世界に広がるタトゥー文化 日本の温泉、対応に苦慮!

世界に広がるタトゥー文化 日本の温泉、対応に苦慮 
(日経電子版 2018/8/7)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO33657980R00C18A8EAC000?channel=DF010320171966


「タトゥー」に対する考え方は様々だ。温浴振興協会のアンケートでも「不快」が49%に達したという。
世界中にタトゥーが広がり、タトゥーのある米国成人は21%に達している。カナダのトルドー首相も左腕に施しているそうだ。ニュージーランドの先住民「マオリ」は「タトゥーを民族固有の文化」とされている。
13年に、マオリの女性が北海道の温泉施設で入れ墨を理由に入浴を断られたのを機に、異文化と日本文化のどちらを尊重すべきかで議論が起きたという。
別府市は、タトゥー客の受け入れの地図を配り、16のうち11施設は受け入れているといい、大分県の温泉地では、全身を隠して入浴できる「湯あみ着」を貸すという実験も始まったという。
まずは、「タトゥー客の受け入れ」について、情報提供を充実させなければならないようだ。


【ポイント】
7月のサッカーW杯の映像を見て、タトゥー(入れ墨)をする選手の多さに驚いた人は多いかもしれません。
米調査会社による2012年の調べによると、タトゥーのある米国成人の割合は21%に達しました。
欧米ではタトゥー文化が若者だけでなく中高年にも定着しつつあり、カナダのトルドー首相(46)も左腕に施していることが知られています。

「なぜ海外ではここまで広がった」のか、文化人類学者の山本芳美・都留文科大教授は「欧米でも以前はタトゥーに対して“犯罪”といったイメージが強かった」と話す。
それが1980年代以降、音楽や映画の場を中心にファッションとして徐々に広まった。
ニュージーランドの先住民「マオリ」のように「タトゥーを民族固有の文化として復権する動きも世界で活発になった」という。

日本はまだ社会的な抵抗感が強い。関東弁護士会連合会が14年に1千人の男女を対象に調査すると、入れ墨の経験者は2%にとどまった。
スーパー銭湯などが加盟する温浴振興協会による利用者へのアンケートでも、入れ墨をしている人に対して「不快」と答えた人が49%に達した。

13年にはマオリの女性が北海道の温泉施設で入れ墨を理由に入浴を断られたのを機に、異文化と日本文化のどちらを尊重すべきかで議論が起きた。
政府も外国人観光客の増加を受けて「入れ墨だけを理由に公衆浴場の利用は制限されない」とする見解を17年2月に閣議決定している。

大分県別府市は17年から、市内の施設のタトゥー客の受け入れ状況を示す地図を配り始め、16のうち11施設はタトゥー客の受け入れを宣言している。情報を開示しておけば、客がタトゥーに関して「来てみてガッカリ」という事態は避けられる。
さらに大分県の温泉地では、全身を隠して入浴できる「湯あみ着」を貸すという実験的な取り組みも始まった。
タトゥー客以外にも「宗教上の理由で裸になれない人や、手術跡を見られたくない人のニーズがある」と見込んでいる。

外国人労働者が増え続ける中、タトゥーは「スポーツジムなど日常の場でも課題になってくる」という。

日本ではなぜ負のイメージが強いのか。
「江戸時代は町人や火消しの間で『彫り物』が流行となるなど、一定の文化的な広がりがあった。
彫師の技術水準も高く、明治時代には英国やロシアの王族が日本で入れ墨をした記録もある。
明治政府は欧米列強から野蛮なイメージで見られることを嫌い、東京では1872年に入れ墨を条例で禁止した。
入れ墨を軽犯罪とする法律も1948年の日本国憲法の公布まで続く。
戦後は負のイメージがヤクザ映画やテレビにより浸透した側面がある。