピリッツ類がよく飲まれ、酒に詳しい国民も多い。
一般にビギナー向けとされる甘口やフルティーな酒はあまり支持されないのだという。
人気銘柄は、「弥右衛門」(福島/大和川酒造店)のような芳醇(ほうじゅん)で骨格のしっかりとした酒や、「一ノ蔵 無鑑査本醸造超辛口」(宮城県/一ノ蔵)などの辛口系の酒、「玉乃光 純米吟醸CLASSIC」(京都府/玉乃光酒造)など伝統製法で仕上げた力強い味わいの生(き)もと・山廃仕込み系の酒だ。

国に関係なく、エグゼクティブ層に広く人気の酒としては「長良川 T-406」(岐阜県/小町酒造)や、「一ノ蔵 濃醇熟成酒 招膳」「Madena」(宮城県/一ノ蔵)といった古酒だ。
食通が多いエグゼクティブ層は料理とのペアリングを考えて、大吟醸より辛口でコクのある酒を選ぶ傾向が強い。
さらに濃厚で複雑な味わいや香りが広がる古酒に興味津々だ。
外国人に大人気とされる華やかな吟醸香の日本酒や、コンペティション優勝銘柄などは富裕層の間では、すでに浸透しているケースも多い。
このため、新しいジャンルの古酒の方に関心が向きやすい。
ウイスキーやワインも年代物は高級品であるように、日本酒の古酒に対しても同じ価値観を持っているようだ。

世界のセレブの間では日本酒のぬる燗(かん)・熱燗(あつかん)も人気が高い。
ドイツやフランス、スイスには冬の定番として、スパイシーでほんのり甘いグリューワイン(ホットワイン)を飲む習慣があるが、グリューワインと比較しながら日本酒のぬる燗・熱燗を楽しむ富裕層もいる。

オーストラリアのアデレードに超富裕層限定の会員制クラブがある。
ここで人気なのが日本酒スパークリング。「菊泉ひとすじ」(埼玉県/滝澤酒造)はシャンパンと同じ機械をフランスからわざわざ輸入して、シャンパンと同じように製造された瓶内二次発酵の透明な強炭酸スパークリングだ。
ハレの日に泡酒を飲む習慣は世界共通で、日本酒のスパークリングという意外性で注目を集めている。
ほかには、価格がリーズナブルで、旨口系日本酒として高評価の「大七純米生もと」(福島県/大七酒造)や、同じ生もとでも上品で洗練された味わいの「大七箕輪門」(同/同)なども人気がある。
オバマ前米大統領にも供された酒の蔵として外国人に特に認知度が高い賀茂鶴酒造(広島県)の「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」なども不動の地位を占める。

日本酒を海外に売り込むビジネスは、大手の卸売事業者がメインだ。
舘谷さんは大手と被らない蔵元や、日本酒の普及が遅れている海外の都市部を探し、高級飲食店や富裕層に直接訪問して売り込んでいる。
リゾート地には富裕層の別荘も多く、そうしたエリアで独自にルートを開拓している。
「効率は良くないが、美食家が多く、日本酒に興味を持つ層が確実に存在するからです」と見ている。

舘谷さんの日本酒のプレゼン方法は至ってシンプル。日本酒の説明をして、テイスティングをしてもらう。そして蔵元の熱意を必死で伝えるだけだ。
舘谷さんは一念発起し、脱サラを決意。その後3年で、きき酒師、国際きき酒師、酒匠(さかしょう、日本酒のテイスティング専門資格)、日本酒学講師(日本酒を教えることができる資格)、そしてワインソムリエ、一般酒類小売業免許……と酒関連の資格を相次ぎ取得。世界に日本酒の魅力を精力的に伝え始めた。