クルーズ船の船舶観光上陸許可制度の悪用で失踪者が増加!

船舶観光上陸許可制度 24人失踪 悪用歯止めかからず

(毎日新聞 2018年10月12日)
https://mainichi.jp/articles/20181012/k00/00e/040/201000c
クルーズ船の「船舶観光上陸許可制度」により、ビザや顔写真なしで入国できる制度を悪用して、不法労働のため入国する外国人が後を絶たないという。
2015年に設けられた「船舶観光上陸許可制度」は、訪日外国人増加を目的に導入されたものだが、当初の心配のとおりの密入国が増えているようだ。
ビザや顔写真なしで入国できる制度だが、電子ビザを促進して、制度を変更するほうが望ましい。
【ポイント】
クルーズ船から船舶観光上陸許可制度を使って入国した外国人が失踪するケースが相次いでいる。
今年、長崎県内の港から上陸・失踪したのは24人で過去最多を更新した。
船舶観光上陸許可制度は2015年1月、訪日外国人増加を目的に導入された。
法相が指定した船舶で来日し許可を受けた乗客は、一つの寄港地につき7日以内に帰船することを条件に、ビザや顔写真撮影なしで入国できる。
制度開始から今年6月までに660万人以上がこの制度を使って入国し、計171人が失踪した。

17年のクルーズ船の寄港回数が267回で全国2位だった長崎港がある長崎。失踪者は15年11人▽16年8人▽17年10人で、今年は9月末時点で既に24人。
クルーズ旅行が安価になり利用しやすくなっていることや、同制度を使えば密航が容易といううわさがSNSに書き込まれていることなどを理由に挙げる。

長崎県警は7月、長崎、佐世保各港から入国後に失踪した男女8人と、それを手助けした男1人の中国人計9人を出入国管理法違反容疑で逮捕した。
このうち失踪した女(52)が同法違反(不法残留)罪で起訴され、懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた。
8人は中国国内でSNSを通じて知り合い、就労目的を隠してクルーズ船から上陸し、埼玉県内の工場で偽名を使って働くなどしていた。
県警外事課は「(同制度が)不法就労の温床になりかねない」と警鐘を鳴らす。

法務省は7月、失踪者が相次いだクルーズ船1隻を、同制度の指定を更新しない初めての措置を取る。
船会社から提供される乗客名簿の確認の徹底に加え、失踪者を出した船会社に再発防止も指導している。
一方で、同省入国在留課の担当者は「現制度での失踪者をゼロにするのは難しい。失踪者は入国者のごく一部で、利便性と比べると制度の見直し議論はない」としている。