沖縄の観光客がハワイの観光客数を超えた 目的はショッピング 伸びない観光消費!

沖縄が台湾人の「日帰り観光」を喜べない現状

(東洋経済オンライン 2018/09/29)
https://toyokeizai.net/articles/-/239907
沖縄の観光客数は2012年の592万人から2017年には958万人と、ハワイを訪れた観光客数(938万人)を超えた。訪日外国人が約3割を占め、そのうち台湾や中国からの観光客が6割以上を占める。
台湾や中国から来る目的は、医薬品やアウトレット品の「ショッピング」で、ハワイの観光消費額との間は大きい。
2017年度はインバウンドの36%がクルーズ船利用。クルーズ船は手荷物の重量制限がないことからショッピング目的のインバウンドに重宝されている。沖縄観光コンベンションビューローも「平均消費額や平均滞在日数を上げる」戦略を持つが、現実は難しいようだ。
【ポイント】
沖縄の観光客数は2012年の592万人から2017年には958万人とほぼ倍増。同年にハワイを訪れた観光客数(938万人)を超えた。観光収入も3997億円から6979億円へ伸びた。

観光客数の増加を牽引するのが外国人観光客(インバウンド)だ。
2017年の日本国内からの観光客数は約7割を占めるが、伸び率は数%増にとどまった。一方、インバウンドは前年比26.4%増。このうち6割以上を台湾や中国からの観光客が占める。
特に増加が顕著なのがクルーズ船だ。沖縄県への寄港回数は2012年の125回から、2018年は662回を予定し急増中。2017年度には外国人観光客の36%はクルーズ船などの海路を利用。空路が約19%増に対し、海路は約42%増だ。

那覇空港の2本目の滑走路が2020年に使用開始予定だが、発着枠は10~30%増にとどまる見込み。
一方、クルーズ船の停泊場所は沖縄本島だけでも那覇港、中城(なかぐすく)湾港、本部港など複数ある。
クルーズ船は飛行機と違い、手荷物の重量制限がない。

最近増えつつあるのが台湾から「日帰り」で沖縄を訪れるインバウンド。
台北から那覇までは飛行機で約1時間15分。航空便も朝夕に複数あるため日帰りは容易だ。
台湾や中国から沖縄に来るインバウンドの目的は、観光ではなく「ショッピング」だ。
目当ては医薬品や価格が安いアウトレットのブランド品。
国際通り周辺にある薬局の店舗数が、この数年で4倍近くに増えた。
沖縄とハワイを比べてみると、観光客数でこそ上回ったものの、平均滞在日数は沖縄が3.68日に対してハワイが8.95日、1人当たりの平均消費額は沖縄が7万2853円に対してハワイが1787ドル(約20万円)と、沖縄はハワイの半分以下だ。
沖縄県は第5次沖縄県観光振興基本計画で2021年に観光客数1200万人、1人当たり県内消費額9万3000円、平均滞在日数4.5日の目標を掲げる。
しかし増加傾向にあるクルーズ船は平均消費額が低い。2017年度の一人あたりの平均消費額は空路で来る訪日客が10万0265円に対し、海路の訪日客は2万9861円。
短時間の滞在で約3万円消費してくれるのは効率的でいいが、クルーズ客が平均消費額と平均滞在日数を押し下げている。
「クルーズ船ばかり増えては宿泊業者にお金が回ってこない」(ホテル経営者)、「夕食時になるとみんな船に戻って立ち寄ってくれない」(飲食店)と不満が募る。
沖縄観光コンベンションビューローの担当者は「平均消費額や平均滞在日数を上げるためにも、ショッピング以外の観光地消費として沖縄でしか体験できないものを広めたい」と、「沖縄ブランド」確立を急ぐ。
琉球舞踊を披露する劇場や高級リゾートの展開を通して、台湾や中国などでの沖縄のリブランドを図る計画だ。
「遠方からの観光客の方が長期滞在してもらいやすい」ため、増え始めた東南アジアや来訪者数が少ない欧米からの定期便就航やチャーター便を誘致し、平均滞在日数の底上げを目指し、平均消費額の伸びを狙う。

沖縄本島の主な公共交通はバスやタクシーで、全島を網羅する大量輸送交通がない。
多くの観光客はレンタカーを使用するが、日本の交通事情に慣れないインバウンドの事故や交通マナーが問題となっている。
交通量の増加のため、沖縄本島を南北に結ぶ幹線道路は朝夕に慢性的な渋滞が発生している。

人材不足も深刻だ。東京や大阪のように外国人留学生が多いわけではないため、中国語や韓国語など観光業者が求める言語を話せる人材が少ない。
ショッピングセンターなどでは店舗の割引制度を説明できずに支払いトラブルや、返品や保証サービスをめぐる説明が進まず、購入を断念しているケースもある。
ホテルではベッドメイキングなどの清掃スタッフが足りない。「給与を本土並みに上げて、本土から人が来てもらえるよう試みている」と複数のホテルや旅行事業者は明かす。