2019年に旅行業界で起きる大きな変化予測 「アマゾン参入」「昔の広告手法への回帰」!

2019年に旅行業界で起きる5つ大きな変化を予測してみた ー「アマゾン参入」から「昔ながらの広告手法への回帰」まで【外電】
(トラベルボイス 2019年1月9日)
https://www.travelvoice.jp/20190109-123152

2018年の旅行需要は減速に転じるという。
アリババやグーグルのように統合された囲い込みが進み、アマゾンの旅行参入も予測されている。
2019年は、旅行関連各社が消費者データを受け取る構造が進む。
デジタル広告からテレビ・ラジオ放送、PR活動やイベント、印刷物での広報活動に移るという。
スマートスピーカーなどの普及により、2020年までに検索の50%がボイス検索になるとの予測もある。
大胆だが含蓄のある予測が並んでいる。
【ポイント】
2019年の旅行を展望するにあたり、MMGYグローバル社の最高経営責任者クレイトン・リード氏に、旅行の未来、マーケティングや広告戦略のトレンド、グーグルやアマゾンの影響、モバイル端末のインパクト、パーソナライゼーション、音声テクノロジーについて意見を聞いた。

1. 観光需要の鈍化と価格上昇
2017年末まで、旅行需要は四半期ベースでは20期連続の拡大という絶好調期にあった。しかしこの勢いは2017年がピークで、2018年は減速に転じている。
2019年には、稼働客室当たり収益の伸び率は、3.2%から2.6%に緩むと予測されている。
航空会社の国内線旅客輸送量も、一カ月当たり7500万人を少し超えたところで停滞している。
OTAや仲介業者が引き続きマーケットにおける優位を維持できるかどうか、試金石となる。
• サプライヤー間の提携や統合が進み、より効率的なデジタルマーケティングを、より低い流通コストで展開できるようになる。OTAや仲介業者にとっては厳しい状況だ。
• 極限までコストカットを徹底した超格安航空会社(ULCC)のアリージェント航空、フロンティア航空、スピリット航空、ノルウェージャン航空などは、グーグル・フライトやメタサーチなどデジタル流通チャネルを活用し、価格の訴求力を前面に押し出した販売戦略をとる。
• エコノミー志向と、ラグジュアリー志向がさらに二極化。コモディティ商品を最低価格で提供するサプライヤーと、すべてカスタマイズした旅を超高額で提供するサプライヤーに二分化する動きが加速する。
• シェアリング需要はしばし横ばいとなる。在庫の伸び悩みや関係当局による規制が、伸び悩みの要因だ。
2. アマゾンによる大掛かりな旅行参入
アリババは中国国内向け旅行プラットフォーム「フリギー(Fliggy)」を構築し、市場の囲い込みを進めた。プログラマティックマーケティングを展開し、自社独自の決済システムやパッケージングエンジンも開発した。
アマゾンも似たような状況で、旅行マーケットのパイを大きく切り取ってしまうことが可能だ。
グーグル・ホテル・アドが攻撃的になっている背景には、こうした要因もある。グーグルが目指しているのは、旅行手配や管理に付随する様々な便利ツールを含む、予約機能の提供だと想像できる。
アマゾンがデジタル旅行勢力図を塗り替えるとしたら、どんなことが起きるだろうか?
• エクスペディアなど、OTAを買収する可能性がある。
• グーグルが、予約サービスに本腰を入れるようなる。
• ペイド・サーチやメタサーチ強化が必要になる一方、OTAの影は薄くなる。
• (販売時の成約率アップよりも)ネットの入り口のできるだけ早い段階から顧客を囲い込もうとするアプローチが、仲介業者の間で加速。ブランドマーケティングへの投資拡大につながる。
• AI主導で、バーチャルな場での旅行キュレーションが可能な時代へ。旅行者は、より自分に合った提案内容の中から、手軽に必要なものを選んで購入できるようになる。
3. データなど、さらなるパーソナライゼーションの追求
2018年は、フェイスブックを始め、オンライン各社によるデータ収集に批判的な見方が高まり、データ・プライバシー問題が話題となった。2019年は、プラットフォーム各社が消費者からデータを受け取りシェアすることの対価として、どのような価値を提供しているのかが求められる。
• アプリやウェブサイトの利用に際し、ユーザーが自分のデータを収集・シェアを嫌い、利用を撤回したという事例は見当たらない。もっともアプリのダウンロード時に、データ共有の許可をデフォルト設定しているケースは全体の80%に達する。
• 広告テクノロジーの進歩によりデータの可視化が進む。広告プラットフォームにおける不要な中間業者は切り捨てられ、実データに直接接続できる業者への関心が高まる。
• AI技術の進歩によって、広告テクノロジーの変化はますます激化。
• クリック型広告における無駄なルートが消滅し、コスト削減につながる。
• フェイスブックが、旅行のターゲティング広告における主要な出稿先として引き続き君臨する。
• 各社は、支払い代わりに個人データを受け取るようになる。例えば、機内で無料Wi-Fiサービスを利用する対価として、詳細なプロフィールや、個人を特定可能な情報を提供するなど。
4. 昔ながらの広告チャネルへの回帰
最近、デジタル関連予算を屋外広告やテレビ・ラジオ放送、PR活動やイベント、印刷物、ダイレクトメールでの広報活動に移す動きが出ている。
• 2019年の広告費は、全国放送のラジオ(6.5%増)およびテレビ(2%増)が拡大すると予想。OTT(ネット上で動画などコンテンツを提供する企業)を含むテレビ・ラジオ合計では10%増の見込み。
• 印刷媒体、テレビ、屋外広告が、旅行者の気持ちを動かし「予約しようと思わせる」効果が高いと評価。
• 旅行者の64%が、旅行関連サービスの購買を決める際、企業ブランドを重要視している。ブランドイメージは、マーケティングミックスにおいて、欠かせない要素。
• ケーブルテレビ離れが進み、OTTが提供するニッチなコンテンツが盛り上がるなか、旧来型のネットワーク局やコンテンツ・ハブには受難の時代が続く。特定層をターゲットにしたチャネルに追い風が吹く。
5. モバイル、ボイス、AI時代の先に姿を現すのは?
消費者は一日に200回以上モバイル端末をチェックし、モバイルでブラウザしている時間は一週間に20時間におよぶ。
米国世帯の12%ですでに設置済みともいわれる、ウェブ利用や新たなデバイスの急速な普及。スマートスピーカー(2020年に7600万世帯で普及)はその一例で、2020年までに検索の50%がボイス(音声)になるとの予測もある。
• KLMのスマートアシスタンス「BB」は、旅行プランニングから予約まで、すでに何百万件もの顧客とのやりとりをこなしている。
・インフルエンサーの活用などを含むソーシャルメディアでのクチコミ効果は寂れるだろう。2019年は、インフルエンサーの影響力や価値についての透明性や信ぴょう性を高める動きが加速する。
• 空港でのアクセスやセキュリティ、搭乗時の顔認証が一般化するのは時間の問題だ。

2019年もまた、数々のサプライズ、見事なアイディア、電光石火の展開にあふれた一年になるだろう。