8月29日のシンポジウムのパネルディスカッション①

8月29日のシンポジウムのパネルディスカッションのその1です。
パネルディスカッションの登壇者
関西観光本部事務局長 森 健夫 氏
京都市:京都市産業観光局 観光MICE推進室 観光戦略課長 西松卓哉 氏
大阪市:大阪市商店会総連盟理事長 千田忠司 氏(中央区商店会連合会会長)
神戸市:有馬温泉 瑞泉御所坊主人 金井啓修 氏
奈良市:NPO法人スマート観光推進機構 理事 中西弘之
   コーディネーター:NPO法人スマート観光推進機構副理事長、関西ベンチャー学会理事
              清水宏一 (元・京都市観光政策監)


(登壇者のご意見)
清水:関西の観光連携は、京都、大阪、神戸の三都物語から始まっています。
言葉についても、関西には「関西弁」という定義はなく、京都は「京都ことば」、大阪は「大阪弁」といい、それぞれの特徴のあるのが関西の特徴です。
それでは京都、大阪、神戸、それに奈良に加わってもらってご意見をお聞きいたします。

千田:「大阪ミナミの挑戦 時代を先取りしたミナミの努力 モノからコトへ」のお話をさせていただきます。
商店会も最盛期の1/3に商売人が減っています。「何とかせなあかん」との思いで集客活性化に取り組み、2000年に「人づくり・まちづくり・モノづくり」+文化の再構築を始め、2007年にインバウンド対策に取り組み「銀聯カード」を導入、2010年に「多言語指差しシート」を導入しました。5年前に黒門市場で「食」をSNSで発信しようと取り組みが始まり、3ヶ月で今の賑わいを作りました。こうした地域ネットワークの集大成として「大阪活性化事業実行委員会」を立ち上げ、商店会や企業、行政が連携して観光振興に取り組むため、2017年に国土交通省の「地域DMO」の候補法人にも登録されました。今後、「大阪万博」や「IR」の活動にもつなげていきたいと思っているところです。
最後に皆さんにお願いしたいのは、大阪市の「ふるさと寄付金」です。この寄付金の「経済振興関係」に寄付をいただいて、商業振興に活用させていただきたいと思っています。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000006525.html

金井:神戸市は1981年の頃、「風見鶏の館」ブームやポートピア開催により、神戸は日本の憧れの観光地になりました。しかし、当時の神戸市観光白書に「有馬温泉は神戸観光のお荷物」と書かれていたそうです。
有馬の泉源は地下200mから97℃湯が沸いています。六甲山の標高は932m、有馬の標高は400mで、海抜200mから温泉が湧いていることになります。塩分濃度は神戸港で3%。有馬の湯は6%。世界一塩分濃度が高い湯になります。関西に火山はありません。98℃の湯は、有馬温泉の地下60kmから沸いています。
人間の塩分濃度は1%。海水が3%、それより塩辛い6%が有馬の湯。「せっかく有馬の湯に来たのでと長湯すると、浸透圧の影響で“湯あたり”を起こす」これが有馬の湯です。
また、泉源から汲み上げるパイプは3〜4日で交換しなくてはならない、高コストの温泉でもあります。
一昔前、高級旅館とリゾートホテルがよく対比されました。高級旅館に行っても、朝は布団を引っ剥がされるし、食事も指定時間に強制的に食べさせられるとの悪い評判がたったのが、日本中の温泉旅館でした。
そのような時期、休業していた古い旅館を改装し、新しいコンセプトの宿を作りました。すると人が来るので、古いお店を改装した手焼きの煎餅屋さんができ、お好み焼き屋が昔風にリニュアルして、客を呼び込む人気のスパイラルが起こって、インバウンドが来る現在の有馬温泉になりました。
京都や姫路は欧米豪の比率が高く、有馬はアジア比率が高いですが、京都・有馬便や姫路・有馬便のバス路線を増やしてもらい誘客に努めているところです。
山椒使用した料理を日本料理の世界で“有馬煮“とか”有馬焼“と言われています。その有馬山椒が無くなっていたので、兵庫県や神戸市、近郊の農村とで有馬山椒の復活プロジェクトを行っています。スローフードインターナショナルに絶滅危惧種の認定を受け、有馬山椒をキーに六次産業化にも取り組んでいます。
神戸は、150年前に開港した程度の歴史しかない街ですが、六甲山の水にはラジウムが溶け出し放射線が含まれるので殺菌効果があり、赤道を越えても腐らなくて美味しいというのが「神戸ウォーター」です。また、伊丹の日本酒もこの六甲の水を使っています。またこの水力を使って精米したから美味しい日本酒ができています。
神戸市で日本遺産に認定されているのは「北前船」だけですが、これに「日本酒発祥の地の伊丹」、有馬に行く道「湯山街道」とともに、六甲山を核としたストーリーを作って、「世界遺産」の登録を狙っています。

西松:京都市観光は、2001年に「観光客5000万人計画」で観光客を増やす計画から、2008年に5000万人を到達、2010年には量を増やす戦略から転換、経済だけでなく、都市のブランドにも効果があるMICEにも力を入れた観光戦略を策定しています。2014年には「感動の先を目指す」目標を持ち、観光消費額も1兆円に目標をおき、国際会議の世界のランキングも目標を定めて取り組んでいるところです。
インバウンドの増加で、外国人宿泊者数も確実に伸びてきているところではありますが、H29年は無許可民泊への宿泊も110万人と推計されるなどの課題もあります。H29年の観光消費額も1兆1268億円あり、京都市民の年間消費支出の約78万人分、人口の53%に相当しているので、観光の効果も正しく市民に認識してもらう必要があると考えています。
京都観光を取り巻く課題は、マナー問題、観光客の集中と混雑、観光の経済効果が広く行き渡らないなどあり、観光振興計画も見直したところで、今まで以上に「市民生活と観光との調和」が強く求められているところです。
観光客の混雑では、“季節の分散”として「花灯路」のような閑散期への誘客があり、“時間帯の分散”としては「朝観光」や「夜観光」があります。“場所の分散”では、昔、最も観光客が多かった「大原」などへの誘客に取り組んでいく必要があると認識しています。
「バスの混雑」も市民生活に影響が大きいので、ホテルにスーツケースを送る「手ぶら観光」や、市バスの「前乗り後降り」の取り組みを今年度から実施致いたします。
民泊については、家主居住型の民泊は推進していく考えですが、違法民泊は許さないという姿勢を示しているところです。
MICE戦略も、世界遺産二条城をレセプション会場に活用してもらったり、参加者へのノベルティに伝統産業のものを使ってもらう取り組みも進めています。
市長は「京都は観光都市ではない」と申しており、神社仏閣だけでなく茶道・花道など、「文化」を守る取り組みを進めないと、持続可能な観光が守れないとしているところです。
「景観」についてもH19年から高さ規制、デザイン規制、眺望景観・借景の保全、屋外広告物の規制、歴史的街並み保全などにも取り組んできたところです。屋外広告物規制では、四条通りの看板が激減しており、セブンイレブンなどの看板も落ち着いた配色に変えてもらうなど効果も出てきています。
課題解決に向けては、10月から導入される「宿泊税」を原資に活用してまいりたい。