ホテルの新規開業ラッシュは続くのか? 宿泊料金の伸び鈍化から見える変調の兆し!

ホテルの新規開業ラッシュは続くのか? 宿泊料金の伸び鈍化などから見える「変調の兆し」と「今後の展望」 ―みずほ総研

(トラベルボイス 2018年9月4日)
https://www.travelvoice.jp/20180904-117032
インバウンドは増加傾向にあるものの、宿泊者数が2015年までと比べて伸びていない。これは民泊やクルーズ船の利用増の影響という。
新たに開業する宿泊施設は、ビジネスホテルや簡易宿所が多い。理由は、用地規模が比較的小さいため開発負担が少なく、運営も容易である。また人件費の上昇や地価上昇なども、開発の伸びを鈍化させているようだ。
ラグジュアリー層の開拓という言葉を聞く機会も増えてきたが、簡宿増加の流れは変わりそうになさそうだ。
【ポイント】
みずほ総合研究所は「ホテル市場の変調の兆し」のレポートを発表した。
国内で新規ホテルの建設・開業が続き、供給拡大に伴い稼働率や宿泊料金が伸び悩む懸念に着目したもの。

ホテルの開業計画数の推移は、2018年上半期の室数は半年前から増加しているものの、その伸びは鈍化。
東京、甲信越・北陸、四国ではすでに減少に転じている。
新規開業の伸び率が鈍化する理由は、宿泊施設側の採算改善の陰りやコスト負担の増加、国内外宿泊者の旅行形態の変化などがおもな要因と分析。
2013年から2015年にかけて増加したインバウンド宿泊需要に伴い稼働率や宿泊料金も急上昇したが、2016年は宿泊料金の伸び率鈍化。2018年も低下基調となっており、これによる採算改善も一服。
インバウンド旅行者数は増加傾向にあるものの、宿泊者数が2015年までと比べて伸びていない。
これは民泊やクルーズ船の利用増などによる影響と考えられる。例えば2017年の状況をみると、クルーズ船や民泊(エアビーアンドビー利用者数)が3割増。これらはホテルの宿泊需要が流出したことになる。

日本人の旅行スタイルは2016年から2017年にかけて「日帰り旅行」が大きく増加。外国人同様に、夜行バスなどに宿泊する人の増加もホテル需要の鈍化につながった。
加えて宿泊料金が高騰したことが、出張時の宿泊抑制をもたらした可能性もある。
新たに開業するホテルの多くはビジネスホテルや簡易宿所を含む「宿泊主体型」に偏向。
理由は、用地の規模が比較的小さいため開発負担も少なくて住むこと、運営も相対的に容易であること。
ラグジュアリータイプのシティホテルやリゾートホテルの数は大きく増加しておらず、旅館は明らかに減少。
宿泊料金の上昇が鈍化をもたらす要因となっている。
宿泊施設側のコスト負担増が収益改善を鈍らせているのは、人件費の上昇。三大首都圏や地方中枢都市では商業地の地価が上昇、ホテルの建設用地の競合が激化。建設資材や建設労働者の人件費上昇などもあり、開発負担を押し上げる要因となっている。

今後、ホテル市場などのように動くのか。
2019年までの考察として、「キッズウィーク」のような政府の施策や働き方改革、新天皇即位に合わせた大型連休創設などが実現すれば、国内宿泊需要の拡大につながる。
外国人の宿泊需要にもまだ「伸びしろ」がある。ただし民泊やクルーズ船を利用する旅行者も多く、当面は大きな変化は期待しにくい。中国発着の日本寄港クルーズの供給過多がクルーズ船コースの見直しにつながる可能性もある。
違法民泊の取り締まり強化により民泊が縮小し、ホテルへの外国人の宿泊需要が復活する可能性がある。

宿泊施設側での短中期的な課題は「従業員不足への対応」と分析。宿泊業の就業者数は2030年にかけて減少し、50万人を割るとの予想もあるとする。