米国の観光財源から宿泊税や分担金(TID)、独自財源などのあり方を考えた!

財政支援停止でDMOが消滅の危機に、米国の観光財源から税制度とその運用のあり方を整理してみた【コラム】

(トラベルボイス 2019年3月6日)
米国のDMOの財源や組織に関する解説のコラムです。
DMOの財源は、米国でも税金に負うことが多いようだ。宿泊税を充当しているところや、TIDという宿泊時に支払う観光目的の分担金を加算される例が示されている。
DMO運営は財政支援がなくしては難しいが、行政への依存を減らし、独自財源を見つけていく必要性は世界的な潮流だという。
【ポイント】
カリフォルニア州サンタクララ市議会がDMO「ビジット・サンタクララ」への財政支出の中止を決定した。
(サンタクララは、サンフランシスコの南東約70kmに位置するシリコンバレーに該当するエリア)
2018年6月26日、サンタクララ市議会は、毎年拠出していた150万ドルを新年度は実施しないと決定。理由は、資金の使い方が不透明で、説明責任を果たしていないことだという。その後、市議会は新しくコンベンションセンターとDMOの運営事業者を公募し、2社が応札し、2019年2月5日に事業者が決定している。
第三者機関が監査した結果、従来のDMOは7割の経費支出が内部規定に則っておらず、領収書などがない使途不明金が30万8000ドル(約3400万円)あったと判明している。

DMOの財源は、米国でも税金に負うことが少なくない。米国では宿泊税がかなり普及しているが、宿泊税は純粋な観光目的税ではなく、一般財源に組み入れられ、宿泊税のうちDMOに拠出する金額は、州や都市ごとに異なる。米国のDMOでは、宿泊税以外に会費の財源もあり、事業収入を得るDMOもある。
観光案内所でグッズ販売を手がけるところもあり、土産屋の事業を圧迫しないよう、完全オリジナル商品にするといった気配りが必要。その他、イベントやプロモーション企画で募るスポンサー費、飲食税がある。
コンベンションセンターや駐車場の運営委託は、施設は州や市などが保有し、運営をDMOに委託する。
米国でも人件費を賄うため、行政の財政支援がなくしてDMO運営が難しいのが実情ですが、行政への依存を減らし、独自財源を見つけていく必要性は世界的な潮流です。
米国では、観光産業改善地区制度(TID:Tourism Improvement District)を導入する地域が増えている。
TIDは旅行者がホテルなどに宿泊したときに加算されて支払うもので、恩恵を受ける範囲を特定して支払を義務化する分担金と位置づけられるものです。
宿泊者に支払の義務があるという点は宿泊税と同じだが、使用目的は支払者がメリットを得られるものに限定されるという仕組みです。これは、日本でイメージされる観光目的税に近い。

分担金の仕組みは、都市計画等で適用される事業改善地区制度(BID:Business Improvement District)から発展しました。街の再開発などにあたり、事業のメリットを受ける地域内の人から強制的にお金を集め、それを投資することで地域の価値が高まり、拠出した人にメリットが還元されます。
TIDは観光分野に適応させたものです。
アナハイムの場合、アナハイム市宿泊税が15%、アナハイム市TIDが2%、カリフォルニア州TIDが約0.2%で、合計17.2%。宿泊費1万円のホテルに宿泊すると、別途宿泊税とTID合計で1720円が徴収される。
米国でTIDを導入しているのは2018年時点で、15州、173地域となっており、徐々に増加している。
米国では、商工会議所によるDMO運営も珍しくありませんが、一番多いのは非営利法人による運営です。
米国では、コンベンションビューローがその機能を発展させてDMOとなっている歴史的経緯があるため、DMOの登録制度はないが、財政支援を受けるため、地域で公的に認められた組織がDMOになるという了解がされている。日本における指定管理者に類似しているといえる。