ラオックス銀座店閉店 脱「爆買い」戦略の成否はいかに!

ラオックス銀座閉店、脱「爆買い」戦略の成否 〜インバウンド消費の激変に振り回された〜
(東洋経済オンライン 2018/08/24)
https://toyokeizai.net/articles/-/234833


中国人観光客の「爆買い」で話題になったラオックス銀座本店が8月末に閉店するという。
家電量販店だったラオックスを中国人観光客向け免税店へ転換を図り、訪日客急増が重なり大きな利益を得た。2015年に免税店の出店攻勢をかけるも、2016年、中国政府が一部消費財に高い輸入税をかける政策を実施し、失速した。現在、あらゆる業態にマルチ展開をかけ業績は回復基調だという。
ラオックスが儲かろうと儲かるまいとどちらでもよい話だが、中国人だけが儲かればよいようなビジネス展開を、日本や他国で展開するかぎり、成功するとは思えない。


【ポイント】
今年8月末にラオックス銀座本店が閉店する。
銀座本店は、中国人観光客の「爆買い」が話題になった2015~2016年頃、インバウンド消費の代表的なスポットとなった。店に横付けされた大型観光バスから団体客がひっきりなしに入店し、山積みに陳列された高級炊飯器を大量に購入していた。
8月の週末の同店は、1階こそ客は多いが、2~3階の時計や家電の売り場は人がまばらで、盛況なのは、日本製の日焼け止めやストッキングなど、単価が低い日用品だった。

2009年に中国家電量販店の蘇寧雲商(現・蘇寧易購)に買収され、家電量販店から中国人観光客向け免税店への転換を図った。ここに訪日客急増が重なり、2014年度には13年間続いた営業赤字から脱却した。
2015年には売上高926億円、過去最高の営業利益85億円をたたき出した。
勢いに乗った同社は、国内50店舗を目標に地方都市やクルーズ船が発着する港の近くなどに出店を加速。旅行会社に手数料を支払い、団体客を誘致するビジネス路線を歩んできた。
2016年から中国政府が時計や化粧品などの一部消費財に高い輸入税をかける通称“爆買い関税”の徴収を開始。さらに為替が円高元安に触れたことで、中国人観光客の消費額が激減し、2016年4月からは免税店売上高が激減し、約10億円の営業赤字に再転落。
「中国人の間でラオックスが有名になりすぎたため、上海など都会に住む人にとって、ラオックスで買うのは田舎者、という認識になってしまった」。

出店過剰だった西日本の免税店や、繁閑の差が激しいクルーズ船就航地店舗の閉店を決断。
既存店も改装をかけ、焼肉店を開店したり、化粧品売り場にカウンセリング用カウンターを導入。浴衣のレンタルサービスなどの展開や、化粧品・美容家電の売り場を拡充している。
また、中国アリババグループの越境ECや、中国人が多用するSNS「WeChat(ウィーチャット)」にも出店。
中国現地での展示場販売や、中国向けの商品輸出なども強化し始めた。

今年3月、中国・上海の高級ホテル「ベラージオ上海」にオープンしたのは、東京でも予約が難しい日本料理の名店「くろぎ」の中国一号店。平均客単価は3万円以上というにもかかわらず、オープン直後から予約が殺到。運営するのは、ラオックスの上海子会社だ。

2017年に成田空港に近い千葉市にショッピングモールを開店。
店内には劇場を設け、言葉の通じない外国人でも楽しめる「無声演劇」の公演を始めた。「中国人が今何に関心があるかは、中国資本である彼らがいちばんよく知っている。利幅は薄くても、あらゆる関心とニーズに合わせて商材を広げていこうとするのは、まさにラオックスらしい」

百貨店を中心に展開する婦人靴メーカーも次々と買収し、今年3月にギフト店「サラダ館」なを展開するシャディも傘下に入れ、既存ビジネスとどのように結びつくのか見えにくい業容拡大策も散見される。

2018年1~6月期の売上高は、免税店事業の回復などで前年同期比約6割増の462億円となったが、ショッピングモールの先行投資に加え、買収したギフト店や婦人靴の苦戦が響き、8億円の営業赤字となった。