日本のキャッシュレス決済は20% 2025年に40%へ引き上げる政府目標 キャッシュレス化の理由 !

日本が安全だから? キャッシュレスが進まないワケ 
(日経電子版 2018/10/22)
https://style.nikkei.com/article/DGXZZO36541330W8A011C1000000?channel=DF180320167063


日本のキャッシュレス決済は約20%と非常に低く、政府は2025年に40%へ引き上げる目標を掲げている。
日本は銀行の店舗数もATMも非常に多く、現金が簡単に手に入る。治安も良好で、安心して現金を持ち運びできる。
キャッシュレス化が必要な理由は、①キャッシュレスに慣れ親しんでいる訪日客のため。現金でしか買い物できないと商機を失いかねない。②現金貯蔵や輸送のコストの削減。関連費用は年1兆~2兆円。③商品購入データをビッグデータとして活用。
消費税率引き上げ時、中小小売店でキャッシュレス決済すると、2%のポイント還元を検討している。


【ポイント】
日本のキャッシュレス決済の比率は約20%。
キャッシュレス比率はEC(電子商取引)に使うクレジットカードを中心に毎年伸びているが、海外主要国と比べて大きく見劣りする。韓国は約90%に達し、米国や中国も50%前後。
政府は2025年にこの比率を40%へと2倍に引き上げる目標を掲げている。

海外でキャッシュレス決済の柱の一つは銀行口座から直接引き落とすデビットカードだが、日本では、クレジットカードの年間決済額約60兆円に対し、デビットカードは1兆円程度。
(みずほ総合研究所の調べ)

利便性が高く評価される鉄道会社のSuica(スイカ)やコンビニのnanaco(ナナコ)など電子マネーの定着が日本版キャッシュレスの特徴。
決済件数は伸びているが、電子マネーは少額決済が中心。決済額としては5兆円程度。

今後のキャッシュレスの主戦場とみられるスマホとQRコードを使った決済も中国と比べ大きく出遅れている。

背景にあるのは現金志向の強さです。
日本は世界的にみて、銀行の店舗数もATMの設置数も非常に多く現金が簡単に手に入る。治安も良好で、安心して現金を持ち運びできる。
経済規模(名目国内総生産)に対する現金流通残高の比率は20%程度と突出して高水準です。

キャッシュレス化が必要な3つ理由の1つ目はインバウンド(訪日観光客)対応です。
多数を占める中国や韓国からの観光客は自国でキャッシュレスに慣れ親しんでいるため、現金でしか買い物できないとなると諦めてしまい、商機を失いかねない。
政府が「25年に40%」の目標を掲げるのも、大阪開催を目指す2025年国際博覧会(万博)を意識している。

第2は現金貯蔵や輸送のコストの削減です。日本中に設置されているATMには現金輸送車で現金を運んでいます。関連費用は年1兆~2兆円。労働力不足が進む中で現金の取り扱いにかかる人手を減らすことが課題。

第3に金融イノベーションを進める狙いです。商品やサービスを購入した際のお金の流れをビッグデータとして活用できれば、ビジネスチャンスにつながる。
金融とITを融合したフィンテックという新ビジネスです。現金支払いでは基本的にデータとして残らないし、電子マネーは少額決済に限られます。データが蓄積しない現金社会はフィンテック企業の育成に障害です。

政府は、QRコードを使った決済基盤を提供する事業者に補助金を出したり、中小の小売店には決済額に応じて時限的な税制優遇をしたりすることを考えている。
19年10月に予定する消費税率引き上げに合わせ、中小の小売店での商品購入時にキャッシュレス決済をした消費者に、購入額の2%分をポイント還元することも検討している。

「25年に40%」という目標を半ば強引に達成するには、国の支援が不可欠です。
韓国ではクレジットカードを使うと所得控除の対象になるという利用促進策をとったことが追い風となった。

日本の「現金社会」を支えるのが、24時間365日、安全かつ安価に現金を引き出せるコンビニATMの存在だ。
セブンイレブンを中心に国内2万4000台超のATM網を展開するセブン銀行は、抜群の安定収益だ。
そのセブン銀行が9月、146億円の特別損失を公表。日本のビジネスモデルを米国やインドネシアにも拡大しようと試みたが、苦戦しているためだ。
10月15日に新たに営業を始めたローソン銀行は、ATM手数料収入だけでなく「キャッシュレス決済の仕組み作りにも注力する」。
コンビニ銀行の経営も岐路に立つという。