日本人の海外旅行市場促進について スペシャリストの議論を聞いてきた!

日本人の海外旅行市場促進に必要なカギは? 「旅行会社のデジタル対応」などスペシャリストの提言と議論を聞いてきた

(トラベルボイス 2018年11月8日)
https://www.travelvoice.jp/20181108-120571
2030年の双方向交流人口9000万人に増やす目標が掲げられているが、日本人出国者数は大きな伸びを見せていない。
観光の分野でも貿易収支と同じように日本の歳入超過だけを喜べる時代ではない。
2030年に必要な航空座席数1億席には約2800万席が不足するという。インバウンドを増やす新たな路線開発も必要になるようだ。
【ポイント】
2030年の双方向交流人口9000万人に増やす目標が掲げられる中、日本人出国者数は2016年に1700万人台に回復したが、大きな伸び見せていない。

「ツーリズムEXPOジャパン2018」のシンポジウムで、「日本人アウトバウンド市場の潜在力について確認する」をテーマに意見が交わされた。
パネリストはミキ・ツーリストの檀原徹典代表取締役社長、ハナツアーの權相鎬常務理事、ANA総合研究所の稲岡研士代表取締役副社長。モデレーターは航空新聞社の石原義郎氏が務めた。


基幹空港の機能増強と地方空港の活用で航空輸送力の課題をクリアすべき ―ANA総合研究所:稲岡氏
航空輸送力は、「2030年に必要な航空座席数を1億席と試算すると、約2800万席が不足する。基幹空港の機能増強はもちろん、地方空港のさらなる活用も重要になる」と指摘した。
富裕層へのアプローチの必要性や、旅行に行かないと言われる若年層の出国率が高い事実を示し、特にミレニアル世代へのアプローチが不可欠であるとの見方も示した。
日本の海外旅行市場を拡大させるためポイントの1つ目は、新規路線・新規デスティネーション拡大と、近隣諸国・地域への供給座席数拡大の必要性。2つ目は旅行会社のAI・デジタル時代への対応、3つ目「地方創生の主役である地方の人たちが、外の世界を見ることで本当の地方創生につながる」と力説した。
意識改革とアプローチ次第で出国者数は増える ―ミキ・ツーリスト:檀原氏

「韓国、台湾、香港では、かつてのように価格ではなくツアーの質が求められるようになってきた」と指摘。
韓国と台湾は、日本という近隣国だけでなくヨーロッパ方面の市場も伸びており、「台湾や韓国は、生活の中に海外旅行が当たり前としてある。ところが日本では、海外旅行=長期休暇=罪悪と考える人が大半ではないか」との見解を示した。
日本人の意識改革とアプローチ次第では、「日本の海外旅行市場はまだまだ伸びる」との考えを展開した。

LCCを使用する旅行商品造成がアウトバウンド拡大につながる ―ハナツアー:權氏
著しい成長を見せる韓国の海外旅行市場の特徴の1つとして、LCCの成長について言及。
チェジュ航空やジンエアー、ティーウェイ航空といったLCC3社の営業利益が大きく伸びていることから、「新機材の導入や路線拡大、運航回数の増加など成長への基盤づくりが進んでいる」と解説した。
「海外旅行市場の拡大は、消費者の選択肢が広がったことも大きな要因。日本でもLCC利用の商品造成が有効なのではないか」と提案した。
「LCCの運賃はダイナミックに変動する。商品造成するうえで価格を決める苦労はないのか」の質問に対し、「そこが問題」と苦笑しつつ、「苦労しても消費者の選択肢の幅を増やすのが一番」との見方を示した。
また、韓国では政府主導で“旅行のある日常”というキャンペーンが行われ、“ワークライフバランス”が旅行の代表的なキーワードとして注目されていることなどを紹介した。
石原氏は、「これまでインバウンドに大きな予算が割かれてきたが、来年度以降はアウトバウンド拡大のための予算も確保された。今、かつてないほどアウトバウンドに追い風が吹いている。旅行業界もこれに応えていかなければならない」とまとめた。