インバウンド消費拡大のため、富裕層が「思いっきり消費する旅行」とは?

富裕層が「思いっきり消費する旅行」とは? インバウンド消費拡大のためにできることを考えた
【観光政策研究者の山田雄一 コラム】
(トラベルボイス 2018年9月11日)
https://www.travelvoice.jp/20180911-114936
訪日客は年収500万円以下のものが多数を占めますが、年収2000万円以上も5.0%の比率だそうです。
この層の訪日目的は観光ではなくビジネス客も含まれるといいます。
インバウンドの消費拡大を考えるうえで、富裕層が、思いっきり消費することを目的に訪日してもらうことが重要です。
我が国では、富裕層向け観光プランは、新奇性のある周遊観光が中心になっていますが、バカンス型の観光も考えるべきではないかとの考え方を主張されています。
バカンス型は10日〜2週間滞在するため、滞在先でのエクスカーションが重要となります。
【ポイント】
観光庁の消費動向調査によれば、年収3000万円以上は2.7%。年収2000万円以上なら5.0%となります。民間給与実態統計調査によれば、日本の給与所得者で、年収2000万円以上は0.4%、年収1500万円以上まで拡げても1.1%です。
グローバル・リッチ・テストというサイトを利用して、年収2000万円を検索すると、トップ0.05%となります。
消費動向調査は世帯年収で、民間給与実態調査やグローバル・リッチ・テストは個人所得なので直接的な比較はできません。
一定の所得水準以下の人たちは海外旅行自体を実施しないという状況もあります。

「年収2000万円以上が5.0%」という数値はそう悪い比率ではない。しかし富裕層だからラグジュアリートラベルとは限らないことです。
訪日客には業務客も含まれます。東京が世界の経済セクターとして活動を行っている以上、それに伴い高所得の業務客も一定数が訪れる。
彼らは所得に相応したホテルや飲食店を利用するが、業務での訪日であるため、その他のサービス消費はおこないません。時間的余裕がありません。
また、一部の業務訪日客は業務にあわせて休暇をとり、短期間の観光旅行を組み合わせる場合もあります。
富裕層が、思いっきり消費することを目的に日本へ訪れてもらうことが重要です。
旅行需要は、新奇性となじみ深さ(バカンス需要)の2つに区分できる。
国内で「富裕層向け」として展開されている取り組みの多くは、新奇性によっています。
むしろ、我が国としてはバカンス需要に目を向けるべきではないか。

バカンス需要は、大切な家族やパートナーとの時間消費が目的ですので、良質な時間のためには財布の紐も緩くなる。
「バカンス先」として認知されたニセコに多額の投資が集まっているのは、その証左です。
バカンス需要を受け止めるリゾートの主体はホスピタリティ産業ですから、地域経済の振興につなげていくのも容易となります。

バカンス先には10日〜2週間程度滞在するため、宿泊滞在先からのエクスカーション形成が重要となる。
これは従来の「周遊コース」設定とは異なる取り組みです。

日本では、バブル期のトラウマがあり、リゾートという言葉自体に対するアレルギーが残っています。
2000年代から始まった「観光地域づくり」の取り組みは、リゾート「開発」に対するアンチテーゼでもありました。
世界的に見れば、宿泊滞在先は都市かリゾートの2種しかないのです。