京都市バスの混雑緩和への取組み 市民生活と観光客を両立させるチャレンジ!

京都市バスの混雑緩和への取組みは? 市民生活と観光客の快適な移動を両立させるチャレンジを聞いてきた

(トラベルボイス 2018年10月27日)
https://www.travelvoice.jp/20181027-118852
京都市のオーバーツーリズムの問題が顕著なのは市バスの混雑かも知れない。
京都市バスは来年3月から「前乗り先払い、後降り」に移行したり、「バスから地下鉄へ分散」するため「地下鉄・バス1日乗車券」を1200円から900円に値下げしたり、民間事業者の「手ぶら観光」をサポートしたりしており、一定の成果はあるようだが、バス事業者だけでは混雑は回避できない。
交通局ではLCCのように「一定の大きさ以上の荷物に手数料を取る」考えに、理解を得るのは難しく、運用上も現実的ではないというが、「手ぶら観光」を推進するためには「手数料を取る」しかないのではないか。
京都市のオーバーツーリズムの問題は、宿泊施設の不足、ゴミ問題、マナー問題と多岐にわたるだけに難しいとは思うが、日本の観光のパイロットとして舵取りしてほしい。
【ポイント】
オーバーツーリズムを考える京都取材(連載第4回)
京都観光では市バスがとても便利だ。南北東西に直線的に走る地下鉄とは違い、目的地の最寄りまで連れて行ってくれる。春や秋の観光シーズンの混雑は以前から話題になっていたが、訪日外国人の増加でさらに拍車がかかった。

市バスの乗降客は最も込んでいるときで1両140人超え。
京都市バスは、循環系統、「Raku Bus」と呼ばれるバスが走る観光系統、郊外から市内への系統の3つ。
観光系統は、京都駅から清水、祇園、岡崎公園、銀閣寺のルートや、京都駅から四条堀川、二条城、北野白梅町、金閣寺道のルートなどだ。

1日の乗降客数は、2013年度の平均約32万6000人から2017年度は36万3000人に増加。
これに合わせて、路線も2012年度の74系統から2017年度は84系統に、車両数も2012年度の764両から現在は818両に増えた。

混雑が最も深刻な観光系統は京都駅から銀閣寺ルート。最も混んでいるときで1両あたりの乗降客数は平均146人。定員は70人だが、60人も乗れば満杯状態というから、いかに混雑しているかが伺える。
混雑する時期は3月、ゴールデンウィーク、11月。しかし、最近は混雑が平準化してきたという。
毎年紅葉シーズンに東山や嵐山で一般車両の交通規制を実施しているが、地元からは「年中混んでいる。通年でやってほしい」という声も聞こえるという。
京都市交通局として実施する混雑緩和は、輸送力の強化、市バスから地下鉄への分散化、手ぶら観光の普及の3本柱。
昨年10月と12月に「前乗り先払い、後降り」に移行する実証実験を実施した。先払いにすることで、前と後の両方のドアから降車する動線をつくった。
京都駅から乗車する乗客が圧倒的に多いため、京都駅を除くと、各バス停の停車時間は12秒ほど縮まり、バスのスムーズな乗降に加えて、交通渋滞の緩和にもつながった。
2019年3月から「前乗り先払い、後降り」を均一230円の観光100系統で本格導入する。
バスから地下鉄への分散化として、地下鉄利用を促進するために「地下鉄・バス1日乗車券」を今年3月に1200円から900円に値下げし、一方バス1日乗車券を500円から600円に値上げした。
京都駅から金閣寺に行く場合、北大路駅まで地下鉄で行き、そこからバスに乗り換えるルートも選択できようになる。
今年3月から6月までの「地下鉄・バス1日乗車券」の売上は前年比で3倍になり、一方バス1日乗車券の売上は落ちているので、分散化にはつながっているようだ。
特定路線で無料の地下鉄振替券の提供も実施している。
ピークシーズンには、銀閣寺方面から京都駅に戻る午後3時以降のバスが非常に混み合う。道路も渋滞し、京都三条から京都駅まで1時間もかかってしまうこともある。
東山三条バス停から地下鉄東山駅に乗り換える客に対して、無料振替券を渡した。東山三条でバスを空かせば、その先の祇園や清水寺で乗客を乗せられると、その狙いを話す。
同様の取り組みを、金閣寺から京都駅に戻るルートでも始めた。バスで北大路バスターミナルまで行ってもらい、そこから地下鉄烏丸線で京都駅に戻ってもらう動線を促した。
バスの混雑は、宿泊先に向かう外国人旅行者が大きなスーツケースを持ち込むことで拍車がかかっている。
京都市では民間業者による「手ぶら観光」をサポートしている。京都駅に4ヶ所、嵐山に5ヶ所、宿泊先に荷物を郵送する預かり所を設置しているが、「稼働率は低い」。
理由は「自分の持ち物を手放したくない」「3、4人のグループだとタクシーのほうが割安」「海外では配送業者に対するイメージ悪い」といった意見が多いという。

特に朝、京都駅に向かうバス。ラッシュアワー時間帯がチェックアウト時間と重なり、大きなスーツケースを持って乗り込んでくるため、市民からは「乗れない」と苦情も多く寄せられるという。
「市民のあいだでも清水や嵐山方面は混むのは当たり前という認識はあるが、いわゆる生活路線でも一部の時間帯で混雑が悪化した」。原因のひとつは民泊だ。居住地域にある民泊へアクセスするため、生活路線を利用することになってしまう。
京都市では違法民泊の摘発を継続的に実施しており、日本一厳しいとされる条例下で改善が期待される。

交通局では、将来的に車内にスーツケースを置けるスペースを設けることも検討しているが、車両の改造が必要となってくるため、即効性のある対策とはならない。
一定の大きさ以上の荷物には持ち込み手数料を取るという考えもあるが、旅行者の理解を得るのは難しく、運用上も現実的ではない。
国は地方への分散化を進めているが、分母が増えれば、やはり京都を訪れる外国人旅行者も増える。
初めて訪れる旅行者はもちろんのこと、リピーターも新しい京都体験を求めて訪れるだろう。
ただ、交通機関のキャパシティーには限度がある。しかも基本は住民のための公共交通機関だ。

観光バスと市民バスを完全に分ける。市民乗車優先レーンを設ける。
ベネチアの水上バスのように観光客運賃を高めに設定する。いろいろなアイデアは出るが、乗客を見極め、区別することは不可能に近く、いずれも導入へのハードルは極めて高いという。