京都市長に聞いた現在と未来の観光政策 混雑問題から民泊条例まで!(門川市長インタビュー)

京都市長に聞いた現在と未来の観光政策とは? 混雑問題の集中打破から全国一厳しい民泊条例の背景まで、門川大作市長に聞いてきた
(トラベルボイス 2018年9月19日)
https://www.travelvoice.jp/20180919-116578


京都市は世界に認められる観光都市だ。
2017年の観光客数は5362万人。宿泊客数1557万人、うち外国人宿泊数は353万人、観光消費額も1兆円を超えている。
京都市はオーバーツーリズムの問題もあり、「数を追わず、観光の質を高めていく」と明快だ。
トップの門川市長がブレないので、京都の観光は、これからも進化するのだろう。


【ポイント】
イギリスの旅行雑誌『Wanderlust』では「ベストシティ」部門で2年連続1位、アメリカの旅行雑誌『Travel + Leisure』 では「ワールドベストシティ」部門で7年連続トップ10入り。京都は紛れもなく世界に認められる観光都市となっている。
2017年の観光客数は5362万人。宿泊客数1557万人、うち外国人宿泊数は353万人になった。観光消費額も2016年で1兆862億円となり目標を4年前倒しで達成した。
一方で、観光客の増えすぎ問題(オーバーツーリズム)という課題も顕在化してきている。

「京都は観光都市ではない」。門川市長は、開口一番そう話す。
京都は長い歴史の中で、モノ作りと物語作り、物質文化と精神文化が相互に刺激を与えて、街が作られてきた。
茶道がなければ千家十職はなく、京舞がなければ西陣織はない。食文化が清水焼をつくりだした。京都が世界から認められるのは、「そうした歴史的背景が評価されているから」であり、「京都の人たちの暮らしの美学、生き方の哲学、そのなかから生まれる『おこしやす』のおもてなし、それを大切にしてきた結果」だと強調する。

観光政策とは「街づくりのひとつ」と指摘する。
外国人旅行者の京都観光の満足度は高く、特に清潔な街並みが高く評価されている。
京都では朝、周辺を掃除するのが日課になっている。それが暮らしの美学」と話し、「掃除が京都観光のキモかもしれない」と続けた。「単に時流に乗らず、その土地でできることをやること」。それが、街づくりであり、同時に京都市の観光政策となっている。

京都市の観光客は2000年に4000万人を突破。2014年には5500万人を超えた。
門川市長は「京都市の方針は数を追わず、観光の質を高めていく」と明快だ。
今年5月に策定した「京都観光振興計画2020+1」では、2020年までの目標額を1兆3000万円に上方修正した。
「京都の伝統産業品は高価。京料理も決して安くない。後継者不足も重なり、そういう伝統的な産業が危機的な状況にある。それを持続可能な産業にするために観光の質を高めていく」
京都の街づくりの伝統の中で生まれてきた伝統産業が、観光を助け、観光に助けられる。そういう関係を作っていきたい。

もうひとつは、観光客の満足度の高める取り組みだ。
インバウンドは増加しているものの宿泊客数は1/4分に過ぎない。「京都市はインバウンドに頼っているわけではない。国内の観光客が大事なのは論をまたない」。
満足度調査によると、2017年の「大変満足〜やや満足」は外国人で96.7%、日本人は90.9%。
「残念があった」は外国人15.6%に対して、日本人は46%。日本人の方が期待値が高いこともあるが、この差に日本最大の観光地である京都市が抱える課題が透けて見える。

日本人では「人が多い、混雑」「外国人観光客のマナーの悪さ、交通マナーの悪さ」がトップ2。その割合も混雑が前年の15%から17.1%に、マナーが9.0%から14.0%に上昇した。
外国人も「バスが混雑して乗れなかった」など公共交通に対する残念度が2位となり、割合も前年の9.5%から14.2%と急増している。

「オーバーツーリズム」に対する取り組みとして「分散化」を挙げた。
具体的には時間、場所、季節の3つの集中を打破していく方針を示し、「混んでいる時期に混んでいる時間に混んでいる場所に行くから混んでいる」観光客の動線を変えていきたいとする。島原花街の角屋に行くと静か、そして涼しい。嵐山は確かに混んでいるが、その奥の奥嵯峨は静か。
大原三千院、高雄山神護寺、鳥獣戯画のある高山寺などへの観光客は最盛期の1/3ほどに減っている。
インド人観光客が『早朝6時の清水寺に行ったら、お坊さんと話せた』と喜んでいた。昼間から朝夕夜へのシフトを促す施策を進める。

季節の分散化は一番難しい。桜と紅葉の季節はどうしても混雑する。
観光客が最も多かった月と最も少なかった月の差は、最も大きかった2003年の3.6倍(11月と2月の差)から2017年は1.5倍(3月と9月の差)に縮まり季節の平準化は進んでいる。
しかし、2017年の宿泊客数を見ると、最も多い月のトップ4は春の4月と5月、秋の10月と11月。いずれも140万人を超えており、やはり相対的に混んでいる。
桜と紅葉の季節の分散化については、場所と時間の分散化で解決できるところもある。「京都市の75%は森。その森のなかに1000年以上続く集落があり、そこに素晴らしい文化力もある。そういった限界集落にも人を呼び込みたい」。