旅行業にまつわる「21の不都合な真実」 米・旅行産業メディアCEOがまとめた!

旅行業にまつわる「21の不都合な真実」とは? 米・旅行産業メディア「スキフト」CEOが自身の経験から考えた【外電コラム】

(トラベルボイス 2019年2月2日)
 
 
 「旅行は世界最大の産業」ということがあまり知られていない。日本で観光はGDP2位ともいわれる(「観光業」としての統計はないが、1位「電気業」、2位「観光業」と「輸送用機械業」ともいわれる)
主な産業としては、旅行業に宿泊業、飲食店にお土産店、それぞれが独立して動き、お互いに連携がない。
連携すればコストダウンや効率化につながるのは間違い無いのだが、それらを有機的につなげる動きがない。DMOの動きがこれらをつなげる動きになってほしい。
スキフトのラファト・アリ氏の思いに共感する。
 
 
【ポイント】
米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」のCEO兼共同創設者ラファト・アリ氏が「旅行業界について」まとめた。
 
1. 「旅行は世界最大の産業。その自覚をもって行動しよう」という呼びかけは、裏を返せば、これまで旅行業界では誰もそんな風に考えていなかった、ということ。もっと真摯に考える必要がある。
2. 旅行市場は大きな成長をみる。業界における過去や未来の取り組みがどうであれ、旅行業界は存在感を増していく。
3. 新たな変革が起きると、当然ながら旅行業界側はこれに抵抗する。それでも変わらざるを得ない状況になってくると(例えばエアビーアンドビーやウーバーの台頭)、我々が変化を促したのだ、と言い出す。
4. スタートアップだからといって、旅行イノベーションを体現しているとは限らず、真逆に進むような事例もある。すでに旅行業界で、あるいは周辺の関連分野で健闘している小規模ビジネスにこそ、真のイノベーション担い手が多い。
5. 業界の協会組織というものは、良く言えば、バランスを保つ番人のような存在。悪く言えば、まったくの役立たずで、特に新しい旅行ビジネスを立ち上げる人には無益だ。
6. 旅行業界でコンサルタントを生業とする人々は、変化を好まないくせに、お金になると思えば大ごとだと騒ぎたてる。頭文字をくっつけた専門用語に騒ぎ過ぎるのも、この業界の特徴。ちゃんと意味を調べて、だまされないこと。
7. 旅行マーケティングの手法には限りがある。デスティネーション、ホテル、航空会社、予約サイトなどのマーケティングでは、お互いに重なりあう部分が出てくる。
8. 新しい体験をする旅、人生観が変わるような旅、という嗜好は昔からずっとある。そもそも観光目的の旅が広まったのは、所得に余裕が出てきた欧州の中流クラスが、こうした体験を望むようになったから。
9. 航空会社は、旅行業界の中で、もっとも狭量で縄張り意識が強い。経営幹部が公の場で話すことは建前ばかり。本音では、他人のことなど完全無視だ。
10. データは旅行業のあちこちに散乱しているが、誰も手立てがない。「パーソナライゼーション」というコトバは大人気だが、画期的な取り組みはない。
11. 旅行業界は、いまだに白人男性文化がまん延している上、これを変えようという気運も乏しい。
12. 私が旅行業に携わり驚愕したのは、米国系企業の経営トップは、圧倒的に共和党支持者だったことだ。旅行のような業種では、進歩的な改革派が多いと予想していた。
13. 旅行業界で、サステイナブル・トラベルについて真剣に考えている人は少数派、旅行者に至ってはほぼ皆無だ。グリーンな行動や環境へのケアを語ることで、自尊心が満たされるが、やがて日常の雑事に追われて忘れてしまう。
14. 旅行代理店は、今も特定のマーケットでは必要とされている。利幅が大きく、活況を呈しているところ、つまりラグジュアリートラベラー市場だ。
15. 旅行業界では、色々な議論はあるものの、地球の西半球を除いた「その他」エリアで成長拡大している旅行マーケットへの対応が遅れている。
16. 国内旅行に、誰も注目していない。そのせいで、各地域の旅行業エコシステムを支える幾多の中小企業にとって、ビジネス機会がなかなか得られない。
17. 政治家は、旅行産業や政策にほとんど関心がない。国家のリーダーや地方自治体のトップは、旅行業による雇用創出や、経済効果が気づいていない。
18. 査証(ビザ)の自由化―ビザの廃止、あるいは到着ビザ、電子ビザへの移行は、それだけで旅行需要を最大限に加速する効果がある。断言する。
19. 旅行業界向け出版物は、役に立たないものばかり。一般向けの旅行雑誌は、内容のほとんどが宣伝で、広告クライアントを喜ばせるためのもの。旅行者は見向きもしない。
20. 旅行ホスピタリティ系学校では、未来ある若者に、昔話みたいなトレーニングばかりをおこなう。今の旅行業界や関連業種で必要なことを教えていない。学校の教授陣が、旅行ビジネスの最新動向に無知であることも少なくない。
21. 「ローカルみたいに暮らす」なんて、旅行マーケターが作り出した詐欺まがいの幻想だ。我々は皆、観光客だ。一人ひとりが、自分は観光客だと自覚し、言動に責任を持つ方が、旅行業界にとっても、ずっとやりやすい。