航空データから読み解くインバウンドの課題  足りない航空座席量から国際線誘致まで!

航空データから読み解く「インバウンドの課題」とは? 足りない航空座席量から国際線誘致の競合までデータ専門企業の見解を聞いてきた

(トラベルボイス 2018年10月13日)
https://www.travelvoice.jp/20181013-118678
2017年の日本発着国際線の供給座席数は約5630万席。総旅客数は4658 万人だが、訪日外国人数4000万人の政府目標を考えると800万席不足するという。
世界の国際線を分析すると、中国の国際線との比較も重要になる。日本発着国際線で日系航空会社のシェアは30%に過ぎない。日本の全96空港のうち国際線就航は26空港しかない。
関西空港への出発空港で最もシェアが高いのが仁川空港で、2017年が22.7%だという。
【ポイント】
東アジアからのLCCの就航が相次いだことで日本発着の国際線ネットワークは大きく拡大した。
2017年の日本発着国際線の供給座席数は約5630万席。総旅客数は4658 万人。差し引き約972万席の余裕がある。これに年間200万人と言われる日本経由の旅客数を差し引くと、余裕は約763万席だ。

2017年の訪日外国人数は約2869万人だが、4000万人の目標には1131万人の上積みが必要になる。
余裕分の763万席では満たされず、さらに、2017年の日本からのアウトバウンド需要1789万人をそのまま加えると、不足分はさらに増える。

2017年から2018年にかけて総座席数は約340万席増えたが、「今後のアウトバウンドの伸びを考慮すると、訪日外国人4000万人の目標のためには、さらに800万席は必要になってくる」
「航空会社はインだけでなくアウトの需要もなければ撤退する」とし、インバウンド需要を受け入れるための航空路線網の拡大には、アウトバウンドの需要拡大も重要との見解を示した。
日本の国内線も含めた定期便総座席数は2013年の1億7900万座席から2018年は約2500万座席増えて2億365万座席になった。
中国は2013年の4億8500座席から2018年は7億2270万座席に増加。その増加数は、実に2億3800万座席、1日あたり65万7000座席ずつ増加するペースだという。
「中国はまだ伸びる。国際線誘致において日本と中国との競合はさらに激しくなる」との見通しを示した。

中国からの国際線では、東南アジア路線での座席供給が増大しており、たとえば、タイ路線での座席供給は2014年の517万座席から2018年には1418万座席とおよそ3倍に拡大。
日本路線の1152 万座席よりも多く、日本と東南アジアとは競合関係にある。
日本発着国際線で日系航空会社のシェアは30%ほどに過ぎない。
中国の約60%、韓国の60%以上。「外航は出発国の経済状況や社会情勢によって路線の維持や拡大が変わってくるため、日本側ではコントロールできない」ことから、「リスク」として指摘した。
日本の全96空港のうち国際線就航を認めているのは26空港しかなく、これも85空港のうち75空港で認めている韓国と比較するとかなり少ない。
日本を取り巻く航空環境を踏まえたうえで、インバウンド誘致の施策に向けて3種類の航空データの活用をして、マーケット動向を可視化することが大切。
便数や総座席数(キャパシティ)を表す「スケジュールデータ」は、市場規模や航空会社の現状が確認できるだけでなく、市場の成長あるいは後退の兆候も可視化できる。
フルサービスキャリア(FSC)とLCCでは、現地消費額も含めて旅行者の質が異なることから、各空港のスケジュールデータから誘致ターゲティングの設定にも役立つ。

2017年の関西空港への出発空港で最もシェアが高いのが仁川空港で22.7%。ついで香港14.3%、台北12.4%、上海10.7%と続く。
日本以外で発券された日系航空会社の成田/シンガポール線のうち、札幌を最終目的地とする割合が全体の8.4%もあり、成田(64.9%)に次いで2位になっていることから、成田経由で札幌に飛んでいる需要が多い。

乗り換えデータを示す「コネクションデータ」を活用すれば、マーケットのポテンシャルを最大化することが可能。今年12月からキャセイドラゴン航空が香港/徳島線に冬ダイヤ限定で就航するが、この路線に焦点を当てたインバウンドマーケティングを行う場合、発地の香港だけでなく、香港に多頻度で接続するバンコク、サイゴン、ジャカルタなどのコネクションデータを分析すれば、新しい需要を開拓できる可能性がある。