春節で訪日客増えてもインバウンド消費は急減速 円高、電子商取引法改正の影響!

春節で訪日客増えてもインバウンド消費は急減速 中国の景気減速や円高、新EC法も影響か

(Newsweek   2019年2月5日)
 
 
1月に施行された、中国の「電子商取引法」の影響や空港チェックの厳格化の影響が出ている。
転売目的に日本で商品を購入する「代理購入者」が激減したという。
製薬会社も昨年末から前年割れしているといい、高島屋大阪店の1月の免税売上高は20.5%減になった。
中国のGDPも28年ぶりの低い伸びとなったといい、昨年前半は1人民元=17円程度だったが、年初には同15円台へと、円高に動いている影響は大きくなりそうだ。
 
 
【ポイント】
中国の法令変更が日本の消費に影を落とし始めている。
中国経済の減速や円高・元安も重なり、インバウンド消費の先行きは、急速に不透明感が増している。

花王は、昨年11〜12月から中国向けのベビー用紙おむつの販売動向に大きな落ち込みがあったと話す。
背景は、中国で今年1月から施行された中国電子商取引法。EC出店者などに政府への登録を義務付け、納税を義務化。脱税者には刑罰を科すことも明記された。
ECでの転売を目的に日本で商品を購入する「代理購入者」も、電子商取引法での登録対象者となった。
施行前の昨年末から転売業者の購入減や、中国での流通在庫処分による価格下落が表面化したという。
2018年の花王のベビー用紙おむつ売上高は、前年比9%程度減少となった。

中国の法改正の影響は、インバウンドへの依存度を高めている百貨店にも表れ、1月の大手百貨店の免税売上高は、軒並み前年同月比マイナス。
高島屋の免税売上高は前年同月比15.1%減と大きく落ち込んだ。特に、訪日外国人の比率の高い大阪店は20.5%減、新宿店は19.5%減となった。2度の台風で臨時休業や営業時間短縮を行った昨年9月でも2.7%減だっただけに、落ち込みの大きさがわかる。

三越伊勢丹ホールディングスの新宿・日本橋・銀座の基幹3店舗の免税売上高も10.3%減少。
客単価だけでなく、客数も3.3%減少した。三越伊勢丹関係者は「中国の景気減速、円高・元安、電子商取引法の施行など、同じタイミングで悪材料が重なるとこうなる」と、複数の悪材料が重なったためとみている。
特に、宝飾品など嗜好性の高い商品の動きが鈍っている。

昨年前半は1人民元=17円程度で推移していたが、今年年初には同15円台へと円高方向に動いている。
18年の中国国内総生産(GDP)成長率は28年ぶりの低い伸びとなった。政府は歳出拡大や減税など対策を打ち出しているものの、米中貿易摩擦の行方次第では、一段の減速も懸念される状況だ。
 
2月5日から始まる春節で、訪日中国人客がどのような消費行動をみせるか、百貨店各社は状況を見守っている。
中国からの訪日客の1人当たりの旅行支出は、爆買い一服後の2016年以降、前年比マイナスで推移している。
「インバウンド消費は、尖閣問題の時のように、急激に落ち込む可能性が皆無ではないため、あまり、過度な期待を持って織り込まないようにしている」とも話す。
尖閣諸島の国有化により、2011年の中国人観光客の訪日数が26%減と大きく減少した。

2018年の訪日外国人の旅行消費額は4兆5064億円で過去最高となった。
安倍首相が「地域に一大産業が誕生したといってよい」と表現するほど、消費マーケットでは無視できない。

日銀大阪支店でも「今後、本格的な人口減少局面を迎えるが、インバウンド消費の増加は、人口減に伴う需要減を補いつつ、関西経済を引き続きけん引することが見込まれる」とするリポートを作成。インバウンド消費に期待をかけている。
2020年に旅行消費額8兆円という政府目標には、旅行消費額の約35%を占める中国からの訪日客の消費が落ち込めば、目標が一層、遠のくとともに、日本の消費市場に与える影響も大きくなる。
 
 
春節商戦、大衆薬や日用品の爆買いにブレーキ
(産経新聞 2019年2月5日)
 
大幸薬品は、中国人が好む金色のパッケージの「正露丸」を限定発売した。医薬品事業の海外売り上げの9割以上を中華圏で占める。
「今年の春節は、電子商取引法の影響や空港チェックの厳格化で例年みられたような日用品、化粧品の爆買いに影響がでるのではないか」
「これまでの中国ECは転売業者が口コミをしてくれ、日本のメーカーは宣伝をしなくても訪日客向け売り上げを伸ばすことができたが、新法の施行で口コミが減ることが考えられる」